記事

第2回:クリエイティビティとヒットを加速させるビジネスモデルとは?
公開日: 2022/12/09

ハリウッドプロデューサーが語る映像ビジネスの近未来~ブラムハウス創始者ジェイソン・ブラム氏と同社社長による基調講演 第2回

2022年9月、米ロサンゼルスで開催されたカンファレンス“Variety Entertainment Technology Summit”より、ブラムハウス・プロダクションズ創始者兼CEOのジェイソン・ブラム氏、および同社社長のアビジェイ・プラカシュ氏による基調講演をレポートします。

ブラムハウス・プロダクションズ
ブラムハウスはジェイソン・ブラムが設立した制作会社で、これまでに150本以上の映画とテレビシリーズを手掛け、劇場興行収入は48億ドル以上を数えます。低予算ながら高品質な映画作品と挑戦的なテレビシリーズでその名を知られており、特にホラー分野で多くのヒットを記録しています。代表的な作品に『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ、『ハロウィン』(2018年公開作)、ジョーダン・ピール監督『ゲット・アウト』、M・ナイト・シャマラン監督の『ミスター・ガラス』『ヴィジット』『スプリット』など。
※参考:ブラムハウス・プロダクションズ公式サイト(英語)

モデレーター:
アンドリュー・ウォレンスタイン (Andrew Wallenstein)
米「バラエティ(Variety)誌」インテリジェンス・プラットフォーム代表兼チーフ・メディアアナリスト

基調講演者:
ジェイソン・ブラム (Jason Blum)
ブラムハウス・プロダクションズ創始者兼CEO

アビジェイ・プラカシュ (Abhijay Prakash)
ブラムハウス・プロダクションズ社長

特集連載第2回は、ブラムハウスが指摘する配信事業者による実際にかかったコストに利益を上乗せした金額の支払いを受ける「コスト・プラス・モデル」の功罪と、同社が推奨する「レベニューシェア・モデル」について言及します。ハリウッドでヒット作を次々と生み出す鬼才プロデューサー、ジェイソン・ブラムのクリエイティブ・マインド重視の信念に注目です。
※本記事で触れられている内容は2022年9月時点の情報です

《目次》
 

商業的&芸術的成功につながるレベニューシェア・モデル VS 配信時代のコスト・プラス・モデル

 ジェイソン(ブラムハウス・プロダクションズ創始者兼CEO)
テレビ事業において複雑なのは、支払いモデルです。ブラムハウスの体質として、映画製作のプロセスにおいては、プロデュース料として事前支払いを受けずに、利益が出た場合にその一部の支払いを受ける成功報酬型のレベニューシェア・モデルで仕事をしてきました。作品が成功すればするほど、収入額は大きくなるので、ビジネスパーソン、プロデューサー、起業家として、私にはこのモデルの方がずっと心地がいいのです。バイヤーに、「これはとてもいい企画なので、お金を出してください。あなたが儲かるか、この作品が成功するまでは、私はお金をもらうつもりはありません」と言いたいのです。

ところが、テレビ事業においては、「事前の支払いなしで作品を作り、成功したら支払ってほしい」と言っても、通用しません。皆、実際に作品を作る前に、できる限り、前払いをしてもらえるよう交渉するのです。このモデルは、私にとって、精神的に複雑なものです。

 モデレーター
配信時代の今、支払いモデルの在り方は映像業界における最大の問題となっています。ジェイソンさんは……(以下、会員限定記事にて掲載)

※本記事はGEM Standard会員様限定となります。
新規登録(無料)いただくと閲覧いただけます。

未登録の方はこちら新規会員登録(無料)
会員様はこちら記事を読む※パスワードを忘れた方はこちら