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第6回:ウェブトゥーンの可能性、集英社「ジャンプTOON」も参戦~「Manga Publishing Roundtable」(中編)
公開日: 2023/10/13

特集:Anime Expo 2023 第6回

米ロサンゼルスで行われた「Anime Expo」(開催期間:7月1日~4日)にて、マンガ出版のプロたちが、マンガ市場の成長や現状、懸念点や展望について語り合った座談会「Manga Publishing Roundtable」の模様をレポートします。

中編となる第6回は、ウェブトゥーンの可能性について言及。出版事業との相乗効果、若者や女性層を魅了している点、そして集英社からは「ジャンプTOON」の準備が進められていることが明かされました。

※本記事で触れられている内容は2023年7月時点の情報です

モデレーター
デブ・アオキ(Deb Aoki)
マンガスプレイニング&パブリッシャーズ・ウィークリー(Mangasplaining and Publishers Weekly)

パネリスト
細野修平(Shuhei Hosono)
集英社「少年ジャンプ+」「MANGA Plus」:編集長

カート・ハスラー(Kurt Hassler)
角川ワールドエンターテイメント(KADOKAWA WORLD ENTERTAINMENT):代表取締役社長
Yen Press:発行人兼マネージング・ディレクター

ベン・アップルゲート(Ben Applegate)
ペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House):出版サービス・ディレクター

エリック・コウ(Erik Ko)
Udon Entertainment:オペレーション部門チーフ

デビッド・リー(David Lee)
WEBTOON Entertainment:コンテンツ責任者

エド・チャベス(Ed Chavez)
Denpa:社長・編集長

カエ・ウィンタース(Kae Winters)
TokyoPop:マーケティング部長

エヴァン・ミント(Evan Minto)
Azuki:共同設立者・ライセンス&マーケティング・ディレクター
《目次》

 

Horizontal to Vertical: Webtoon Storytelling, from Screen to Page

左からモデレーターのデブ・アオキ氏、Udonのエリック・コウ氏、Denpaのエド・チャベス氏、「少年ジャンプ+」の細野修平氏、角川ワールドエンターテイメントのカート・ハスラー氏、Azukiのエヴァン・ミント氏、TokyoPopのカエ・ウィンタース氏、ペンギン・ランダムハウスのベン・アップルゲート氏、WEBTOONのデビッド・リー氏

 

ウェブトゥーンが印刷出版分野の可能性を広げる

WEBTOON Entertainmentのコンテンツ責任者デビッド・リー氏から、ウェブトゥーンの発展が印刷出版分野の発展にもつながることに期待していると明かされました。「当社は出版分野においては新参者であるものの、ウェブトゥーン発の人気タイトル『ロア・オリンポス』をペンギン・ランダムハウスとともに展開して成功を収めました。また、ウェブトゥーンの書籍化サービスも開始し、初年度売上数は20万冊に上りました。人々が、すでにオンラインで愛読している作品の書籍版を読みたがっていることを知り、出版業界の成長に貢献できることがうれしいです。全世界においてデジタル分野は大きく成長していくはずですが、特に米国では、日本や他国と比較して、そのデジタル分野の成長に伴うかたちで、印刷出版市場の成長が見込めると思っています」。

『ロア・オリンポス』
『ロア・オリンポス』の書籍化例

さらに、自社のサイト「WEBTOON」では読者が楽しめるのはもちろん、クリエイターと出版社をつなぐ役割も担っていることも強調し、「出版のオファーを受けているクリエイターがたくさんいます。私たちが構築したプラットフォームは強力なもので、今後数年で、米国市場に20~30本以上のウェブトゥーン・シリーズが登場すると思います。海外作品も合わせれば、今後数年間でかなり多くの作品を提供できるようになるでしょう」と語りました。

 

権利許諾の得やすさとテクノロジーの進化がウェブトゥーン発展のカギ

Yen Pressの発行人兼マネージング・ディレクターのカート・ハスラー氏は、ウェブトゥーンの発展は、権利許諾の得やすさとテクノロジーの進化が引き起こしたものだと説き、日本と韓国、米国における状況を紐解きました。「デジタル・コンテンツが登場した初期は、日本からマンガのデジタル版権を得ることができず、日本市場でもマンガのウェブコンテンツが大々的にリリースされることはありませんでした。ライセンサーと話をしても、非常に大きな関心があったにもかかわらず、議論すらされなかったのです。それが変わり始めたのは、iPadの第1世代が発売されてからです」。

「一方、韓国市場では、……(以下、会員限定記事にて掲載)

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