第3回:ウェブトゥーン誕生の裏にあった韓国の経済事情とマンガ愛~パネル「Vertical to Horizontal」(前編)
公開日: 2023/09/22
米ロサンゼルスで行われた「Anime Expo」(開催期間:7月1日~4日)にて、縦スクロール・フォーマットでマンガ界に革命を起こしたウェブトゥーンの歴史と、同フォーマットならではのストーリーテリング、書籍化する際の工夫などについて、WEBTOON Entertainment とTokyoPop、Yen and Ize Pressのクリエイターや編集者が語ったパネルディスカッション「Vertical to Horizontal: Webtoon Storytelling, from Screen to Page」の模様をレポートします。
※本記事で触れられている内容は2023年7月時点の情報です
デブ・アオキ(Deb Aoki)
マンガスプレイニング&パブリッシャーズ・ウィークリー(Mangasplaining and Publishers Weekly)
パネリスト
デビッド・リー(David Lee)
WEBTOON Entertainment:コンテンツ責任者
ジュユン・リー(JuYoun Lee)
Yen and Ize Press:副出版人兼編集長
カエ・ウィンタース(Kae Winters)
TokyoPop:マーケティング部長
第3回は前編として、ウェブトゥーン誕生と発展の経緯について、インターネットやスマートフォンの普及、韓国の経済事情、“マンガオタク”の情熱にまつわるエピソードを交えながら語られた様子をレポートします。
- 米マンガ家スコット・マッククラウドが提唱した“無限キャンパス”
- ウェブトゥーン誕生の裏に韓国の経済事情
- スマートフォン普及が縦スクロールの成長を後押し
- ユーザー生成型ならではのビジネス&クリエイティブ面の強み
- 究極なマンガオタクによる情熱ピッチが普及の決め手?
左からWEBTOONのデビッド・リー氏、Yen and Ize Pressのジュユン・リー氏、モデレーターのデブ・アオキ氏、TokyoPopのカエ・ウィンタース氏
米マンガ家スコット・マッククラウドが提唱した“無限キャンパス”
まずはじめに、モデレーターを務めるマンガスプレイニング&パブリッシャーズ・ウィークリーのデブ・アオキ氏が、ウェブトゥーン誕生を語る上で欠かせない、米マンガ家スコット・マククラウドの名前を挙げました。
「インターネットが普及し始めた2000年に、マンガに関する著書を多く持つ米マンガ家スコット・マッククラウドが自著“Reinventing Comics(マンガの再発明)”のなかで、ネット時代のマンガの発展についてマンガを使って予測解説しました。マンガがウェブで見られるようになれば、従来のようにページにあわせてコマ割りをする必要はないとし、横向き、縦向きなど、あらゆる方向に物語を展開できる“無限キャンパス(infinite canvas)”という概念を提唱したのです」。
ウェブトゥーン誕生の裏に韓国の経済事情
その後、アオキ氏は、ウェブトゥーン誕生を招いた韓国の経済事情にもスライドを用いて言及。ウェブトゥーン以前は……(以下、会員限定記事にて掲載)
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