第3章 公開12週前から興収が見える? 意欲/認知の特徴的な性質

「意欲/認知」の理解で“攻めの宣伝戦略
第3章 公開12週前から興収が見える?
意欲/認知の特徴的な性質

「CATS」データの重要な指標である認知意欲意欲/認知に焦点を絞り、事例を交えつつ紐解いていくコラムの第3章。今回は「CATSデータ」の分析により、新たに判明した意欲/認知の特徴的な性質についてご紹介します。さらにこの性質から、今年4月に最新作が公開される『名探偵コナン』シリーズの過去の意欲/認知と興行収入結果をみると、公開12週前時点で興行収入結果がある程度見えそうだということも判明しました。驚きの分析結果をご覧ください。

第3章 目次

意欲/認知の特徴的な性質

意欲/認知という指標は、実は大きな特徴を持っています。その特徴を述べる前にまず以下のグラフをご覧ください。これは、全作品を対象とした公開12週前から公開週にかけての認知、および意欲の平均推移を表したグラフになります。

最初の数週間は大きな上昇はないものの、露出が本格化する公開前の数週間で認知意欲ともに大きく上がり、公開週では公開12週前の倍以上の値になっています。

一方、同様に全作品を対象とした意欲/認知の平均推移は下図の様になります。

公開週が近づくにつれて多少の増加傾向はありますが、認知や意欲の推移と比べると、意欲/認知の変化はとても小さいことが分かります。このように意欲/認知には、全体の平均値をとると、「ほぼ横ばい」に推移するという特徴的な性質があります。そのため、意欲/認知は早い時期から興収ポテンシャルを読み取れる指標であるといえます。
※公開週に意欲/認知が低下しているのは、「すでに観た」人は「意欲」から除外しているため

 

『名探偵コナン』シリーズは公開12週前に興収が見えている?

意欲/認知の詳細な分析の前に、早いタイミングでの意欲/認知が決定的に興行収入に反映されている例を紹介しましょう。

上記は『名探偵コナン』シリーズの値をマッピングした散布図になります。横軸は公開12週前の意欲/認知、縦軸は最終興行収入を表しています。これより、意欲/認知と最終興行収入には高い相関があることが分かります。2020年4月17日(金)公開の『名探偵コナン 緋色の弾丸』の公開12週前の意欲/認知は15.8%でした。この値を散布図の傾向線上に当てはめると、最終興行収入として90億円程度が期待されることが分かります。

ただし、上記には注意が必要です。『映画クレヨンしんちゃん』シリーズや、『映画プリキュア』シリーズといった他シリーズの意欲/認知では、ここまで顕著な性質は見られません。また、『名探偵コナン 緋色の弾丸』の公開までの動きが、過去作品と同じになるとは限りません。

意欲/認知の推移が「ほぼ横ばい」というのは、あくまで「全作品の平均」の傾向となります。個別作品でみれば意欲/認知がしっかり高まる作品もあれば、残念ながら減少していく作品もあります。そのため、意欲/認知の初期値ですべてが決まるわけではないことにご注意ください。しかし、今回ご紹介した『名探偵コナン』シリーズは、意欲/認知の重要さを説く良い事例となっていることをご理解いただけたかと思います。

次章では、「意欲を高めるのに重要なのは認知? それとも意欲/認知?」と題し、認知、意欲、意欲/認知をさらに深堀りしていきます。各指標の経年変化を多面的に追い、宣伝戦略におけるデジタル活用の進展が引き起こした指標の変化を分析。今、重視すべき指標を解説いたします。


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