VODビジネスの潮流(3/3) 配信ビジネスの展望~5年後はどうなる?4つの予測~(AFMカンファレンスから)
公開日: 2016/03/30
昨年ロサンゼルスで開催されたAFM(American Film Market)におけるカンファレンス中での"Navigating the VOD Landscape: What Every Producer Needs to Know"のセッションからのレポート第3回目。 第1回目はこちら。
5年先はどうなる? 4つの予測
VOD・配信ビジネスとともに移り変わる映画業界。製作・配給・マーケティングなど、それぞれの立場のキープレイヤーたちは、5年後の映画界をどう見るのか?
娯楽大作とインディペンデント映画で異なるモデルが登場
Orchard's Filmのデイヴィッドソン氏は、娯楽大作と中小規模映画で、異なるリリース展開がされるようになっていると予測。音楽業界は、自分たちでパンドラの箱を開け、Pandoraでの無料配信、ストリーミング、Spotifyでのオンデマンド配信など、すべてを同時リリースするようになったが、映画業界はそう簡単にはいかないと語る。劇場側が、『スター・ウォーズ』シリーズや『ジュラシック・ワールド』といった娯楽大作を劇場公開後90日ルール以内にリリースすることを認めるとは考えられないからだ。一方で、インディペンデント映画や、娯楽大作やフランチャイズ作品ではない中小規模作品に ついては、劇場側がよりオープンになっているだろう。そのためには、製作・配給・劇場サイドが日々の売上データを集め、コミュニケーションを図り、作品にあったリリース展開を模索することが必要である。
映画市場の細分化と分裂、そして合理化と統合へ
Broad Green Picturesのニッカーソン氏の予測するのは、市場の細分化と分裂、その後に訪れる合理化と統合。8年前に、大手スタジオの重役からの「映画ビジネスは5年後には今とはまったく違うものになっているはずだ」という助言を受けて、スタジオからサミット・エンタテインメントに移籍した経歴を持つニッカーソン氏。いかなるビジネスにもサイクルはあるもので、今後5年間で市場の細分化と分裂が進み、最終的に合理化され、統合が進むようになるという。また、こうした変化にフレキシブルかつ機敏に対応できる自身の会社Broad Green Picturesにいられることが幸せであるとも語った。
観客の選択肢の増加とコンテンツの国際化
ディレクTVのパテル氏は、直接消費者の趣向がわかるプラットフォームの立場から、ユーザーに映画を提供する新しい方法があるということは、とても興味深くエキサイティングなことだと語る。ディレクTVはグループ会社のAT&Tとの提携も発表。携帯端末を含む、様々な機器で楽しめる配信コンテンツこそが未来であり、コンテンツの国際化にもつながると考えている。
視聴者習慣と財政モデルは変化するがインディペンデント魂は不滅
Vision Filmsのロマノフ氏は、自身の大叔母ですらVODを利用していることを例にあげ、視聴者習慣の変化を強調。消費者がテレビやiPadなど好きな機器でコンテンツを見られる無数チョイスを持つことが、配給会社にとってもいい流れであると語る。視聴者習慣の変化に伴い、収益モデルも変化していくが、インディペンデント魂が生き続けている限り、すべては前向きな進化と言えるはずだ。
VODビジネスの潮流 シリーズ
- モデレーター・パネリスト紹介 VODビジネスの潮流 -配信ビジネスの成長とインディペンデント映画成功のカギ-
- (1/3) いまアメリカで起こっている変化とフィルムメイカーが考えるべきこと
- (2/3) 配信ビジネスの課題 ~最適なウィンドウ戦略の模索~
- (3/3) 配信ビジネスの展望 ~5年後はどうなる?4つの予測~
新着記事
-
『【推しの子】』『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』『ダンダダン』、アニメ化前の推しファン人数からヒットポテンシャルを探る
(2024/12/27) -
『ダンダダン』推しファン人数100万人に到達、『Snow Man』推しエンタメブランド価値3カ月連続1位~2024年12月エンタメブランド調査結果~
(2024/12/27) -
映像・書籍・音楽・ゲーム・ラジオ横断でリーチ力を調査、2024年のTOP3は『ポケモン』『ツムツム』『ONE PIECE』
(2024/12/20)
新着ランキング
-
メディア横断リーチpt 急上昇TOP10(2024年12月第3週)
(2024/12/26) -
メディア横断リーチpt 週間TOP10(2024年12月第3週)
(2024/12/26) -
定額制動画配信サービス 週間リーチptランキングTOP20(2024年12月第3週)
(2024/12/26)