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ドラマチックな2020年映画興行、新年は疫禍の鬼滅ぼし復興を願う
公開日: 2020/12/25

2020年12月25日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『新年は疫禍の鬼滅ぼして』の転載に、補足を加えています。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開中
© 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(19、20日)>

1.(1) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 10週目
2.(2) 新解釈・三國志 2週目
3.(NEW) 約束のネバーランド 1週目
4.(3) STAND BY ME ドラえもん 2 5週目
5.(NEW) 劇場短編 仮面ライダーセイバー/劇場版 仮面ライダーゼロワン 1週目
6.(NEW) ワンダーウーマン 1984 1週目
7.(5) 滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie 3週目
8.(4) 天外者 2週目
9.(6) 劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編Wandering; Agateram 3週目
10.(NEW) ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 1週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

10週連続1位の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は興行収入311億円を突破。週明けにも『千と千尋の神隠し』の316.8億円を抜き、歴代興収1位となる見込み。本年はコロナ禍でも数々のヒット映画が生まれたが、映画興行自体もドラマチックな1年だった。

4月の緊急事態宣言を受けて映画館も営業自粛、5月から順次再開するも興収が大きく落ち込む状況が続いた。営業再開の認知度を上げ、動員復興の後押しの端緒となったのは、「一生に一度は、映画館でジブリを。」キャンペーンのもと6月末から公開された『千と千尋の神隠し』だろう。旧作ながら驚異的な8.8億円の興収を上げた。

 

映画館の営業再開後の認知と映画鑑賞者の割合

 

映画館側も、館内換気の啓蒙(けいもう)活動や各種安全対策を徹底。その結果、夏には『今日から俺は‼劇場版』などの若者向け作品、秋にはハリウッド大作『TENET テネット』もヒット。こうした中で『鬼滅の刃』がまさに「鬼」ヒットを記録。

世界全体では興収が例年と比べ30%程度まで落ち込む中、日本だけは6割程度まで戻った。来年は欧米の感染状況を踏まえて延期されたハリウッド大作の公開がカギとなる。人類がパンデミックという鬼を滅ぼし、世界中の映画館で映画を楽しめる2021年となることを切に願う。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『新年は疫禍の鬼滅ぼして』(毎日新聞2020年12月25日 東京夕刊)

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が会員様向けに無料配布している自主調査「新型コロナウイルスの影響 トラッキング調査レポート」をもとにしています。本レポートは、新型コロナウイルスの影響を把握するために、エンタテイメント業界に特化した形で、2020年4月末から継続的に実施しているレポートで、GEM Standard会員様向けに無料配布しておりますので、ぜひご登録ください。
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