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3週連続週末興行1位『ジョーカー』、CATSデータでその動向を追う
公開日: 2019/10/25

2019年10月25日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:両面性 黒い魅力を増幅』の転載に、補足を加えています
『ジョーカー』 

『ジョーカー』 公開中
"©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved” “TM & © DC Comics"

 

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(19、20日)>

 

1. (1) ジョーカー 3週目
2. (NEW) マレフィセント2 1週目
3. (NEW) 映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて 1週目
4. (NEW) 世界から希望が消えたなら。 1週目
5. (2) 最高の人生の見つけ方 2週目
6. (3) 記憶にございません! 6週目
7. (4) 空の青さを知る人よ 2週目
8. (7) イエスタデイ 2週目
9. (5) HiGH&LOW THE WORST 3週目
10. (NEW) 楽園 1週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

週末ランキングは3週連続で『ジョーカー』が1位を獲得。米国のDCコミックスシリーズの「バットマン」の悪役として知られるジョーカーの誕生を描く。累計興収は既に30億円を超える。市場調査をみると、鑑賞意向は公開3週目になっても公開週と同程度の高さを維持しており、ファン層が広がるヒットとなっている。

 

公開前での意欲の中心は、40代以下の男性や鑑賞頻度の高いヘビー層であったが、公開を挟んで幅広い年代の女性層も増え、また、鑑賞頻度では「ミドル層」の意欲率が週を追うごとに上がっている。

 

性年代別意欲率&年間鑑賞本数別意欲率
※意欲率:映画観賞者全体の中で、本作を「絶対に映画館で観る」と回答した人の割合 (「すでに観た」と回答した人は含まない)

 

背景として、本作が持つ両面性がうまく機能したのではないか。本作はアメコミ映画でもあるが、ベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得したアート映画としての期待もある。ジョーカーというよく知られたキャラクターの話でもあり、1人の男の人間ドラマでもある。悲劇でもあり、復讐劇でもある。それぞれの切り口から見たいと思う人が存在し、実際に見ると驚きにつながる。そうして口の端に上り、悪役が主人公というダークな本作の魅力も増幅され、広がっているのだろう。

 

今年公開映画からは「王道」な大作の100億円級のヒットが続出しているが、黒く光る本作も大いに話題を喚起し、2019年を語る上で外せない素晴らしいヒットとなりそうだ。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『両面性 黒い魅力を増幅 』(毎日新聞2019年10月25日 東京夕刊)

 

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「CATS 作品別詳細オンライン」をもとにしています。本レポートは、今後劇場公開予定の作品について、宣伝状況を把握し、目標目安値に対して現在どのような状況であるかを週次で詳細に把握できるオンラインレポートです。マーケティング指標を「事前に設定した目標目安値」「過去類似作品」「同時期公開作品」と比較することで、宣伝等の目標達成状況をより明確に分析可能です。

そのほか、同時期公開作品の浸透度を俯瞰して把握できる「CATS 市場概況レポート+(プラス)」もおすすめです。認知、興味、意欲といった浸透度をはじめ、公開初週土日の興行収入シミュレーションやテレビ露出量、劇場予告編到達率、さらにはデジタルにおける最新露出状況を、同時期公開作品間で比較いただけます。

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