第5回:米マンガ出版事情、『進撃の巨人(1巻)』がコロナ禍の単行本売上TOPに~「Manga Publishing Roundtable」(前編)
公開日: 2023/10/06
米ロサンゼルスで行われた「Anime Expo」(開催期間:7月1日~4日)にて、マンガ出版のプロたちが、マンガ市場の成長や現状、懸念点や展望について語り合った座談会「Manga Publishing Roundtable」の模様をレポートします。
前編となる第5回は、米国のマンガ出版業界における売上や書店の動向、顧客のニーズなどについて語られました。
※本記事で触れられている内容は2023年7月時点の情報です
デブ・アオキ(Deb Aoki)
マンガスプレイニング&パブリッシャーズ・ウィークリー(Mangasplaining and Publishers Weekly)
パネリスト
細野修平(Shuhei Hosono)
集英社「少年ジャンプ+」「MANGA Plus」:編集長
カート・ハスラー(Kurt Hassler)
角川ワールドエンターテイメント(KADOKAWA WORLD ENTERTAINMENT):代表取締役社長
Yen Press:発行人兼マネージング・ディレクター
ベン・アップルゲート(Ben Applegate)
ペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House):出版サービス・ディレクター
エリック・コウ(Erik Ko)
Udon Entertainment:オペレーション部門チーフ
デビッド・リー(David Lee)
WEBTOON Entertainment:コンテンツ責任者
エド・チャベス(Ed Chavez)
Denpa:社長・編集長
カエ・ウィンタース(Kae Winters)
TokyoPop:マーケティング部長
エヴァン・ミント(Evan Minto)
Azuki:共同設立者・ライセンス&マーケティング・ディレクター
- コロナ禍の売上TOPは『進撃の巨人』の1巻、新規ファン参入の証
- パンデミック時には2~3年分の在庫が数カ月でなくなった
- 書店は既刊書と新刊書の在庫&発注バランスを調整中
- サプライチェーン問題、インフレなどの壁
- 米コミック専門ショップがマンガ販売に着手
左からモデレーターのデブ・アオキ氏、Udonのエリック・コウ氏、Denpaのエド・チャベス氏、「少年ジャンプ+」の細野修平氏、角川ワールドエンターテイメントのカート・ハスラー氏、Azukiのエヴァン・ミント氏、TokyoPopのカエ・ウィンタース氏、ペンギン・ランダムハウスのベン・アップルゲート氏、WEBTOONのデビッド・リー氏
コロナ禍の売上TOPは『進撃の巨人』の1巻、新規ファン参入の証
まずはじめに、米出版大手ペンギン・ランダムハウスで出版サービス・ディレクターを務めるベン・アップルゲート氏が、過去数年の米国のマンガ業界の勢いと傾向を紹介しました。「2020年のマンガ業界はまるでジェットコースターのようで、ひどく落ち込んだ後に急激に上昇するというような動きを見せていました。結果的に、同年は過去最高の売上を記録、2021年も記録を更新し、2022年も非常に好調でした。ただ、毎年、売上が3~4倍になり続けるということはあり得ません。今は全体的に、既刊書は豊富にあるものの売上はほぼ横ばいか減少傾向にあり、新刊は売上が伸びているものの、毎月たくさんのタイトルが出るわけではないという状況。そういった意味で、調整期を迎えています」。
アップルゲート氏はまた、こうした流れのなかで、新たなマンガファンが生まれている可能性にも言及。「2021年の売上トップは、新作でも新たな敵が登場する作品でもなく、『進撃の巨人』の単行本の1巻でした(※1)。もう既存のマンガ読者はすでに持っているはずのタイトルです。つまり、これは、新しい世代の新しい読者層が、既存の人気マンガを発掘している証拠でしょう。アニメやマンガの分野では、しっかりしたオンライン・コミュニティが形成されているため、誰でもそこに飛び込み、あたたかく迎えてもらうことができます」。※1 参考記事:ICv2「Full Year 2021 NPD BookScan - Top 20 Manga」(外部サイトに遷移します)
パンデミック時には2~3年分の在庫が数カ月でなくなった
角川ワールド・エンタテインメントの代表取締役、およびYen Pressのパブリッシャー/マネージングディレクターを務めるカート・ハスラー氏は、出版社側にとっての売上傾向が、必ずしも、顧客の購入傾向を示すものではないことを指摘しました。「出版売上について分析するとき、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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