<映画鑑賞者調査>コロナ禍の映画興行、日本アニメと過去の名作映画が若者を動員して市場を支える
公開日: 2021/03/19
日本アニメと過去の名作映画が
若者を動員して市場を支える
GEM Partnersは3月19日(金)、映画鑑賞者の属性や行動心理に迫るオンライン分析ツール「GEM映画白書ダッシュボード」の最新データを用いてコロナ禍における映画鑑賞者の分析結果を発表いたします。
2020年は新型コロナウイルスの影響により、映画館は営業時間の短縮や休業を余儀なくされました。そういった困難な状況のなか、映画興行市場をけん引したのは誰か。さらには、動画配信など映画鑑賞方法が多様化するなか、それでもなお映画館での鑑賞を強く求める人々はどういった層なのか。「GEM映画白書ダッシュボード」が7年にもわたって実施している“定点調査”から紐解きます。
- 映画劇場鑑賞者に占める鑑賞者割合が前年から大きく増加した「日本映画(アニメ)」「その他過去の名作映画」
- 「その他過去の名作映画」鑑賞者のボリュームゾーンは男女20代
映画劇場鑑賞者に占める鑑賞者割合が前年から大きく増加した
「日本映画(アニメ)」「その他過去の名作映画」
上記は、2021年1月に実査した最新データ(2020年度データ)から、映画劇場鑑賞者(劇場での年間鑑賞本数1本以上)のうち、「日本映画」の実写/アニメ、「外国映画」の実写/アニメ、「その他過去の名作映画」を鑑賞した人の割合を前年と比較したグラフです。
2020年、最も鑑賞割合が高かったのは「日本映画(アニメ)」で、前年比12pt以上の大幅増を記録しました。これは2020年10月16日に公開され、日本歴代興行収入1位を記録した大ヒットアニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の影響が色濃く出たと考えられます。一方で、新型コロナウイルスの影響による公開延期などがあり、「外国映画」の実写/アニメは前年から大きく減少しました。
「日本映画(アニメ)」の増加には目を見張るものがありますが、注目は前年比3.7pt増の8.5%を記録した「その他過去の名作映画」鑑賞者です。「GEM映画白書ダッシュボード」では、コンテンツ鑑賞者割合を本グラフの項目含め、13種で調査を行っています。そのなかで、「その他過去の名作映画」は、「日本映画(アニメ)」に次いで、前年から大きくポイントをあげた項目となりました。
GEM映画白書ダッシュボードでは「映画館で映画を観る時に求めるもの」を、全18項目にわたって毎年継続調査しています。映画劇場鑑賞者全体ではこれらの値は2019年と2020年で大きな変化はありませんでした。しかし、「その他過去の名作映画」鑑賞者では「日常生活からの解放」「気分転換」の2項目が2020年に上昇しています。
コロナ禍の自粛生活におけるストレスフルな生活において、「その他過去の名作映画」鑑賞者は映画館での非日常な空間に価値を感じ、過去の名作を鑑賞することでリフレッシュしていたことが読み取れます。
「その他過去の名作映画」鑑賞者のボリュームゾーンは男女20代
上記グラフは、映画劇場鑑賞者において、性年代ごとに「その他過去の名作映画」の鑑賞者割合を示したものです。鑑賞割合が最も高かったのは男女ともに20代で、前年から大きく伸長しました。一方、最も大きく数値を伸ばしたのは男性30代で、前年比7.1pt増の12.8%を記録しました。女性50代も伸長していますが、全体としては前年よりもさらに、男女20代前後の鑑賞割合が伸びていることが伺えます。これは、「一生に一度は、映画館でジブリを。」をスローガンに、2020年6月26日からスタジオジブリの4作品が公開されたことも後押ししたと考えられます。
上記グラフは「その他過去の名作映画」鑑賞者の性年代別鑑賞構成比です。ボリュームゾーンは20代で、男女ともに大きな割合を記録しました。意外にも、過去の名作を映画館で観たであろう年配層ではなく、30代以下の若者層でおよそ7割を占めていることが分かります。
コロナ禍で公開作品が減っていたなか、「その他過去の名作映画」鑑賞者が映画興行の一定の下支えをしていたことが本調査から判明しました。また、動画配信やDVD・BDなどでも観られる過去の名作映画を“映画館”で味わいたい人がおり、30代以下の若者がその多くを占めているという興行市場にとって希望が持てる結果も「GEM映画白書ダッシュボード」から浮かび上がってきました。
「GEM映画白書ダッシュボード」の詳細、購入、お問い合わせ
■「GEM映画白書ダッシュボード」(2020年度データ概要)
調査方法/対象:インターネットアンケート/全国に住む15~69歳の男女
調査実施日:2021年1月23日(土)~2021年1月24日(日)
回答者数:9,495人(うち映画劇場鑑賞者 ※ 3,079人分)
重みづけ:総務省発表の人口統計、CATS参加率を参考に各調査者を性年代・映画鑑賞頻度別に重みづけ
新着記事
-
音楽鑑賞のデジタルサービスシフトを世代間で比較する
(2024/11/22) -
音楽IP戦略とデータ活用:アーティストへのリーチをチャネル別・サービス別に把握してプロモーション設計を最適化する【レコード会社編】
(2024/11/18) -
IP商品ラインアップとデータ活用:商品カテゴリー毎に顧客が求めるエンタメブランドを発見する【全国小売流通企業編】
(2024/11/08)
新着ランキング
-
メディア横断リーチpt 急上昇TOP10(2024年11月第2週)
(2024/11/21) -
メディア横断リーチpt 週間TOP10(2024年11月第2週)
(2024/11/21) -
定額制動画配信サービス 週間リーチptランキングTOP20(2024年11月第2週)
(2024/11/21)
アクセスランキング
(過去30日間)
-
U-NEXTがシェア拡大し5年連続首位のNetflixに迫る、成長続く定額制動画配信市場は5,000億円超え(前年比12.1%増)
(2024/02/16) -
大ヒット『ラストマイル』は女性20代がけん引、公開後も鑑賞意向の高さが際立つ~「シネマ鑑賞者スコープ」で夏のヒット映画9作品を研究
(2024/11/07) - ランキング ジャンル別一覧
-
SNS発のオリジナルキャラクターを分析、『ちいかわ』『お文具』『んぽちゃむ』『おでかけ子ザメ』『コウペンちゃん』の人気が急上昇~2024年9月エンタメブランド調査結果
(2024/09/27) -
定額制動画配信サービス 週間リーチptランキングTOP20(2024年10月第3週)
(2024/10/24)