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映画復興足踏み、真の復興に向けて
公開日: 2021/04/30

2021年4月30日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『「映画復興」再度足踏み』」の転載に、補足を加えています。
『名探偵コナン 緋色の弾丸』

『名探偵コナン 緋色の弾丸』公開中
©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(24、25日)>

1.(1) 名探偵コナン 緋色の弾丸 2週目
2.(NEW) るろうに剣心 最終章 The Final 1週目
3.(2) シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 7週目
4.(3) 劇場版 シグナル 長期未解決事件捜査班 4週目
5.(NEW) BanG Dream! Episode of Roselia I:約束 1週目
6.(5) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 28週目
7.(4) モンスターハンター 5週目
8.(9) 花束みたいな恋をした 13週目
9.(6) 劇場版 奥様は、取り扱い注意 6週目
10.(7) 騙し絵の牙 5週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

名探偵コナン 緋色の弾丸』が2週連続1位となり、2位には前週末公開の人気シリーズ最終章、2部作の1作目『るろうに剣心 最終章 The Final』がつけた。しかし動員は「こんなはずじゃなかった」という結果となった。

緊急事態宣言で、日曜日の25日から東京、大阪など4都府県で多くの映画館が休業となったからだ。昨年来のコロナ禍で世界中の映画館が休館に追い込まれたが、日本での営業再開は比較的早く、延期が相次いだハリウッド洋画の公開を待つばかりだったが、急に足踏みとなった。

一方、アメリカでは1年以上多くの映画館が閉鎖されていたが、ワクチン接種が進み、前向きなニュースも出てきた。主要都市の映画館が再開し、『ゴジラvsコング』が好スタートを切り、全米公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も外国語映画としては記録的な興収となるなど復興の兆しが見える。

映画市場の活性化に必要なのはバラエティに富む作品だ。さまざまなジャンルのヒットが観客層を作り、その観客層がヒットを生み、市場が形成される。日本でも、すでに公開されている邦画やアニメだけでなく、ハリウッド映画の公開が待たれる。誰もが苦しい状況を超えた後、映画興行は真の復興を遂げる。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『「映画復興」再度足踏み』(毎日新聞2021年4月30日 東京夕刊)

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