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玩具で築いた接点を軸にテレビ、ゲーム、パーク、ライブなどIP展開を強化~特集:映画『バービー』ヒットとマテル社の変革 - イノン・クライツCEO基調講演(後編)
公開日: 2023/10/26

特集:映画『バービー』ヒットとマテル社の変革 - イノン・クライツCEO基調講演(後編)

米ロサンゼルスで行われた「Variety Entertainment & Technology Summit 2023」(9月21日開催)にて、映画『バービー』の成功に沸くマテル社のイノン・クライツCEO兼チェアマンが、玩具会社からIP会社へと変貌しつつある同社の方針と今後について語った基調講演の模様を前後編の2回に分けてレポートします。

後編は、映画『バービー』が同社事業の核である玩具ビジネスにもたらした影響、パークやゲーム、デジタル分野への展開についてクライツ氏が語りました。

※本記事で触れられている内容は2023年9月時点の情報です

モデレーター
アンドリュー・ウォーレンスタイン(Andrew Wallenstein)
Varietyインテリジェンス・プラットフォーム:代表&チーフメディア・アナリスト

スピーカー
イノン・クライツ(Ynon Kreiz)
マテル(Mattel):CEO、チェアマン
《目次》

 

 

夏のバービー玩具の売上が約25%増に

映画『バービー』は7月21日に全米公開されましたが、その年の7月と8月には、バービー玩具の売上が約25%増になったという市場データを、モデレーターのアンドリュー・ウォーレンスタイン氏が紹介。映画の成功が、マテル社の核である玩具ビジネスにもたらした影響について問いました。

マテル社CEO兼チェアマンのイノン・クライツ氏は、「映画の成功が商品売上につながったことは確かだが、これも一連のIP戦略のなかで生まれた結果だ」と回答。「玩具の売上を伸ばすために映画を作ろうとしたわけではありません。さらに言えば、映画だけを作ろうとしたのでもなく、文化的イベントを生み出そうという発想から始まりました。人々が観たいと思う、クオリティの高いコンテンツを生み出せば、いいことが起きるに違いないと信じていたのです」。

 

子どもと家族と玩具が特別なつながりを築き、それを他分野へ

その上で、玩具にはファンとのつながりを築く特別な力があると語ったクライツ氏。「玩具市場は、今年、全体的に横ばいか少し下降気味になると思いますが、数年単位で見れば、いい状況にあると思います。“遊ぶ”ことは人間の基本的で普遍的な行為なので、玩具市場は経済的にも耐久性があるのです。親は常に、子どものためにお金を使うことを優先するものですが、クオリティの高い商品や信頼性のあるブランドであればなおさらです」。

「(米国では)ウォルマートやターゲットといった大手量販店だけでなく、スーパーにも薬局にもコンビニにも玩具棚があります。皆、玩具を戦略的に用いているのです。マテルは、そうした玩具ビジネスの世界的なリーダーであると自負しています。玩具は触覚的なもので、子どもたちがハグしたり、一緒に寝たりして、愛着を感じやすい。子どもだけでなく、親も祖父母ともつながりやすいものです。商品を通してファンとのつながりを築けたら、あとは、それを他の分野に広げていけばいいのです」。

 

テレビ、パーク、ゲーム、デジタル分野も強化

そうした他の分野の展開として、現在進行中の15本の映画化企画に加え、テレビ分野でも続々と企画が進行中であると明かしたクライツ氏。……(以下、会員限定記事にて掲載)

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