オリジナル作品製作戦略と顧客ターゲット戦略
公開日: 2019/06/13
“リアル店舗の小売り事業者傘下”という特殊な展開をしている動画配信サービス「Vudu」のAdVOD事業に着目した本パネル・ディスカッション。連載第2回は、同社のオリジナル作品戦略に焦点をあてます。Vuduが手がける『ミスター・マム』のリブート版を例に、オリジナル作品に託す役割や、顧客層から導かれる作品ジャンルなどを、AdVOD事業のトップであるジュリアン・フランコ氏が明かします。
※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2019年3月)時点の情報です
オリジナル作品が担う役割とは
モデレーター
AdVOD作品はオリジナル作品ではなく、他社コンテンツの配信許諾を得たものですよね? つまりライブラリ作品というわけです。しかし一方で、Vuduはオリジナル作品の独占配信もしています。Vuduがどんなオリジナル作品を製作しようとしているか。そのあたりをぜひ聞かせてください。ピッチを多く行っていることは存じ上げています。
ジュリアン・フランコ(ブードゥー)
我々は毎日多くのピッチをこなしています。作品リストや権利者リストを探し、チェックすることに時間を費やしているわけです。リラックスできる、もしくはくつろげるような作品を探しています。
モデレーター
順調にいっているんですよね?
ジュリアン・フランコ(ブードゥー)
非常に順調です。常にもっと良い作品がないか探しており、最高の作品を最高のウィンドウでお届けできるよう、積極的に獲得しています。我々は作品獲得の素晴らしいチームを抱えているので、かなり主観的な意見ですが、Vuduは最高の無料コンテンツをそろえていると自負しています。オリジナル作品は、平日の夜に何かしらの新鮮味を与える役割を担っています。新しい発見や驚きが求められているのかもしれません。
顧客層に照準をあわせた作品ジャンル
モデレーター
なるほど。ところで、あなたが最初に手がけるのは『ミスター・マム』です。マイケル・キートンが主演した映画のリブート作品ですね。本作はMGMの配給で今年の6月にVuduで配信されるのでしょうか。
ジュリアン・フランコ(ブードゥー)
はい。6月にプレミアを予定しています。映画版の脚本はジョン・ヒューズが手がけていますね。彼の初期の作品です。リブート版はその後日譚で、主夫の父親に育てられたミーガンが大人になった話になります。ミーガンは出産後、仕事に戻れる素晴らしい状況に自分がいることに気が付きます。そして彼女の旦那であるグレッグはこう言います。「僕が家庭に入るから、仕事を選びなよ。素晴らしい機会じゃないか」。少し変わっていて面白く、感動的なストーリーです。もし子どもがいるのなら、気に入っていいただけると思います。
モデレーター
どのように配信を決心されたのですか。
ジュリアン・フランコ(ブードゥー)
ウォルマートにとっては直球といってもいい作品です。現代の家族を描いた話なので支持を得やすいんですね。しかし、本作だけを配信するわけではありません。未就学児童向けや子ども向けの作品のピッチにも耳を傾けています。我々は一緒に鑑賞できる作品、例えば親子で鑑賞できる作品を探しています。なぜなら我々の顧客はファミリー層であると考えているからです。我々は年に数本そういった番組を配信しています。
つまり、ロサンゼルスのシルバーレイクやニューヨークのブルックリンに住むような流行に敏感な人向けの作品を配信するわけではありません。そういったサービスはたくさんありますし、みな素晴らしい仕事をしています。我々はそれらの間にあるような、多くの都市に向けて配信しているのです。
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