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第3回:ネットとテレビ横断の統一指標とデータ分析がもたらす可能性
公開日: 2023/09/15

特集:デジタルメディア時代のマーケティング最前線 第3回
Truly Knowing Your Audience in Multiplatform Marketing

米ハリウッドで4月に開催された「Variety Entertainment Marketing Summit」にて、パネルディスカッション「Truly Knowing Your Audience in Multiplatform Marketing」を実施。ユニバーサル、ワーナー、ディズニーといった大手スタジオで映画・テレビ作品の広告販売とオーディエンスデータの分析を担うリーダーと、広告出稿側でもあるシティ・ナショナル銀行およびサムスン・アドの担当者が登壇しました。

パネルではまず、動画配信やSNS、TV放送など、プラットフォームを横断して戦略的に広告を打つことが一般化しているものの、獲得した視聴率や回数、インプレッションといったオーディエンスデータを統合して計測・分析できていない状況を共有。本特集では上記を踏まえ、より正確で透明性のあるオーディエンスデータの測定方法について議論しあった模様をレポートします。

※本記事で触れられている内容は2023年4月時点の情報です

モデレーター
トッド・スパングラー(Todd Spangler)
バラエティ(Variety):デジタル・エディター

パネリスト
ブライアン・ムー(Bryan Mu)
ユニバーサルスタジオ・グループ(Universal Studio Group):リサーチ&インサイツ部門シニア・バイス・プレジデント

アンドレア・ザパタ(Andrea Zapata)
ワーナーブラザース・ディスカバリー(Warner Bros. Discovery):広告販売リサーチ・測定・インサイツ部門エグゼクティブ・バイス・プレジデント

ダナ・マックグロウ(Dana McGraw)
ディズニー・アドバタイジング(Disney Advertising):視聴者モデリング&データ・サイエンス部門シニア・バイス・プレジデント

リンダ・ダンコンブ(Linda Duncombe)
シティ・ナショナル銀行(City National Bank):チーフ・マーケティング・プロダクツ&デジタル・オフィサー兼エグゼクティブ・バイス・プレジデント

オーブリアナ・アルヴァレズ・ロペス(Aubriana Alvarez Lopez)
サムスン・アド(Samsung Ads):データ向けプロダクト・マーケティング部門ディレクター

より正確で透明性のあるオーディエンスデータの測定・分析方法について、米スタジオのデータ分析担当者と、広告出稿側でもあるシティ・ナショナル銀行とサムスン・アドの担当者が議論を交わしたパネルディスカッション。第3回は、ネットやテレビを横断し、すべての会社が共有できるような、オールマイティな単一指標が生まれる可能性と必要性について、議論が交わされた様子をレポートします。

《目次》

 

以前、米テレビ業界ではニールセンがほぼ一手に視聴率測定を担っていましたが、今は、各企業がテレビや配信、ネットを横断したビッグデータを分析し始めるようになっています。こうした背景のなか、モデレーターから、「近い将来、業界全体のニーズを満たすような、信ぴょう性のある単一のオーディエンスデータの測定・分析ソリューションは誕生するのでしょうか?」という問いが投げかけられました。

 

全ニーズを網羅する“単一指標”は存在しえない

ワーナーのザパタ氏は、オーディエンスデータの測定・分析において、すべてのニーズを網羅する“単一指標”というものは存在しえず、“最もオーディエンスを知る”立場からのきめ細やかなコンサルティングが重要だと語りました。「メディアは非常に細分化されており、オーディエンスの関与の仕方も、広告主のKPI(Key Performance Indicator/主要業績評価指数)もすべて異なるため、オーディエンスデータ分析において単一指標というものは存在しないと思います」。

「私は自分の会社やそのプラットフォーム、そのオーディエンスのことを、誰よりもよく知っているつもりです。例えば、『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』は、従来のテレビとHBO Max(現Max)の両方で人気があり、HBO Maxでは『サウスパーク』に次ぐ視聴を記録したことを知っており、さらに、同ドラマのファンが、いつどのように視聴しているのか、彼らが何を求めているのかという、広告主の役に立つような情報も持っています。だからこそ、クライアントに、上層ファネルのロイヤリティ度合いを求めているのか? 下層ファネルのコンバージョン(視聴者がサービス加入や商品購入をするなどの最終的な成果)を求めているのか? といった質問ができ、どのように投資すべきかをコンサルティングできるのです。調査会社が単一指標のみを用いて、こうしたサービスを提供することはできないと思います。もちろん、特に従来のテレビにおいては、ある程度、一貫性のある方法で測定された指標へのニーズは常に存在します」。

 

偏見を打ち破り、真実を明らかにするオーディエンスデータ

ザパタ氏はまた、きめ細やかなオーディエンスデータが“神話”という名の偏見を打ち破ることもあるとして、自身の体験談を披露しました。「配信プラットフォームの1stパーティ・データを持っている立場として、……(以下、会員限定記事にて掲載)

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