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活況の映画興行の未来を占う~『記憶にございません!』はじめ動員ランキング上位作品の鑑賞者の顔ぶれを検証
公開日: 2019/09/27

2019年9月27日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:劇場での感動が未来に』の転載に、補足を加えています
『記憶にございません!』 

『記憶にございません!』  公開中
©2019フジテレビ 東宝

 

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(21、22日)>

 

1. (1) 記憶にございません! 2週目
2. (2) かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 3週目
3. (NEW) アド・アストラ 1週目
4. (3) 天気の子 10週目
5. (4) 人間失格 太宰治と3人の女たち 2週目
6. (NEW) HELLO WORLD 1週目
7. (6) 劇場版おっさんずラブ -LOVE or DEAD- 5週目
8. (5) ライオン・キング 7週目
9. (NEW) 見えない目撃者 1週目
10. (NEW) アナベル 死霊博物館 1週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

活況の映画興行は前年比20%増で推移しており、なお期待作の公開が続く。昨年の総興行収入が2225億円だから、今年は単純計算で2600億円を超えそうだ。引き続き市場の強さを保つカギは、劇場をいっぱいにしている観客層と鑑賞行動にある。

 

5作がランクインし、好況をけん引する東宝作品を見ると、アニメに実写、オリジナルも原作ものもあり、観客層もそれぞれ。男女とも50代以上が強い『記憶にございません!』に対し、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』と『天気の子』『HELLO WORLD』のアニメ2作品は若い男女中心。『劇場版おっさんずラブ -LOVE or DEAD-』は女性10代~40代に広がる。すそ野が広い。

 

各作品公開週末の性年代別意欲率
※意欲率:映画観賞者全体の中で、本作を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合 (「すでに観た」と回答した人は含まない)

 

 

一方、チケットをネットで事前購入する観客が増えているという。上映の満席回が増えて、確実に座席を確保するためだ。購買行動の変化には、新たな宣伝手法のチャンスもありそうだ。

 

映画館とそこに集う観客は、プラットフォーム(土台)として映画ビジネスを支えている。市場にとって、観客に繰り返し映画館に来てもらうことが何よりも重要である。今、誰が、なぜ、どのように映画を見ているのかに、さらなる活性化のヒントがある。ヒットがプラットフォームを強くし、プラットフォームが次のヒットを呼ぶ。映画ファンの感動体験が、映画の未来を決めるともいえるのだ。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『劇場での感動が未来に』(毎日新聞2019年9月27日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で詳細に把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

そのほか、同時期公開作品の浸透度を俯瞰して把握できる「CATS 市場概況レポート+(プラス)」もおすすめです。認知、興味、意欲といった浸透度をはじめ、公開初週土日の興行収入シミュレーションやテレビ露出量、劇場予告編到達率、さらにはデジタルにおける最新露出状況を、同時期公開作品間で比較いただけます。

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