記事

『いのちの停車場』『鬼滅の刃』のヒットと映画興行の復興に向けて
公開日: 2021/05/28

2021年5月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『積み重ねの向こうに」の転載に、補足を加えています。
『いのちの停車場』

『いのちの停車場』公開中
©2021「いのちの停車場」製作委員会

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(22、23日)>

1.(NEW) いのちの停車場 1週目
2.(1) 美しき誘惑-現代の「画皮」- 2週目
3.(NEW) 地獄の花園 1週目
4.(3) るろうに剣心 最終章 The Final 5週目
5.(2) 名探偵コナン 緋色の弾丸 6週目
6.(4) シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 11週目
7.(5) 劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram 2週目
8.(6) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 32週目
9.(NEW) 劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ!~怪盗からの挑戦! ラブでパパッとタイホせよ!~ 1週目
10.(8) ファーザー 2週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

吉永小百合主演の新作『いのちの停車場』が1位でスタート。緊急事態宣言などで東京、大阪の一部の映画館が休業、他地域でも多くの映画館が営業縮小となる状況で、興行収入も1億4000万円を超え、興行の腰の強さ次第で最終10億円も見える。15~69歳の鑑賞意欲度調査によると、男女60代の意欲率が突出しており、コロナ禍の自粛で来場者が減少傾向にあったシニア層を中心としたヒットだ。

『いのちの停車場』公開週の性年代別意欲率

もう一つ明るいニュースとしては、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が興収400億円を突破した。本作は45カ国・地域で上映されており、全世界興収517億円、累計来場者数は4135万人と発表された。動画配信サービスでアニメのファン層が形成され、数々の国で記録を塗り替えるヒットとなった。コロナを吹き飛ばすような快進撃を、世界中で展開している。

一方で、市場環境の厳しさもうかがえる。コロナ禍で、年間1本以上映画を見る映画参加者人口の減少傾向に続き、1人当たりの鑑賞本数も減っているのだ。次のヒット作のベースは、今、映画やアニメを鑑賞している人たちだ。どんな形であれ映画に接することが映画産業への後押しとなる。ヒットの積み重ねの向こうに、皆が見たい映画を楽しめる日常が帰ってくる。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『積み重ねの向こうに』(毎日新聞2021年5月28日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で詳細に把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

そのほか、同時期公開作品の浸透度を俯瞰して把握できる「CATS 市場概況レポート+(プラス)」もおすすめです。認知、興味、意欲といった浸透度をはじめ、公開初週土日の興行収入シミュレーションやテレビ露出量、劇場予告編到達率、さらにはデジタルにおける最新露出状況を、同時期公開作品間で比較いただけます。

どちらもGEM Standard会員様、非会員様に限らず購入いただけます。またCATSデータの部分販売も可能ですので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

レポート・データ解説