第5回:未来に向けて配給と興行が互いに望むこと~特集:アジア映画市場発展の条件
公開日: 2024/03/13
タイのバンコクで開催されたアジアの映画興行・配給事業者向けコンベンション「CineAsia(シネアジア)」(開催期間:2023年12月4日~7日)より、APAC(アジア太平洋)地域の現状と今後の課題について、配給、興行業界のベテランが議論を交わした座談会「Executive Roundtable」の模様をレポート。第5回は、興行側と配給側が互いに望むこと、映画館への観客動員のための課題について語られました。
※本記事で触れられている内容は2023年12月時点の情報です
ランス・パウ(Rance Pow)
アーティザン・ゲートウェイ(Artisan Gateway):創業者兼CEO
スピーカー
■配給側
カート・リーダー(Kurt Rieder)
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ(Warner Bros. Pictures):APAC劇場配給部門シニアバイスプレジデント
ブレット・ホッグ(Brett Hogg)
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment):国際配給部門エグゼクティブバイスプレジデント
■興行側
グエン・ティ・マイ・ホア(Nguyen Thi Mai Hoa)
ギャラクシー・スタジオ(Galaxy Studios):CEO
ハビエル・ソトマイヨール(Javier Sotomayor)
シネポリス(Cinépolis):アジア&中東地域管轄ディレクター
- ローカル、リージョナル、ハリウッドが混在する多様な上映
- さまざまな層を引き付けるバラエティ豊かなラインナップ
- 米スタジオは他国に学びつつ自己修正中
- ハリウッドは高予算の特殊効果に頼りすぎ?
- 映画館に観客を動員するための課題
ローカル、リージョナル、ハリウッドが混在する多様な上映
まずは興行側となるギャラクシー・スタジオのグエン・ティ・マイ・ホア氏が、「私たちは現在、ベトナム全土に1,100以上のスクリーンを持っており、毎年、約200本以上の映画を上映していますが、他の興行主たちも新しい映画館を作っているので、さらに増えると思います」としたうえで、「ローカル・コンテンツとリージョナル・コンテンツ、新鮮なハリウッド・コンテンツのミックスにより、多様なコンテンツやストーリーが届けられればうれしい」と語りました。
さまざまな層を引き付けるバラエティ豊かなラインナップ
シネポリスのハビエル・ソトマイヨール氏も、「観客が好むジャンルの幅が広がるなか、子どもから若者、若いカップルから大人、シニアまで、さまざまな層を惹きつけられる多様な映画が欲しい」とコメント。「ハリウッド映画に関しては、それがハリウッドらしい作品か否かは重要ではなく、とにかくバラエティ豊かなラインナップが欲しい。また、週ごとの変動が少なく、年間を通して、毎週安定した高い観客動員を確保できれば最高です」と語りました。
さらにインド市場の特性も共有。「インドで、私たちは年間1,100本の映画を公開しています。インドのシネコンのスクリーン数は平均5スクリーンと、非常に少ない方ですが、その小さな場所で1,100本を公開するのは、ある種の芸術。劇場稼働率は非常に高く、おそらく世界でもトップクラスでしょう。こうしたなか、興行主としては、毎年、何千本もの映画が公開されることを望んでいますが、作品への投資が利益を生むものでなければならないことも理解しています」。
米スタジオは他国に学びつつ自己修正中
一方、配給側であるワーナー・ブラザース・ピクチャーズのカート・リーダー氏は、「スタジオはさまざまな面で自己修正中で、その作業には2~3年かかるだろう」と明かしました。「映画が大失敗したり、否定的な報道がなされたり、ソーシャルメディアで酷評されたりすると、製作サイドはそれを次に活かすために私たちに聞いてきます。何がうまくいかなかったのか? どんな失敗をしたのか? キャンペーンなのか? コンセプトなのか? 実践の仕方なのか? そのすべてが製作チームにフィードバックされ、今後の脚本や企画に反映されています。……(以下、会員限定記事にて掲載)
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