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モバイル視聴の可能性
公開日: 2017/12/08

VOD(動画配信)ビジネスの未来~北米での最新ビジネス事情から~(4)

 

2017年11月初頭に米国カリフォルニア州サンタモニカで開催されたAFM(American Film Market)のカンファレンスから、世界中でいつでもどこでも映画が配信される中どのように鑑賞者に映画を届けて収益を上げるべきなのか。また、未来はどうなっていくのかについて、第一線で活躍するマーケッターたちが語ったセッション(AFM Distribution Conference Future of Video on Demand)をレポートします。

※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2017年11月)時点の情報です

 

スピーカーやパネリストの詳細は、連載第一回「「どのVODが儲かっているのか?」~コンテンツホルダーにとってどの形式が収益源なのか(前編)」をご覧ください。



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モバイル視聴の浸透

ブルース・エイセン(モデレーター)

モバイル端末でのコンテンツ視聴についてどうお考えですか?モバイルは別物として考えていらっしゃいますか? また重要性についてはどうですか? モバイル独自の要件があるのでしょうか? 皆さんのビジネスにとってのモバイルとは何ですか?
 

ハニー・パテル(AT&T)

弊社にとって、モバイルは非常に重要な要素であるのは間違いありません。コンテンツは、すべての環境下で視聴可能でなければならないと考えています。お客様には、コンテンツを劇場のスクリーンでもご自宅でもタブレットでも、もちろんモバイル機器上でも楽しんでいただきたい。我々の考えでは、コンテンツは場所を選ばず視聴できなければいけないのです。

また、モバイルが主な視聴方法である場合がどんどん増えています。そして、若者や子供たちの自宅視聴を考えると、彼らは映画をスマホ画面で観るのに抵抗がありません。私にはスマホ画面は小さすぎるのですが、子ども世代はまったく問題を感じないのです。我々もモバイルコンテンツに注目していますが、これは人々の日常の一部になりつつあるのだと思います。

 

タニア・ジョーンズ(Shift72)

お客様と話す際に、一番多いリクエストは「モバイル視聴のために、対応可能なアプリとデバイスを教えてください。」といったモバイル対応に関するものです。コンテンツは本当にどこでも視聴できなければ困りますから。私はもっと没入型の体験をしたいのでそんなことは考えられませんが、現実的には人々の視聴習慣は極めて急速に変化しているのです。

今我々の前にいる年少の子どもたちは、TVを観ない者すらいる層です。彼らは常にデバイスを使用しています。彼らが成長してティーンエージャーや大人になれば、彼らは無視できない顧客になるのです。それは、コンテンツの配信方法や使い勝手だけでなく、彼らのニーズに応えるためにどんなコンテンツを製作すべきであるかという点にも影響します。

 

モバイル上での効率的なプロモーション展開の可能性

アンディ・ボーン(The Film Arcade)

モバイル視聴について1点追加させていただきます。消費者のトレンドを考えて、あらゆるデバイスで視聴可能であることに加えて重要なポイントは、モバイル端末での宣伝が今までの手法よりも効率的かつ費用対効果が高い、ということです。かなりコストの高い30秒のTVCMとは違って、モバイルで宣伝を行えば非常に効率が良く、そのままトランザクションに誘導することも可能です。
 

ブルース・エイセン(モデレーター)

モバイル広告というと、どのプラットフォームを利用して、どこに掲出するのでしょうか?
 

アンディ・ボーン(The Film Arcade)

我々は、YouTubeとFacebookに広告を打つのが最も効果が高いと思っています。我々のデジタルメディア予算の大部分は、そこに投下しています。
 

ブルース・エイセン(モデレーター)

TVOD(レンタル型動画配信)による視聴を促進するためですか? それとも、その映画をライセンス提供しているNetflixに誘導するためですか?
 

アンディ・ボーン(The Film Arcade)

TVODによる視聴を促進するためです。SVOD(定額制動画配信)の場合ですと、我々は既に支払いを受けていますからね。
 

ブルース・エイセン(モデレーター)

モバイル用コンテンツ開発において、広告付きコンテンツの可能性はどうでしょうか。コンテンツの制作費を賄えるほどの収益が上がるものなのでしょうか?
 

タニア・ジョーンズ(Shift72)

もちろんです。ここで重要なのは、オーディエンスを特定し理解することです。スマホ用の短いコンテンツなら、どんなタイプを好むのか?それを彼らの広告主であるブランドにリンクさせるにはどうするのか?

ブランドは、自社製品に目を向けてもらうためになら、投資を厭いません。スマホ用の短いコンテンツに対する需要が伸びているのは間違いありません。消費者の習慣という点では、すぐに手に入るものを常に求めているようです。また、消費者は無料コンテンツを楽しむために時間を提供することを厭わない傾向にあります。


 

<(5)「劇場公開VOD同時展開」モデルの現在 に続く >


 

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