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第1回:ファンの信頼を得るキーワード“オーセンティシティ”~特集:クリエイター(インフルエンサー)時代のファン第一主義
公開日: 2024/04/04

特集:クリエイター(インフルエンサー)時代のファン第一主義 第1回

米ロサンゼルスで行われた「Variety Entertainment & Technology Summit 2023」にて2023年9月21日、米エンタテイメント企業やコンテンツ制作プラットフォームのマーケティング担当者が、ファンやインフルエンサーとのコラボレーションによるマーケティング展開について語ったパネルディスカッション「Fan-First Marketing in our Creator Era」が開催されました。本特集では“オーセンティシティ”(真実性や信ぴょう性のこと)をキーワードにパネルの模様をレポートします。

第1回は、ファンとインフルエンサーの相互関係、マーケティングにおいて“オーセンティシティ”が大切であることが語られました。

※本記事で触れられている内容は2023年9月時点の情報です

モデレーター
ハイディ・チャン(Heidi Chung)
Variety Intelligence Platform:メディア担当記者

パネリスト
エミリー・ キング(Emily King)
FOXエンタテイメント(FOX Entertainment):マーケティング&デジタル部門EVP

エレン・ストーン(Ellen Stone)
NBCユニバーサル(NBC Universal):消費者エンゲージメント&ブランド戦略部門EVP

アンジェラ・コーティン(Angela Courtin)
YouTube:ブランド・マーケティング部門VP/グローバル統括者

エラナ・サルザー(Elana Sulzer)
Snap:エンタテイメント統括者

トム・ヘンリー(Tom Henry)
Spotify:クライアント・パートナーシップ、エンタテイメント/ゲーム/スポーツ部門ディレクター

ジミー・ノウルズ(Jimmy Knowles)
Canva:エクスペリエンシャル・マーケティング部門グローバル統括者
《目次》

 

 

視聴者がファン、フレンズ、そしてコミュニティに変化

まずはモデレーターから、「キャンペーンやそのアプローチ方法について考えるとき、ファンとのつながりをどのように考えていますか?」との質問でパネルが始まりました。

先陣を切ったのは、NBCユニバーサルのエレン・ストーン氏。同氏は、同社傘下のケーブル局Bravoを例にあげ、視聴者が「ファン」から「フレンズ」「コミュニティ」に進化していく経緯を語りました。「Bravoにはとても熱狂的なファンがいるのですが、あるとき私たちは、ファンとの関わり方を変えるべきだと気づき、彼らを『ファン』ではなく、『フレンズ』と呼び始めました。その後、何年も関係を築くうちに、彼らは『コミュニティ』や『コネクション』へと発展。ファンと関わるときには常に、コミュニティを作り、広げ、彼らの意見に耳を傾けるようにしています」。

Bravoといえば、ハリウッドのレストランで働く個性的なスタッフが繰り広げるリアリティ番組“Vanderpump Rules(ヴァンダーポンプ・ルールズ)”で、出演者同士の浮気スキャンダルがソーシャルメディアを賑わせました。出演者の一人、トム・サンドヴァルの名前にかけて#scandoval(スキャンドヴァル)というハッシュタグが付いた同現象に、ストーン氏が言及。「ああいった大きなスキャンダルが起きると、ファンは私たちにどんなことを望んでいるのか教えてくれるのですが、スキャンドヴァルにおいては、舞台裏を明かすエピソードをファン同士が一緒に見られる機会が欲しいとの声があがりました。その2週間後、私たちはニューヨークとロサンゼルスでファン合同視聴会を企画。両会場とも参加は有料でしたが、ファンはとても楽しんでくれました」。

 

粗削りでもオーセンティックで迅速な投稿を

最近、マーケティングについて語ると“オーセンティック”(本物の、信頼できる)という言葉が多く出てきますが、モデレーターが「マーケティング・ツールは従来のきれいに整ったものより、粗削りでも生で迅速な言葉や投稿のほうが効果的なのか?」と問いました。

Snapのエラナ・サルザー氏は、オーセンティックな発信の利点に言及。「Snapchatでは、1日に40回も投稿するインフルエンサーがいて、ユーザーは彼らの生活のすべてを追っているため、彼らと知り合いであるような気分になります。つまり、1対1のつながりがより強くなるのです。これまでのメディアでは、どのインフルエンサーも完璧に編集したビデオを見せていましたが、Snapのインフルエンサーは飾らないリアルな姿を見せています。すると、人々は自然に彼らを信用するようになるのです。昨日、あるインフルエンサーと街を歩いていたら、『君が、今日の朝食に何を食べたか知ってるよ』と声をかけられていました。インフルエンサーとユーザーの間に信頼関係が成り立っている証拠です」。

FOXエンタテイメントのキング氏も、オーセンティックというキーワードを強調。「マーケティングに必要とされるツールは、今は以前とほぼ逆になっています。特にソーシャルメディアにおいて、人々はTikTokやSnapchatなどの多様なプラットフォームを多様な方法で使っているので、ただPRコンテンツを制作して、すべてのプラットフォームで一様に流しても、従来のテレビで放送された場合と同じような効果は期待できません。それぞれのインフルエンサーが自分のブランドや声にオーセンティックであることはもちろん、私たちブランド側も自分たちらしさに忠実であることが重要なのです」。

 

オーディエンスを理解しているパートナーと組む

ここでモデレーターは、各社がマーケティングにおいて、異なるターゲット層をどう見ているのかについて質問。YouTubeのアンジェラ・コーティン氏は、……(以下、会員限定記事にて掲載)

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