第1回:激戦時代を生き抜くための映画マーケティング
公開日: 2023/07/28
米ハリウッドで4月に開催された「Variety Entertainment Marketing Summit」にて、パネルディスカッション「Entertainment Marketing Leaders Roundtable」を実施。パラマウント、ワーナー、ユニバーサル、ネオンからマーケティング責任者が登壇したほか、TikTokの北米代表も出席しました。映画のマーケティング方針や最新の戦略、成功事例を共有し合ったディスカッションの模様を5回に分けてレポートします。
※本記事で触れられている内容は2023年4月時点の情報です
クラウディア・エラー(Claudia Eller)
バラエティ(Variety):最高プロダクション責任者
パネリスト
マーク・ワインストック(Marc Weinstock)
パラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures):世界マーケティング&配給部門代表
カレン・ブロンゾ(Karen Bronzo)
ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(Warner Bros. Discovery):最高マーケティング責任者
ドワイト・ケインズ(Dwight Caines)
ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures):米国マーケティング部門代表
クリスチャン・パークス(Christian Parkes)
ネオン(Neon):最高マーケティング責任者
キャサリン・ハラビー(Catherine Halaby)
TikTok:北米エンタテインメント部門代表
左からモデレーターのエラー氏、パラマウントのワインストック氏、ネオンのパークス氏、ワーナーのブロンゾ氏、TikTokのハラビー氏、ユニバーサルのケインズ氏
パネリスト全員がハリウッドで名の知れたマーケティングの達人であること、互いになじみのある戦友同士であることから、内輪ネタやユーモアに溢れる雰囲気となったパネルディスカッション。第1回は、スタジオ各社のマーケティング部門トップが語る、映像業界で競争激化と試行錯誤が続く時代を乗り切るためのマーケティングの極意についてレポートします。
- 常に新しい施策に挑戦すべき
- インディー作品はコアターゲットへの直接アプローチが重要
- マーケティングは、観客に向けた招待状。リサーチやデータに基づき観客を理解して届ける
- 予算削減がマーケティングに与える影響
- 複合企業の強みはメディアを横断するクロスプロモーション
冒頭、モデレーターから映像業界の競争の激しさが増していること、そして誰もが試行錯誤を続けている現状が説かれました。そして、「このような時代を乗り切るために、どのようなマーケティング戦略をとっているのか、まずはお一人ずつ聞かせてください」と切り出し、パネルディスカッションが始まりました。
常に新しい施策に挑戦すべき
パラマウント・ピクチャーズのマーク・ワインストック氏は、「配信作品から劇場映画、ビデオゲームまで、多くの競合コンテンツがある今は、とにかく目立つキャンペーンを考案することがすべて。この時代に話題を作り、バイラル効果を起こすのは本当に難しく、すべてのマーケティングにおいて、持てる武器を全投入するしかありません」と発言。さらに、「過去のキャンペーンの真似事になってはならず、すべてのキャンペーンが違うものに感じられるよう、常に新しい施策に挑戦しなければならない」と強調しました。
インディー作品はコアターゲットへの直接アプローチが重要
ネオンのクリスチャン・パーク氏は、インディペンデント映画会社ならではの視点で発言。「ここにいらっしゃる皆さんは巨大企業の方々なので、いろいろな点で勝ち目が多くあると思いますが、当社には、大手スタジオと同じ規模の仕掛けはできません。そのため、観客を理解することを最も重要視しています。各作品のコアターゲットとなる観客を特定し、彼らに直接語りかけ、関わる方法を見つけ出し、きめ細かくアプローチしています」。
マーケティングは、観客に向けた招待状。リサーチやデータに基づき観客を理解して届ける
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのカレン・ブロンゾ氏は、大手スタジオの立場ながら、「観客を理解することが重要」というパーク氏に同調。TBSやTNT、HGTV、フード・ネットワーク、ディスカバリー、カートゥーン・ネットワーク、アダルトスイムなど、膨大な数の映像ブランドを展開する当社ならではの視点から、……(以下、会員限定記事にて掲載)
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