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勢い続く『万引き家族』
公開日: 2018/06/29
2018年6月29日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・チャートの裏側 :勢い続く『万引き家族』」の転載に、補足を加えています
『万引き家族』公開中
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
<シネマの週末・チャートの裏側:週末興行成績(23、24日)>
1. (1) | 万引き家族 | (3週目) |
2. (2) | 空飛ぶタイヤ | (2週目) |
3. (4) | 50回目のファーストキス | (4週目) |
4. (3) | デッドプール2 | (4週目) |
5. (7) | 名探偵コナン ゼロの執行人 | (11週目) |
6. (5) | ワンダー 君は太陽 | (2週目) |
7. (ー) | 焼肉ドラゴン | (1週目) |
8. (8) | 終わった人 | (3週目) |
9. (9) | 羊と鋼の森 | (3週目) |
10. (6) | メイズ・ランナー:最期の迷宮 | (2週目) |
※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
勢い続く『万引き家族』
ランキング1位は3週連続でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督『万引き家族』。累計興行収入は25億円を突破。同映画祭で審査員賞を受賞した同監督、福山雅治主演の『そして父になる』(2013年公開、最終興収32億円)よりハイペースで推移している。
『万引き』と『父』を比較すると、公開時の鑑賞意欲層は両作ともシニアが高めだが、『父』は女性の意欲度が男性より大幅に上回っていたのに対し『万引き』は男女差が小さい。また『万引き』の特徴として、公開から時間がたつにつれ、20代以下の若年層の鑑賞意欲が公開時よりも高まっている。
『万引き家族』と『そして父になる』の公開週、および公開後3週目の意欲率の推移を記した。意欲率とは、映画観賞者(過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人)全体の中で、「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合。ただし、「すでに観た」と回答した人は含まないため、通常、公開後は全体的に数値が下がる傾向にある。
公開時の勢いは受賞による期待と話題度の高まり、公開後の広がりは鑑賞者の反応を含めた作品の特性から来る話題度であろう。タイトルの通り『父』は親の物語、『万引き』は家族の物語と捉えられているのかもしれない。
今後、興行ハイシーズンの夏の到来とともに大作の公開が続くが、現時点ではそれぞれの作品の鑑賞意欲層は重なりが小さい。浮動層の取り込みが大ヒットにおいては重要だが「この作品こそが見たい1本」と答える割合は、今週末を含め4週以内に公開される作品の中で最も高い。興行収入40億円超えも射程に、しばらく勢いは続くだろう。
(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載
◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・チャートの裏側「勢い続く『万引き家族』」(毎日新聞2018年6月29日 東京夕刊)
今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「CATS 作品別詳細レポート」をもとにしています。今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。その他、劇場公開映画に関するデータ・レポートを豊富にご用意しています。
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