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「第2のデジタル革命」はすでに起こっているのか?
公開日: 2019/11/15

特集「第2のデジタル革命と映画マーケティングの変化」 Vol.10
第6章 終わりに
「第2のデジタル革命」は
すでに起こっているのか?

 

デジタルシネマ技術の導入を最初のデジタル革命とし、現在のデジタルマーケティング革命を「第2のデジタル革命」ととらえた本特集。最終回となる第10回は、現在の映画業界は革命のどの段階にいるのかについて着目し、グローバル展開する興行会社と在欧ハリウッドメジャートップが見解を披露。さらに、Global Cinema Federation(GCF)の会長を務めるCinépolis社のアレハンドロ・ラミレス・マガーニャ氏が、GCFとして「第2のデジタル革命」に対して抱く期待感と課題を明かしました。

 

※本記事で触れられている内容は2019年6月時点の情報です。

 

《目次》

 

デジタル革命に飲み込まれる可能性

 

 モデレーター
締めくくりとして、シンプルながら非常に重要な質問をさせていただきます。「第2のデジタル革命」は、既に我々の日常に入り込んで新たなスタンダードとなっているのでしょうか。それとも、まだ緒に就いたばかりでしょうか。ジェーン、シンプルな見方をしていらっしゃるあなたからお願いします。

 

 ジェーン・ヘイステイングス(Event Hospitality & Entertainment社)
既に日常になっていると思います。私の考えでは、デジタル革命は継続的なものです。第1、第2、第3があるのではなく常に進行中で、ビジネス改善につながるものがあれば取り入れていきます。

 

 ダンカン・クラーク(Universal Pictures International社)
私はまだ始まったばかりだと感じています。例えば、iPadが登場する5~6年前には、このようなものが生活を左右する時が来るとは想像だにしなかったはずです。

先ほど、息子の話をしました(参照『「プレミアムマーケティング」の可能性』)。今17歳くらいなのですが、10年後の自分たちは現時点ではまだ存在していない仕事に従事しているだろうと、学校で教わったそうです。この継続的な変化は、後から振り返ってみると驚くべきものであり、その変化の度合いは年々大きくなっているのです。

 

 トニー・チェンバース(The Walt Disney Company EMEA社)
我々は継続的な変化のなかにいるのだと思います。そして、我々がそのデジタル革命に飲みこまれてしまう可能性はあります。

冷静に事実だけに目を向ければ、市場やその成熟度といった状況の違い、興行会社やスタジオなどといった立場の違いなどによってニーズが違うことが見えてきます。我々がフォーカスすべきは来館頻度の向上です。しかし、ひとつの手法でそれを実現することは不可能であると、肝に銘じなければなりません。そうすれば、結果はおのずとついてきます。

 

 ティム・リチャーズ(Vue Entertainment社)
おっしゃる通りです。私も皆さんと同意見で、これは「第2のデジタル革命」ではなく継続的な変化なのだと思います。とはいえ、顧客に対する利用方法や効果的な活用に関しては、まだまだ初期段階です。これはつまり、非常に大きく、エキサイティングな機会が残されていることを意味しているのです。

 

 

 

 

取り組むべき大きなチャンスと課題

 

 モデレーター
アレハンドロ、 あなたは世界有数の映画興行会社のCEOであるだけでなく、Global Cinema Federation(GCF)の会長でもあります。

あなたにとって映画業界における「第2のデジタル革命」とは何を意味するのでしょうか。GCF会長として、そして世界最大級の映画興行会社のトップとして取り組む最優先事項なのでしょうか。それとも将来の課題なのでしょうか。

 

 アレハンドロ・ラミレス・マガーニャ(Cinépolis社)
最優先事項であると考えています。我々は日々、技術変化の影響を受けています。この点に関して、映画業界は非常に敏感です。新たなタイプのエンターテインメントや多種多様なプラットフォーム上でアクセスできる新規コンテンツなど、今日話題に上ったことはすべて目の当たりにしてきました。パネリストの皆さんがおっしゃる通り、これは大きなチャンスなのです。

同時に課題もあり、ダンカンが息子さん世代について話したことに要約されます。我々は何としても若い世代を取り込んでおかなければなりません。彼らこそが余暇時間が長く、最も頻繁に映画館に足を運んでくれる層なのですから。

様々なプラットフォームで何時間にもわたってコンテンツを消費しているうちに、映画館に足を運ぶ回数が減り、意欲や習慣を失う可能性があります。業界全体の課題は、いかにしてこういった若い層に我々世代と同じ頻度で映画館に足を運んでもらうかです。

 

 モデレーター
ありがとうございました。パネリストの皆さん、本日はご参加いただきありがとうございます。年を追うごとに、CineEuropeが世界の動向の中心にヨーロッパがあることを実感させてくれる場になってきていることに深い感慨を覚えます。皆さんにご参加いただけたことは、その何よりの証拠だと思います。

 

 

第2のデジタル革命と映画マーケティングの変化