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『君の名は。』の伸びしろ
公開日: 2016/10/28

2016年10月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された記事の転載と、その補足データです。
(C)2016「君の名は。」製作委員会

(C)2016「君の名は。」製作委員会『君の名は。』 2016年8月26日公開

 

先週末のランキング1位「君の名は。」は、興行収入が164億円を突破し、歴代興行収入は9位となった。1~8位の顔ぶれは「千と千尋の神隠し」(最終興収308億円)などのジブリ作品、「タイタニック」(同262億円)、ハリーポッターシリーズなど、「一世を風靡(ふうび)した」その時代の象徴的な映画が並ぶ。

 
日本国内歴代興行収入ランキング

順位

作品名

配給会社

興行収入
(億円)

公開年

1位

千と千尋の神隠し

東宝

308

2001

2位

タイタニック

FOX

262

1997

3位

アナと雪の女王

ディズニー

254

2014

4位

ハリー・ポッターと賢者の石

ワーナー

203

2001

5位

ハウルの動く城

東宝

196

2004

6位

もののけ姫

東宝

193

1997

7位

踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

東宝

173

2003

8位

ハリー・ポッターと秘密の部屋

ワーナー

173

2002

9位

君の名は。

東宝

164

2016

 

では、「君の名は。」はどのように「一世を風靡」しているのか。15~69歳の映画参加者人口(1年に1本以上、映画館で映画を見た人)のうち、先週末時点で「君の名は。」を「映画館で見た」と答えた人の割合は男女10代、20代で30%を超えている。年代が上がると男女を問わず割合が下がっていき、男女60代では7~9%。「君の名は。」を見た人の割合は、男女差は小さいが、世代間の差は大きい(図1)。
 

図1 「君の名は。」の性年代別鑑賞率

chart01


最終興収が256億円を超え、大ヒットの記憶がまだ新しい「アナと雪の女王」は男女の差が大きかったが、世代間格差は小さかった(図2)。
 

図2 「アナと雪の女王」の性年代別鑑賞率

chart02


興行収入の推移が今のペースを維持すれば、年末年始のころには200億円を超える計算となる。まさに先述の「アナ雪」に追いつけるか注目される。そのためには、若年層でさらに取り込み、高年齢層での動員を実現することが必要となってくる。

一方、「君の名は。」を「まだ見ていないが、見たい」と答える人の割合は、鑑賞した割合と比べると世間間の差は小さい(図3)。まだしばらく目が離せない状況といえよう。
 

図3 「君の名は。」の性年代別意欲率

chart03

 

(参考)「アナと雪の女王」の性年代別意欲率

chart04

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 「「君の名は。」の伸びしろ」 (毎日新聞2016年10月28日 東京夕刊)