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セミナー②「デジタル時代の映画マーケティング」【第3回】TikTokは最重要プラットフォーム~『M3GAN/ミーガン』ほかハリウッドマーケターが明かす成功事例
公開日: 2023/07/10

特集:CinemaCon 2023 “INTERNATIONAL DAY” セミナー②「デジタル時代の映画マーケティング」【第3回】
cinemacon 2023

米ラスベガスにて開催された世界中の興行会社と配給会社が集まるコンベンション「CinemaCon(シネマコン)2023」(開催期間:4月24日~27日)にて、デジタル時代の映画マーケティングに関するセミナー「Movie Marketing: Welcome to the Digital Age」が開催されました。興行、配給のマーケティング担当者が登壇し、バラエティに富んだデジタル・マーケティングの成功事例からTikTokの活用事例、AIとの付き合い方まで、議論は多岐に渡りました。その模様を5回に分けてレポートします。
※本記事で触れられている内容は2023年4月時点の情報です

モデレーター
アンソニー・ダレッサンドロ(Anthony D'Alessandro)
デッドライン(Deadline):編集ディレクター&ボックスオフィス担当エディター

パネリスト
■興行会社
ダン・グリーン(Dan Green)
ヴュー・インターナショナル(Vue International):デジタル部門 グループディレクター

ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills)
ホイツ(Hoyts):販売・マーケティング・コンテンツ部門 ディレクター

■配給会社
ダニエル・ベカス(Danielle Bekas)
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ(Warner Bros. Pictures):海外マーケティング部門 共同エグゼクティブ・バイスプレジデント

アレックス・サンガー(Alex Sanger)
ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures):デジタル・マーケティング部門 エグゼクティブ・バイスプレジデント

第3回はいまや映画のマーケティングに欠かせないTikTokに焦点を当てました。スタジオのマーケティング担当者は『M3GAN/ミーガン』や『ジュラシック・ワールド』シリーズ、『長ぐつをはいたネコと9つの命』などにおける成功事例を明かすとともに、TikTokが置かれた不安定な状況に対して意見を述べました。

《目次》

 

 

『M3GAN/ミーガン』の成功事例

話題はTikTokへ。今年上半期は、米国で『M3GAN/ミーガン』がソーシャルメディアで大きな話題となりましたが、いまや映画のマーケティングにTikTokは欠かせないという意見に全員が同意しました。

ユニバーサルのサンガー氏は、同社がTikTokを前身の「musical.ly」時代から活用していることを明かし、「TikTokはパンデミック前から大事な存在でしたが、パンデミック中にさらに重要になり、今もすべての映画にとって欠かせないプラットフォームです」とし、いくつかの事例をあげました。

『M3GAN/ミーガン』においては、配給側は予告編の公開以外、ほぼ何もしていないと明かすサンガー氏。「予告編のダンスがソーシャルメディアでバズを起こしましたが、そのほとんどがTikTokで発生したものでした。TikTok は、本作のようなオリジナルIPのジャンル映画にとって最高のプラットフォームです」。

@meetm3gan

love 96% of u 🖤 see me in theaters now

♬ original sound - M3GAN
 

『ジュラシック・ワールド』シリーズの成功事例

同時に、TikTokが大規模なフランチャイズ映画にとっても有効であるとして、『ジュラシック・ワールド』シリーズの事例も紹介。「TikTokで、ティラノサウルスのエアスーツを着た人間が走り回っているようなマスコット・ミームを作り、レクシィと名付けました。すると、レクシィは世界中を旅し、日本で野球の始球式に参加したり、米国の競馬レース『ケンタッキー・ダービー』に行ったり、米テレビ番組『トゥデイ・ショー』のためにニューヨークのプラザに登場するなどし、結果としてTikTokで素晴らしいコンテンツが量産されたのです」。

@jurassicworld Was at the Kentucky Derby. What are the odds? @kentuckyderby #jurassicworld #jurassicworlddominion #jurassicpark #rexy #kentuckyderby #KYDerby ♬ original sound - pradasaint
 

『長ぐつをはいたネコと9つの命』の成功事例

さらにサンガー氏は、TikTokがより若い観客層に向けた作品に効果をもたらした事例として、『長ぐつをはいたネコと9つの命』の展開も紹介。「主人公プス役のアントニオ・バンデラスが、TikTokでカスタムメイドのボイスオーバーを公開。飼い猫が喋っているようにあてはめられる仕掛けを展開しました。さらに、ブランドエフェクトと呼ばれる機能も使い、飼い猫の目を、映画に出てくるかわいい猫の目にしたり、帽子を被せたりできるようにしました。これらの仕掛けによって、映画のフォロワーが短期間でゼロから180万人に増加。これは、TikTokならではコンテンツ展開が成功した例ですが、とにかく、すべての作品や施策においてTikTokを活用しており、不可欠なプラットフォームです」。

@pussinboots Meow! Try out the #PussInBoots TikTok Branded Effect on your feline friends right now! 😻 #CatTok #CatsOfTikTok ♬ original sound - Puss In Boots
 

ユーザー発信コンテンツであれば信頼性が増す

ワーナーのベカス氏も、TikTokの不可欠さを強調……(以下、会員限定記事にて掲載)

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