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劇場版興収100億円突破『呪術廻戦』のブランドパワーとは
公開日: 2022/02/25

2022年2月25日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『熱いアニメ 裾野さらに』」の転載に、補足を加えています。
『劇場版 呪術廻戦 0』

『劇場版 呪術廻戦 0』 公開中
Ⓒ2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 Ⓒ芥見下々/集英社

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(2月19日、20日)>

1.(1) 劇場版 呪術廻戦 0 9週目
2.(NEW) 愛国女子―紅武士道 1週目
3.(NEW) アンチャーテッド 1週目
4.(NEW) 牛首村 1週目
5.(2) ウエスト・サイド・ストーリー 2週目
6.(3) コンフィデンスマンJP 英雄編 6週目
7.(4) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 7週目
8.(NEW) 君が落とした青空 1週目
9.(8) ドライブ・マイ・カー 27週目
10.(5) 嘘喰い 2週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

劇場版 呪術廻戦 0』が5週連続1位を獲得。先週末時点で、累計興行収入が116億円を超える大ヒットとなっている。

近年、映画興行市場におけるアニメの存在感が顕著だ。興収400億円を超えた「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が記憶に新しいが、興収数十億円規模のヒット作も数多い。アニメの実写劇場版も多数ヒットしている。

背景には、大規模なアニメファンの存在がある。最近実施した消費者向け調査結果では、あらゆるエンタメコンテンツのうち、「好き」「はまっている」「推している」ものの上位は、ほとんどアニメ作品が占めた。ファン層が厚く、消費金額・時間も多く、大きな経済圏を形成する。アニメでは『鬼滅の刃』が1位で、『呪術廻戦』が続く(詳細を後述の「エンタメ・ブランド・インデックス(仮)について」にて紹介しています)。

こうしたファンにとって、映画館に行くのは、テレビシリーズ鑑賞やグッズ購入など、ファンとしての活動の一環なのだ。映画館にファンが集まって、大好きなアニメのキャラクターに会い、大画面、良い音響で物語に没入する体験がイベント化している。そして劇場版がヒットするとそれ自体が多くのメディアで取り上げられ、さらにファン層の熱量が高まり、また裾野が広がる。アニメの劇場版のヒットは、アニメ産業、映画産業双方を盛り上げている。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『熱いアニメ裾野さらに』(毎日新聞2022年2月25日 東京夕刊)

エンタメ・ブランド・インデックス(仮)について

弊社では、エンタメ業界の構造とその変化をとらえるべく、エンタテイメントコンテンツのファン市場の規模やブランドパワーを明らかにする「エンタメ・ブランド・インデックス(仮)」を新たな分析・調査サービスとして企画・開発中です。上記のコラムで引用した分析はこの取り組みの中で作成しました。

本調査では、エンタメコンテンツのうち、「好き」「はまっている」「推している」ものについて質問しています。ここで「エンタメコンテンツ」の広い範囲を対象としていて、映画・アニメ・ドラマなどの映像に限らず、舞台・興行、音楽、ゲーム、漫画・書籍、動画配信サービス、投稿型ネット動画サービス、SNS、ドラマジャンル、タレント・有名人、キャラクター、スポーツ観戦、遊園地等、イベント、ギャンブルなどまでを含めています。集計結果は、自由記述結果を弊社開発のエンタメコンテンツデータプロセスアルゴリズムにて処理したものです。

映画参加者人口 月次推移 CATS調査より

すべてのエンタメコンテンツの中で最もファン層が多い(横軸)のが「鬼滅の刃」となりました。これにYouTube、定額制動画配信サービスが続きました。アニメでは、「呪術廻戦』が「鬼滅の刃」に続く2位となりました。

市場規模(円の大きさ)では、「公営競技」が最も大きくなっています。「鬼滅の刃」はこれに続く2位です。それに「パチンコ」「定額制動画配信サービス」「東京ディズニーリゾート」「音楽」「呪術廻戦」の順となりました。

本調査結果は、詳細データプロセス・集計中で、上記は概算速報値です。今後データの精査の結果 数値に変化はある見込みです。また、引き続き様々な軸でエンタメ市場の構造に迫れるよう、本サービスの設計を継続し、明らかになったことを発表していくこととしています。

「エンタメ・ブランド・インデックス(仮)」に関するお問い合わせはこちらから

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