記事

『名探偵コナン』4D上映で興収88億円突破! データで読み解くその背景
公開日: 2018/10/26

2018年10月26日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:「人気高まる4D」』の転載に、補足を加えています
『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』

『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』
4Dアトラクション執行上映:2018年10月19日(金)~<3週間限定>上映
©2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(20、21日)>

 

1. (1) 宇宙の法 −黎明編− (2週目)
2. (ー) 億男 (1週目)
3. (2) 日々是好日 (2週目)
4. (3) ルイスと不思議の時計 (2週目)
5. (4) プーと大人になった僕 (6週目)
6. (ー) 魔法少女リリカルなのは Detonation (1週目)
7. (6) クワイエット・プレイス (4週目)
8. (5) 劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ (4週目)
9. (ー) 名探偵コナン ゼロの執行人 4D (1週目)
10. (8) パーフェクトワールド 君といる奇跡 (3週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

週末のランキングには久しぶりに見る名前が登場した。春に公開され大ヒットした『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』である。今回は3週間限定の「4Dアトラクション上映」。4Dは映画の内容に連動して座席が動き、風・光・水しぶきなどの演出が劇場内で行われる「体感型上映」方式である。「映画館でしか味わえない」鑑賞体験として、近年人気が高まっている。

 

通常料金に1000~1200円追加する必要があるが、売り切れる場合も多い。より価値の高い体験にお金を払う観客が多くいるということだ。コナンも、動員数ランキングでは9位だが、平均単価も他のランキング内作品の2倍近く、興収ベースでの週末ランキングでは3位である。

 

また、4D上映は若い人の間で人気で、4D上映形式への関心層の中では若い女性が占める割合が高い。『名探偵コナン ゼロの執行人』ファン層と重なりが大きかったかもしれない。

 

 

『名探偵コナン ゼロの執行人』4D関心層、公開週興味率
※興味層:映画観賞者(過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人)全体の中で、本作を「興味はあるので観るかもしれない」(興味率)、または「絶対に映画館で観る」(意欲率)と回答した人全体の割合(「すでに観た」と回答した人は含まない)

 

 

もう一つの注目点は、この4D上映の成功で、今年の『名探偵コナン ゼロの執行人』の累積興行収入が88億円を突破したこと。現時点で今年の興収ランキング1位は90億円を超えた『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』。今回の3週間限定上映の快進撃が続けば『名探偵コナン ゼロの執行人』『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』を抜くだろう。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解『人気高まる4D』(毎日新聞2018年10月26日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「GEM映画白書オンライン」、および「CATS 作品別詳細レポート」をもとにしています。

GEM映画白書オンライン」は、2014年から2017年にかけてのべ1万人以上を対象にアンケートを実施。映画市場を理解し、次の作品の戦略立案にご活用いただける商品です。

CATS 作品別詳細レポート」は、今後劇場公開予定の作品について、浸透度などをもとに宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

そのほか、同時期公開作品の浸透度を俯瞰して把握できる「CATS 市場概況レポート」もおすすめです。認知、興味、意欲といった指標をはじめ、公開初週土日の興行収入シミュレーションやテレビ露出量、劇場予告編到達率、さらにはデジタルにおける最新露出状況を、同時期公開作品間で比較いただけます。

どちらもGEM Standard会員様、非会員様に限らず購入いただけます。またCATSデータの部分販売も可能ですので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。