コンテンツのグローバル展開成功の先に - DCスーパーヒーロー・ガールズ事例
公開日: 2017/08/04
DCエンターテイメント・イルミネーションのマーケッターが語る「グローバル・フランチャイズの成功の掟」の2回目です。スピーカーやセッションの概要は、連載1回目「フランチャイズのグローバル展開は狙えるか?」をご覧ください。
5年10年にわたる長期の戦略プランニングと膨大なコミュニケーションマネジメント
マニュエル・トーレス・ポート(NBCユニバーサル)
コンテンツをグッズや商品などのライセンス事業で展開するには、プランニングが重要だということを忘れてはなりません。もっと率直に言えば、プランニングは重要かつ成功に不可欠な要素です。直接のパートナーがあり、第三者パートナーがあり、業者や小売店、メーカーがいます。ですから、今そこにある機会や、何かを再構築する機会を最大限活用するためのタッチポイントや要素、資産をすべて考慮してプランニングする力は、物事を進めるのに不可欠なのです。
アミット・デサイ(ワーナー/DCエンターテイメント)
DCでは、よくジョークで「フランチャイズマネジメントは、ビジネスや科学でもあり、アートでもある」としています。戦略的プランニングであるという点では、これはビジネスや科学です。対象が調査であれ財務であれスケジュールであれ、プランニングし、最善の決定をするためのツールを開発するということは、マーケティング、配給・流通、コンテンツ、ブランドのあらゆる面から好機を探ることでもあり、究極的にはそれらすべてを統合してブランドやフランチャイズの5ヶ年、10ヶ年計画をたてることになります。
しかし、全関連部署のすべてのスタッフが協働し、そのプロセスに賛同して価値を認めない限り、どんな計画も結果にはつながりません。それには膨大なコミュニケーションや調整、関係づくりなどが不可欠です。もちろん簡単ではありません。ですが、最終的に目標を達成できれば、これほどの充足感はありません。基本的な目標はあるでしょうが、フランチャイズマネジメントを行うことで、企業としてその目標を超えた結果を出せるのです。それが我々にとってのフランチャイズマネジメントの意義なのです。
フランチャイズマネジメントはやりがいのある仕事ですが、間違いなく大変でもあります。ここにいる全員がそう感じていると思います。
大変なグローバルフランチャイズプロジェクトの成功の向こう側
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC |
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アミット・デサイ(ワーナー/DCエンターテイメント)
これまでの仕事の中で特に、関われたことを誇らしく思っているものの一つに、「DCスーパーヒーロー・ガールズ」というフランチャイズがあります。
3~4年ほど前だったと思いますが、我々は“女の子向けの提案がない”という市場のホワイトスペースを発見しました。女の子もスーパーヒーローの力や前向きな考え方、アクションなどに憧れているのに、なかなか真似したい対象がなかったのです。そこで弊社は、2015年に「DCスーパーヒーロー・ガールズ」という新しいフランチャイズを立ち上げました。このフランチャイズの素晴らしいところは、ワンダーウーマン、スーパーガール、バットガール、ハーレイ・クインなど、DCの強みである“強い女性のスーパーヒーローを活かしたもの”だったところです。
我々はこのフランチャイズで、女の子に「自分たちのポテンシャルに気づくチャンスを提供したい」と考えました。女の子にも自分の信じるもののために立ちあがる自信を与えたかったのです。そこで2015年に発表したのが、没入感にこだわったデジタル提案――コンテンツ――であり、昨年はその次の展開として「動画」「TVのスペシャル番組」「書籍」「玩具」「衣類」を発売しました。
結果は大きな成功となりましたが、そのカギを握ったのは適切なパートナーと組めたことに尽きると思っています。マテル(アメリカの世界最大規模玩具メーカー)やレゴ、ランダムハウス(アメリカの大手出版社)、カートゥーン・ネットワークは素晴らしいパートナーでした。
あのプロジェクトには非常に満足しています。女の子たちや親御さんたちからの反応には圧倒されました。「我々は正しいことをしたようだね。そのうえ、新たなフランチャイズを作ることもできた」と思ったものです。そして、このフランチャイズは長期にわたって展開が可能です。繰り返しになりますが、これは非常に素晴らしい経験でしたが、同時に大変でもありました。DCとして、とても誇りにしている経験です。
マイケル・アウウィリーン(カートゥーン・ネットワーク)
シンプルなことですが、世界中でインパクトがあることを実際に目にするとやりがいを感じます。世界中の「パワーパフガールズ」ファンの小さな女の子たちが「私だってなれる」と思ってくれていることを知ったり、どこかを訪れて、実際に誰かが「パワーパフガールズ」のキャラクターがついているもの着てくれているのを目にすると、信じられないくらい報われた気持ちになります。
< (3)世界各国の消費者インサイトの抽出 #1「データの活用」に続く >
DCエンターテイメント・イルミネーションのマーケッターが語る「グローバル・フランチャイズの成功の掟」シリーズ
- (1)フランチャイズのグローバル展開は狙えるか?
- (2)コンテンツのグローバル展開成功の先に - DCスーパーヒーロー・ガールズ事例
- (3)世界各国の消費者インサイトの抽出 #1「データの活用」
- (4)世界各国の消費者インサイトの抽出 #2「ストーリーに賭ける」
- (5)コンテンツの消費のされ方が変わりつつある中での今後の展望
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