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『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』が2月の推しファン人数TOP2、ファン度の高まりがブランド価値向上の鍵
公開日: 2024/02/29

推しエンタメブランドスコープ

今、推しているファン(=推しファン)が最も多いエンタメブランドはなにか。エンタテイメントをメディア横断でとらえ、エンタメビジネスの最大化をサポートする商品「推しエンタメブランドスコープ」では毎月調査を実施しており、最新のエンタメブランド価値を計測することが可能です。そこで、本コラムでは2024年2月の最新調査結果から、推しファン人数ランキングのハイライトをお伝えします。

※「推しエンタメブランドスコープ」では、全国に住む15~69歳の3万人を対象に、「いま、推しているエンタメブランド」に関する調査を毎月実施。答え方があらかじめ指定したリストから選ぶ形ではなく、自由回答方式で答えてもらい、GEM Partners開発による「エンタメコンテンツ辞書」を用いて名寄せ(回答者が記入した情報を精査し、同一のコンテンツを示す回答を統合する作業)・集計を実施しています。

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《目次》

 

 

【推しファン人数ランキングTOP20】
1位『葬送のフリーレン』、2位『薬屋のひとりごと』、前月からTOP2に変化

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2024年2月17日調査の「推しファン人数ランキング」(赤枠)では、昨年のテレビアニメ放送開始以降、着実に推しファン人数を拡大してきた『葬送のフリーレン』が1位(前月4位)、『薬屋のひとりごと』が2位(前月5位)に入りました。前月は1位『ONE PIECE』、2位『呪術廻戦』と、顔ぶれが大きく変わっています。また、TOP10中、アニメ関連のエンタメブランドは8つと、アニメの強さが目立ちました。

 

【推しファン人数急上昇ランキングTOP20】
TBS系テレビドラマ『不適切にもほどがある!』『Eye Love You』躍進

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上記は、前月と比較して「推しファン人数」が急上昇したエンタメブランドのランキングです。首位を獲得したのはテレビドラマ『不適切にもほどがある!』。また、3位にもテレビドラマ『Eye Love You』が入り、2024年1月放送開始のTBS系ドラマ2作品が上位に入りました。

そのほか、映画公開で話題を集めている『ハイキュー!!』『機動戦士ガンダム』『鬼滅の刃』、1月から第2期のテレビアニメ放送が始まった『マッシュル-MASHLE-』の推しファンも増加しました。

 

『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』のエンタメブランド価値を分析

下記はアニメに関連した上位エンタメブランドの直近1年間の月別推しファン人数の推移です。『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』の推しファン人数がほぼ同ペースで増加していることが分かります。

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先に挙げた6つのエンタブランドの直近3カ月の一人当り「月当り平均支出金額」と「平均月当り最大許容支出金額」を比較すると、『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』の一人当たりの支出金額が特に低めとなっています。

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推しファンが2024年2月に支出した金額のエンタメブランド別合計ランキングを見ると、『機動戦士ガンダム』(2位)、『鬼滅の刃』(10位)、『ハイキュー!!』(11位)はTOP20にランクインしていることが分かります。一方、『葬送のフリーレン』は60位、『薬屋のひとりごと』は45位と、ともにTOP20圏外となりました。

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「推しエンタメブランドスコープ」では、市場におけるコンテンツファンの広がり(推しファン人数)と深さ(支出金額と接触日数で測られる関与度)から、エンタメブランドの価値を測る総合指標「GEM指数」を算出しています。下図は2月調査の「GEM指数ランキング」(赤枠)ですが、それぞれ、「GEM指数」は橙、「推しファン人数」は青、「支出金額」は緑、「接触日数」は赤で記しています。

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2月調査の「GEM指数ランキング」の1位は、『機動戦士ガンダム』となりました。前述した「推しファン人数ランキング」では10位、接触日数は『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』と同程度の779万日ですが、支出金額で全体2位となった47億円を記録しており、これらの総合指標となる「GEM指数」で1位を獲得しました。2位の『Snow Man』は、ファン人数、支出金額、接触日数のどの値も高く、バランスの良さが表れています。一方、3位の『競馬』は、推しファン人数、接触日数は低めですが、支出金額が圧倒的に多いのが特徴です。

ここで『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』に注目してみます。「推しファン人数ランキング」ではTOP2を獲得していましたが、「GEM指数ランキング」では、『薬屋のひとりごと』が18位、『葬送のフリーレン』が19位となりました。関連指標を見ると(上図黒枠)、両エンタメブランドともに推しファン人数は圧倒的に多いものの、支出金額が低めであることが分かります。つまり、エンタメブランド価値の向上には、支出金額を高める必要があります。先に挙げた「月当たり平均支出金額」と「平均月当たり最大許容支出金額」に差があることから、両エンタメブランドともに支出金額を伸ばすポテンシャルはあります。そこで、原作漫画・小説はもちろん、マーチャンダイジングやイベントなどをマルチに展開し、いかに推しファンの支出意欲を掻き立てられるかが重要です。

さらに、ファンスケールについて直近3カ月で調べてみると、『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』において、最も熱量の高いファンとなる「人生の一部である/もはや信者である」(赤枠)の割合が他に比べて低くなっています。支出金額はファン度が高まると高くなる傾向があります。両エンタメブランドともに現状はファンの拡大期となっていますが、今後はファン度を深めていくことができるかが、「支出金額」そして「総合的な価値(GEM指数)」を高めていく上での要注目ポイントとなります。

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「推しエンタメブランドスコープ」では今回の<推しファン人数><支出金額>分析のほか、<接触日数>を加えた3つの指標と、これらを総合した<GEM指数>という新しい指標を採用しています。エンタメブランドの強さとして、推しファン人数は重要な指標ですが、ファンがどの程度「お金を使っているか」もビジネスを行う上で重要です。一方、(お金を使っているとは限らないが)「時間を消費している」エンタメブランドも価値があると考えられます。「推しエンタメブランドスコープ」では、施策の目的に応じて、これらの指標に基づき、能動的に“自己申告”したファンによるエンタメブランドの価値をランキング形式で把握できます。

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