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『アナと雪の女王2』破格のヒット 2019年興行市場とともに「未知の旅」へ
公開日: 2019/11/29

2019年11月29日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:破格のヒット 未知の旅へ』の転載に、補足を加えています

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(23、24日)>

 

1. (NEW) アナと雪の女王2 1週目
2. (NEW) 決算!忠臣蔵 1週目
3. (1) ターミネーター:ニュー・フェイト 3週目
4. (2) 映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ 3週目
5. (3) IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 4週目
6. (4) ジョーカー 8週目
7. (6) 冴えない彼女の育てかた Fine 5週目
8. (5) マチネの終わりに 4週目
9. (NEW) ゾンビランド:ダブルタップ 1週目
10. (ー) 映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて 6週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

ディズニー配給の『アナと雪の女王2』は、公開初日からの3日間累計興収で19億円を突破する破格の大ヒットスタートを切った。前作は2014年の春に公開され、16週連続で週末興収ランキング1位に。最終興収では、歴代3位となる255億円を記録。社会現象となり、映画市場内においても、ディズニーブランドの位置付けを大きく押し上げた。

 

その後、数々の同社配給映画の大ヒットも相まって、ディズニーブランドが市場内で浸透するなかで『アナ雪』ブランドもしっかりと根付いていたようだ。

 

『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』意欲率の推移
前作と『2』の公開週に調査した、「映画鑑賞者人口に占めるディズニー映画好きの割合」を比較すると、27%から36%へと増加しており、着実にディズニー映画好き(=ディズニーブランド)が浸透してきていることが分かる。さらに、ディズニー映画好きに占める各作品の鑑賞意欲率をみると、前作は18%、『2』は21%となった。『アナ雪』ブランドがディズニー映画好きのなかでしっかり根付いているともに、前作よりも『2』への期待感が高まっていることが分かる。
意欲率:映画観賞者全体の中で、本作を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合 (「すでに観た」と回答した人は含まない)※「映画鑑賞者」は、過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人

市場調査に基づく鑑賞意欲率を比べると、前作の公開時点での鑑賞意欲率6.6%に対して、『2』は公開12週前から意欲率が6.5%あり、公開週には9.4%に達している。

 

性年代別の意欲率の高さを比較すると、30代以下の女性が高めなのは同じだが、『2』は前作の公開時点よりも男性の意欲率が高まっており、裾野の広がりがうかがえる。

 

『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』意欲率の推移 『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』公開週の性年代別意欲率
意欲率:映画観賞者全体の中で、本作を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合 (「すでに観た」と回答した人は含まない)※「映画鑑賞者」は、過去1年間に映画館で1本以上映画を観た人

公開週末興収は前作の約2倍。主要配給会社の興収が前年比約20%増という記録的活況の中で、本作の展開にはさらに期待がかかる。本作も、19年興行市場も「未知の旅」へ踏み出したことは間違いない。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『破格のヒット 未知の旅へ』(毎日新聞2019年11月29日 東京夕刊)

 

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で詳細に把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

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