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認知率躍進の『パラサイト』、ヘビー層とミドル、ライト層の差が縮まり幅広く浸透
公開日: 2020/02/28

2020年2月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『熱心なファンのみならず』」の転載に、補足を加えています。

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(22、23日)>

 

1. (1) パラサイト 半地下の家族 7週目
2. (NEW) スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 1週目
3. (3) 犬鳴村 3週目
4. (4) ヲタクに恋は難しい 3週目
5. (2) 1917 命をかけた伝令 2週目
6. (NEW) デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 1週目
7. (NEW) ミッドサマー 1週目
8. (NEW) チャーリーズ・エンジェル 1週目
9. (NEW) スキャンダル 1週目
10. (5) AI崩壊 4週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

前週に続き米アカデミー賞4部門受賞の『パラサイト 半地下の家族』が1位となっている。授賞式以来連日の報道で、浸透度、話題度が沸騰。映画参加者人口の認知率は公開7週目で60%を超え、オリジナルの外国映画としては極めて異例の高レベルだ。9週前の時点では10.4%だったから、いかに大きく上昇したかがわかる。

 

『パラサイト 半地下の家族』認知率/テレビ露出の推移

 

こういった、作家性が強く映画ファンの間で評価の高い作品は、鑑賞頻度の高い層では早くから認知率、意欲率が高い。本作も9週前時点から、過去1年間の鑑賞本数が1、2本のライト層で5.3%だったのに対し、12本以上見るヘビー層では31.9%だった。

 

『パラサイト 半地下の家族』鑑賞本数別の認知率推移

賞関連の報道が続く中、公開6週目でヘビー層が70%を超えた一方、ミドル層は60%、ライト層でも50%を上回った。全体の認知率が上がるにつれヘビー層とミドル、ライト層の差が縮まり、幅広く浸透したことがわかる。性年代でみると50、60代、特に女性が顕著に伸びた。

 

『パラサイト 半地下の家族』鑑賞本数別の認知率
『パラサイト 半地下の家族』
性年代別の認知率の推移
『パラサイト 半地下の家族』男性年代別の認知率の推移 『パラサイト 半地下の家族』女性年代別の認知率の推移

 

累計興行収入はすでに30億円を突破し、今の勢いが続けば50億円も射程に入る。ポン・ジュノ監督の再来日も、多くのメディアで報じられた。当面、話題度の高止まりが続きそうだ。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『熱心なファンのみならず』(毎日新聞2020年2月28日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
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