コロナ禍の今、映画館で観たい映画はどんな映画? エヴァンゲリオンのヒットを支えた観客心理は? ~GEM映画白書の最新データで紐解く~
公開日: 2021/04/02
エヴァンゲリオンのヒットを支えた観客心理は?
~GEM映画白書の最新データで紐解く~
GEM Partnersは4月2日(金)、映画鑑賞者の属性や行動心理に迫るオンライン分析ツール「GEM映画白書ダッシュボード」の最新2020年度のデータを用いて、コロナ禍における映画鑑賞者の分析結果を発表いたします。
新型コロナウイルスの流行により、昨年は映画館の閉鎖、そして昨年から今年に続く外出の自粛と、映画館に映画を観に行くことのハードルが高まっています。しかし一方で、国内歴代1位の興行収入となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や、現在大ヒット中の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』などといったヒット作品も生まれています。
そこで、最新のGEM映画白書ダッシュボードでは、「映画館で映画を観ること」の価値に改めて着目。「映画館で観たいと思う映画」「映画館で映画を観たいと思う理由」を、映画劇場鑑賞者(2020年に映画館で映画を1本以上鑑賞した人)を対象に企画調査を実施しました。
- 鑑賞者全体では、“好き”と“感動”が映画館で映画を観る強い動機として機能
- 女性は話題性とイベント性、男性は迫力とネタバレ回避を映画鑑賞で重視
鑑賞者全体では“好き”と“感動”が、映画館で映画を観る強い動機として機能
上記は、映画劇場鑑賞者全体での「映画館で観たいと思う映画」のランキングです。上位4位が、「好きなシリーズの作品」「好きだから早く見たい作品」「好きな俳優・女優・声優が出演している作品」「好きな原作(ドラマ・アニメ・漫画・小説など)が映画化された作品」となりました。当たり前ではありますが、“好き”なシリーズ・原作作品やキャストを早く観たいことが、チケット代を払ってでも映画館で観ることの強い動機であることが改めて確認されました。
映画の内容的な項目としては「感動して泣ける作品」が、「スリルがあって、ハラハラ・ドキドキできる作品」(7位)、「現実ではないような、異世界感を味わえる作品」(9位)、「笑える作品」(13位)をおさえて、最上位(全体5位)にランクイン。映画館では“感動”できる映画が内容面で最も求められていると言えます。
さらに「GEM映画白書ダッシュボード」では、「映画館で映画を観たいと思う理由」も全36項目にわたり調査しています。そのTOP2は「大画面・高画質で鑑賞できる」「大音量・高音質で鑑賞できる」となっていますが、次いで「集中して鑑賞できる」「非日常感が味わえる」があがりました。
よって、映画館でチケット代を払うことの最大の価値は、“好きなシリーズ・原作作品・キャストをいち早く、「大画面・高画質」「大音量・高音質」といった最高の設備で観られること”、そして“集中できる非日常的な環境で、感動できる空間であること”と言えるのではないでしょうか。
女性は話題性とイベント性、男性は迫力とネタバレ回避を映画鑑賞で重視
「映画館で観たいと思う映画」は、男女、また年代によってどのような違いがあるのでしょうか? 上記チャートは、「映画館で観たいと思う映画」の各項目を選んだ回答者の女性割合と若者層(20代以下)割合に応じてマッピングしたものとなります。縦軸、横軸に引いているオレンジの線はそれぞれ、映画劇場鑑賞者全体における女性割合、若者層(15~29歳)割合を表しています。そのためバブルが、この線より右にあると女性が、上にあると若者が、映画劇場鑑賞者全体に比べて、より「映画館で観たいと思う映画」となります。
「映画館で観たいと思う映画」に対し、多様なこだわりをみせる女性層
右側、すなわち女性割合が多い側にバブルの多くが位置していることが見て取れます。そのため、女性は男性より「映画館で観たいと思う映画」としてより多くの要素を持っていることが分かります。
項目単位でみると、全体で3位の「好きな俳優・女優・声優が出演している作品」は、最も右かつ上下の中央付近に位置しているため、女性の若者から年配の両方が映画館で観たい作品と言えます。一方、「好きなアーティストが主題歌・劇中歌を担当している作品」は、女性の中でも若年層においてより映画館で観たい作品となっています。「SNSやメディアで話題になっている作品」「友人と観に行って楽しめそうな作品」も同様です。
このことから、キャストに加えてアーティストや楽曲を含めて、SNSなどで取り上げられるような話題性や、友人と観に行けるようなイベント性のある作品は、若い女性において、より映画館で観る価値のある映画と捉えられているものと読み取れます。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のヒットを底支えした男性層の心理
男性割合が多い映画館で観たい作品としては、「爆発シーンや、戦闘シーンの迫力がある作品」「ネタバレされたくないので早く見たい作品」などがあります。これらは、全体ランキングでは中位でしたが、男性では、より映画館で観たい映画と考えられています。それらを踏まえると、初日のチケット争奪戦が話題となった『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、メインの男性ファン層でより映画館で観るべき映画の価値を兼ね備えていたことが、大ヒットの底支えとなった可能性が伺えます。
このように「GEM映画白書ダッシュボード」を利用することで、ターゲット層が映画館で映画を観る際に何を求めているのかを掴むことが出来ます。同様の分析は、ジャンル嗜好者、コンテンツ別鑑賞者、ウィンドウ別鑑賞者などの、多彩なセグメント軸で行うことが可能です。 また、本ダッシュボードの「2020年度 企画調査」では他に、「知っている/興味が沸く/観たい国内・海外の映画のブランド」「普段、映画を観るきっかけになることが多い情報源」「インターネットにおける映画の情報源」も調査しており、ターゲット層の映画ブランドへの認識やターゲット層に効果的なメディアをデータで確認しながら、より確かな施策へ展開していくことが可能です。
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■「GEM映画白書ダッシュボード」(2020年度データ概要)
調査方法/対象:インターネットアンケート/全国に住む15~69歳の男女
調査実施日:2021年1月23日(土)~2021年1月24日(日)
回答者数:9,495人(うち映画劇場鑑賞者 ※ 3,079人分)
重みづけ:総務省発表の人口統計、CATS参加率を参考に各調査者を性年代・映画鑑賞頻度別に重みづけ
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