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第1回:2022年映画総興行収入はコロナ前の水準となる見込み、邦画アニメがけん引
公開日: 2022/10/28

特集:2022年 日本映画市場の興収見込みとマーケティングデータから見える展望(第1回)

新型コロナの感染状況に関しては依然、予断を許さぬ状況ですが、2022年は、前年、前々年に比べて公開作品数も増え、『ONE PIECE FILM RED』や『トップガン マーヴェリック』などを筆頭に興収を賑わす作品も増えてきたように感じます。そこで、その直感を裏付けるべく「2022年 日本映画市場の興収見込みとマーケティングデータから見える展望」と題した特集を開始。「興行収入の復興度合い」「市場の構造変化」「さらなる盤石な復興に向けた提案」の3点から2022年の映画興行市場を紐解きます。

特集第1回は、2022年の総興行収入は現状どの程度回復しているのか、そして年間を通じてどの程度の復興が見込めるのかを、当社の映画製作・興行・配給・宣伝向け分析サービス「CATS」のデータを用いて分析・推計しました。

《目次》
 

2022年9月公開作品までの累積はコロナ前比88%、順調な復興
邦画は96%、洋画は77%、邦画アニメは119%でコロナ前超え

興行収入上位の作品を対象としたGEM Partnersの独自調査と試算によると、2022年1月から9月に公開された映画全体の累積興収(作品公開年を基準として集計)の復興度合い(2017年~2019年同期間の平均に対する比率)は約88%まで回復しました。邦画のみに絞ると96%、洋画のみでは77%まで回復しています。2021年の邦画の復興度合いは90%、同洋画は22%となるため、今年は特に洋画の復興が著しいことが分かりました。

2022年9月までの累積興収を邦洋の実写、アニメに分けると、邦画アニメの復興度合いは119%と2017年から2019年の平均を上回っており、市場の回復をけん引していることが分かりました。一方、洋画アニメは62%と回復が伸び悩んでいます。そのほか邦画実写は78%、洋画実写は81%とそれぞれ回復傾向にありました。

公開スクリーン(scr)数別に復興度合いをみると、邦画300scr以上規模では102%と2017-2019年平均を上回る水準まで回復。洋画では300scr以上が興収の大部分を占めており、78%まで回復しています。そのほかの復興度合いは、邦画100-299scrは81%、邦画99scr以下は54%、洋画100-299scrは51%、洋画99scr以下は103%となりました。

 

2022年公開作品の総興行収入はコロナ前の水準に
邦画アニメはコロナ前の2倍に

上記は2017年以降の100scr公開規模以上を対象に、公開年を基準として集計した総興行収入の推移です(2022年は見込み)。推計の結果、2022年の復興度合い(2017年~2019年の平均に対する比率)は、92~105%の水準を見込むことが分かりました。邦画のみに絞ると115%~134%と2017年から2019年の平均を上回る見込みです。一方で洋画は66~72%と、9月までの復興度合い77%と比較して伸び悩む見通しです。

総興行収入の内訳を邦洋の実写、アニメに分けると、年内に『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』などといった邦画アニメ大作の公開が控えており、邦画アニメの復興度合いは167~203%と大幅上昇が期待されます。一方で洋画アニメの復興度合いは48%にとどまる見通しです。

 

興行収入の二極化傾向が邦画、洋画とも顕著に

興行収入上位の作品を対象とした独自調査によると(作品公開年を基準として集計)、2022年1月から9月に公開された映画の公開本数では、コロナ禍前の2017年から2019年に比べ、興収5億円未満の割合が増加し、20億円以上作品の割合はコロナ以前と近い水準にまで回復しました。

また、2022年9月までの興行収入全体に占める興収区分別の割合をみると、20億円以上作品の割合が2017年から2019年よりも高まっていることが分かります。一方、10億円以上20億円未満の割合が減少しています。ヒット作品への依存度が高まっており、ヒット作品とそれ以外の二極化が進んでいます。

二極化傾向は邦画、洋画に共通していることも分かります。

特集:2022年 日本映画市場の興収見込みとマーケティングデータから見える展望