記事

長い映画は嫌われる? 映画鑑賞をためらう長さは140分以上が約3割、180分以上では約6割
公開日: 2023/03/17

<映画鑑賞者調査>「GEM映画白書ダッシュボード」

エンタテイメント業界に向けたデータ×デジタルマーケティングサービスを提供するGEM Partners株式会社(ジェムパートナーズ、所在地:東京都港区、代表取締役:梅津文)は3月17日(金)、映画鑑賞者の属性や行動心理に迫るオンライン分析ツール「GEM映画白書ダッシュボード」の最新データを用いて、「観たい映画であっても映画館での鑑賞をためらう上映時間の長さ」の分析結果を発表いたします。
 

「GEM映画白書ダッシュボード」の最新アップデート内容はこちら

【映画鑑賞者調査 ハイライト】

  • 2018年以降、上映時間140分以上の映画が増加傾向に
  • 映画劇場鑑賞者の74%が上映時間の長さによって映画館での鑑賞をためらう
  • 上映時間140分以上で約3割、180分以上では約6割が鑑賞をためらい始める
  • ライト層ほど上映時間に敏感、140分以上ではヘビー層より8pt高い
  • 鑑賞をためらう気持ちを緩和する打ち手を探る

2018年以降、上映時間140分以上の映画が増加傾向に

上映時間区分別の本数割合

上記は2018年~2022年における公開週300スクリーン以上の邦洋実写作品(※キッズ向け作品は除外)を対象に、上映時間区分別の本数割合を表したグラフです。140分以上の映画の割合に注目すると2018年から増加傾向にあることが分かります。上映時間の長い映画が増えているなか、懸念されるのは鑑賞意欲への影響です。そこで「GEM映画白書ダッシュボード」では、今年新たに追加した企画調査において、「映画館で観たい映画があった時、その映画の上映時間の長さによって、映画館での鑑賞をためらうか」に関する調査を実施いたしました。

映画劇場鑑賞者の74%が上映時間の長さによって鑑賞をためらう

観たい映画の上映時間の長さによって映画館での鑑賞をためらうことがあるか

映画劇場鑑賞者(※)を対象に「映画館で観たい映画があった時、その映画の上映時間の長さによって、映画館での鑑賞をためらうことがありますか」と調査したところ、約4人に3人となる74%が上映時間の長さによっては映画館での鑑賞をためらうと答えました。では、具体的にどの程度の長さから鑑賞をためらうのでしょうか。※:映画劇場鑑賞者:15歳から69歳で、過去1年間に映画館で映画を観た人

上映時間140分以上で約3割、180分以上で約6割がためらい始める

上映時間区分別 映画館での鑑賞をためらう人の割合

上記は、観たい映画があった際、上映時間区分別に映画館での鑑賞をためらう人の割合を示したグラフです。上映時間が120分以上の場合、ためらう人の割合は21%となっており、そこから140分以上、160分以上と上映時間が20分増えるごとに約10ptずつ増加しています。しかし、180分以上になると、ためらう人の割合は20pt近く増加して、約6割の人がためらうことが分かりました。

ライト層ほど上映時間に敏感、140分以上ではヘビー層より8pt高い

年間鑑賞本数別 映時間140分以上で映画館での鑑賞をためらう人の割合

前述した「上映時間区分別の本数割合」で増加傾向にあった140分以上という上映時間に注目し、年間鑑賞本数別に「鑑賞をためらう人の割合」を分析しました。その結果、年間鑑賞本数1-2本のライト層は36%となり、28%前後の3本以上層よりも約8pt高いことが分かりました。つまり140分以上の映画の場合、ためらいを感じても観に行きたくなる動機付けを、特にライト層に対して行っていく必要があります。

鑑賞をためらう気持ちを緩和する打ち手を探る

140分以上の長さで映画鑑賞をためらう人の割合は「映画鑑賞に何を求める人か」により異なる

上記は、140分以上の長さで映画館での映画鑑賞をためらう人の割合を「映画館での映画鑑賞に何を求める人か」別に表わしたグラフです。ためらう人の割合が低いほど、140分以上の映画の鑑賞に対してより寛容であることを示します。例えば、ためらう人の割合が低い「異なる世界・人生の体験を求める人」は、割合が高い「周囲へ情報発信(話題の提供)を求める人」よりも、上映時間に対してより寛容となります。つまり、映画館での映画鑑賞で「異なる世界・人生の体験」ができるといった要素は、鑑賞をためらう気持ちをより緩和できる可能性があるのです。

また、「映画鑑賞に何を求める人か」は、「自身の経験や気持ちへの働きかけ」(赤字)と「他者や世間との関わり」(青字)に大きく分類でき、前者の方が傾向としてためらう割合が低いことが分かります。すなわち、その映画を鑑賞すると、日常とは異なる世界や、映像や音楽などによる際立った体験を、鑑賞者が経験できると伝えることで、140分以上の映画であっても鑑賞に対するためらいを緩和できる可能性があると考えられます。

このように「GEM映画白書ダッシュボード」を利用することで、映画劇場鑑賞者がどのような特徴を持っているかを把握できます。さらに本ツールでは、性年代別、ジャンル嗜好者、ウィンドウ別鑑賞者などの、多彩なセグメント軸で分析することも可能です。

■「GEM映画白書ダッシュボード」(最新2022年度データ概要)
調査方法/対象:インターネットアンケート/全国に住む15~69歳の男女
調査実施日:2023年1月21日(土)~2023年1月22日(日)
回答者数:14,441人(うち映画劇場鑑賞者 ※ 4,622人)
重みづけ:総務省発表の人口統計、CATS参加率を参考に各調査者を性年代・映画鑑賞頻度別に重みづけ

「GEM映画白書ダッシュボード」の
詳細、ご購読、お問い合わせは、下記よりご覧ください。

「GEM映画白書ダッシュボード」に関する記事一覧