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活況の興行成績が作った映画業界の資産と未来
公開日: 2020/01/31

2020年1月31日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『好循環 100億円超え多数』」の転載に、補足を加えています。

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(25、26日)>

 

1. (NEW) キャッツ 1週目
2. (2) カイジ ファイナルゲーム 3週目
3. (1) アナと雪の女王2 10週目
4. (5) パラサイト 半地下の家族 3週目
5. (3) スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 6週目
6. (4) ラストレター 2週目
7. (6) 記憶屋 あなたを忘れない 2週目
8. (7) フォードvsフェラーリ 3週目
9. (―) 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング 6週目
10. (9) 劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明 2週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

日本映画製作者連盟(映連)は、2019年の興行収入が2611.8億円だったと発表した。前年の2225.1億円に対して17.4%増、金額にして400億円弱増。19年の特徴は、100億円を超えた作品が多数あったことだ。興収1位から順に『天気の子』(140.6億円)、『アナと雪の女王2』(127.9億円)、『アラジン』(121.6億円)、『トイ・ストーリー4』(100.9億円)――と続く。

 

18年公開作で100億円を超えた作品は『ボヘミアン・ラプソディ』(131.0億円)だけで、しかも同作のヒットは19年に入ってからも続いた。数字合わせでしかないが、18年の興収に100億円級作品4作品がそのまま乗っかってほぼ19年の数字になっている。

 

話題作を見た体験はポジティブなものとして人々の心に残るだろう。一般に、見たい映画がなければ映画館になかなか足を運ばないものであるが、あるきっかけで来場しその体験が良いものだと、その作品だけでなく、映画館という場のイメージが高まるはずだ。そのことが次の作品の公開時に人々の背中を押す。

 

情報入手経路
情報入手経路別に認知率の推移を2011年から2019年まで記した。2014年以降、「劇場予告編」を情報入手経路として挙げる割合が上昇。一方、高い割合を誇っていた「TVCM」「TV番組」は減少を続けており、2019年では「TV番組」と「劇場予告編」の割合が肉薄する結果になった。

 

 

作品の「情報入手経路」として本編前の予告編を挙げる割合が高まっており、劇場に来ている人がまた帰ってくるという好循環が生まれているとみられる。19年活況の映画興行が築いた資産の上に、20年も引き続き好調が続くことを期待したい。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『好循環 100億円超え多数』(毎日新聞2020年1月31日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で詳細に把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

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