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『アラジン』大ヒットの影響をCATSデータで読み解く
公開日: 2019/06/28

2019年6月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:『夏の期待作を後押し』の転載に、補足を加えています

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(22、23日)>

 

1. (1) アラジン (3週目)
2. (NEW) ザ・ファブル (1週目)
3. (NEW) X-MEN:ダーク・フェニックス (1週目)
4. (2) メン・イン・ブラック:インターナショナル (2週目)
5. (3) ゴジラ キング・オブ・モンスターズ (4週目)
6. (5) コンフィデンスマンJP (6週目)
7. (6) 劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム (2週目)
8. (4) ガールズ&パンツァー 最終章 第2話 (2週目)
9. (NEW) きみと、波にのれたら (1週目)
10. (7) 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (2週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

動員ランキングは3週連続でディズニー配給の『アラジン』が1位となった。先週末時点で累計興収は55億円を超えており、その勢いは2014年に公開され興行収入250億円を超えた『アナと雪の女王』と匹敵すると注目度が高まっている。ヒットの要因としては、映画館の映像・音響設備が生きる内容・楽曲、話題に火が付くと口コミが広がりやすい若い女性に訴求していることなど、さまざまな点が挙げられよう。

 

ここではデータからヒットの影響を考えてみたい。注目したのは、1年に1本以上映画館で映画を見る映画参加者人口における、「ディズニー映画」を好きな映画として挙げる人の割合である。5年前、2014年初頭にさかのぼると、この値は21%程度。『アナと雪の女王』の公開で一気に29%まで跳ね上がる。その後上下に推移し、2017年4月公開の『美女と野獣』が大ヒットしていた6月に35%となった。そして今回、『アラジン』3週目を迎えた時点で過去5年間で最高の36%に達した。

 

「ディズニー映画」を好きな映画として挙げた人の割合推移
年間1本以上映画を鑑賞する男女15歳から69歳が「好きな映画のタイプ」で「ディズニー映画」を選択した割合の推移。毎週土曜日に調査し、2014年1月4日から2019年6月22日までの調査結果を掲載した。掲載数値は前1週、後2週の移動平均値。

 

もちろん、この観客層の中で、夏のディズニー作品、ピクサーによる『トイ・ストーリー4』や『ライオン・キング』への意欲度は極めて高い。『アラジン』のヒットは、この夏の期待作のヒットに向けた後押しにもなっていると考えられる。

 

 

* 補足データ *

 

「ディズニー映画」を好きな映画として挙げた人の割合と鑑賞意欲の関係
2019年7月12日に公開が控える『トイ・ストーリー4』は、『アラジン』を上回る意欲率、「ディズニー映画」好き割合を獲得。『アラジン』の後押しにより36%にまで達した「ディズニー映画」好きの割合だが、今夏は『トイ・ストーリー4』『ライオン・キング』により、さらに拡大する可能性が高い。

鑑賞意欲率:映画観賞者全体の中で、各作品を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合(「すでに観た」と回答した人は含まない)※「映画鑑賞者」は、過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人

 

「ディズニー映画」を好きな映画として挙げた人の割合と鑑賞意欲の関係
ディズニー作品に限らず、鑑賞意欲の高い作品における「ディズニー映画」好きの割合が高いことが分かる。

鑑賞意欲率:映画観賞者全体の中で、各作品を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合(「すでに観た」と回答した人は含まない)※「映画鑑賞者」は、過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『夏の期待作を後押し』(毎日新聞2019年6月28日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

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