マス化した『葬送のフリーレン』『乃木坂46』に求められる次の一手は? 推しファンの「熱量」と「規模」からエンタメブランドの現在地を分析~2024年10月エンタメブランド調査結果
公開日: 2024/11/01
メディアを横断して、推しているファン(=推しファン)が最も多いエンタメブランドはなにか。エンタメビジネスの最大化をサポートする商品「推しエンタメブランドスコープ」では毎月調査を実施しており、最新のエンタメブランド価値の計測が可能です。今回、2024年10月の最新調査結果のハイライトをお伝えします。
「推しエンタメブランドスコープ」詳細へ
「推しエンタメブランドスコープ」には、目的に応じて縦軸・横軸の変数を組みあわせ、さまざまな切り口でエンタメブランドをマッピングする機能があります。本機能により、エンタメブランドの位置関係やそれぞれの距離を散布図で可視化し、特徴的なエンタメブランドを発見できます。選択できる変数は、男女・性年代のようなデモグラ情報から、カテゴリ別支出金額や接触メディア、エンタメブランドに対するファン心理や回答者のライフスタイルなど、膨大な組み合わせが可能となっています。
今回、本ツールを用いて、推しファンの「人数」と「熱量」について調べてみました。下記は、横軸に「月当たり推しファン人数(万人/月:期間平均)」、縦軸に推しファンの熱量を測る「ファンスケール(信者割合)」を選択した、全メディア横断でのエンタメブランドの散布図です。集計期間は2024年10月を含む直近12カ月間、バブルの大きさは、合計支出金額の期間平均(億円/月)を表しています。
※クリックして拡大エンタメブランドの「月当たり推しファン人数(万人/月:期間平均)」が多いほど右側に、推しファンが「人生の一部/信者」であると回答した「信者割合」が高いほど散布図の上側に位置しています。散布図内の縦横の各直線は、「信者割合」「推しファン人数」それぞれの平均を表しています。この縦横の平均線をもとに散布図を4つの象限に分け、各象限の意味合いと、そこに位置するエンタメブランドについて紹介します。
【右上の象限(赤)】
ファンの熱量と規模が高いレベルで安定し、"ホット・マス化"したエンタメブランド
地色が赤い右上の象限は、「信者割合」と「推しファン人数」がともに平均よりも高いエリアです。いわば、ファンの熱量を高く維持し続けて信者割合を高め(=ホット化)、推しファン人数を増やすこと(=マス化)に成功し、“ホット・マス化”したエンタメブランドが位置する象限だと言えます。このエリアはバブル(合計支出金額)が大きいエンタメブランドが多く位置するのも特徴です。
誕生から長くファンに愛されてきた『ポケットモンスター』『機動戦士ガンダム』『ドラゴンボール』『ディズニー』は右上に位置しており、これらが推しファン人数を着実に増やしつつ、ファンの熱量も高いまま今に至っていることを示していると言えます。
同じく右上には『Snow Man』『BTS』『SixTONES』というボーイズグループが含まれています。一方で、『Number_i』『SEVENTEEN』『King & Prince』『WEST.』といったボーイズグループは左上(緑)に位置しています。これらグループの「信者割合」は比較的高い水準ではありますが、『Snow Man』『BTS』『SixTONES』のほうがより"ファンの裾野"が広いボーイズグループであると考えられます。
また、VTuberが所属する事務所・グループとして、『ホロライブプロダクション』と『にじさんじ』が右上に属しており、ともにほぼ同じ位置にいることも興味深い結果と言えます。
【右下の象限(青)】
広く認知と人気を獲得し"マス化"したエンタメブランド
右下(青)にいるエンタメブランドは、広く認知と人気を獲得し、一般受け(=マス化)することに成功したエンタメブランドが位置しています。一方で、右上(赤)に比べると推しファン層に熱量の高い"信者"が多くいるわけではありません。そのため、今後はより熱量の高いファン層を育て、右上の“ホット・マス”エリアを目指すことが求められているとも言えます。
特に図の右端に位置する『ONE PIECE』『鬼滅の刃』は、非常に多くの推しファンを獲得しており、"ファンの裾野"は十分に広がっている状態です。また、『ONE PIECE』や『名探偵コナン』『ハイキュー!』は、信者割合の平均線に近い位置におり、ネクスト“ホット・マス”ともいえるエンタメブランドです。
右下には、ガールズグループ『乃木坂46』が含まれています。同グループはファンの裾野としては広いものの、ファン層の熱量は平均には届いていない状況です。一方、他のガールズグループに目を向けると、それぞれの位置が分散していることが分かります。左上(緑)には『TWICE』『櫻坂46』が位置し、推しファン人数は多くないものの、ファンの熱量は高い状況です。左下(黄)に位置する『日向坂46』は、推しファン人数、ファンの熱量ともに平均線まであと僅かとなっており、今後ファンの裾野を拡大しつつ、熱量を高めていけるのかが注目されます。
右下の下方には、『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』『【推しの子】』『SPY×FAMILY』といった、2020年以降にアニメ化された作品が近い位置に集まっています。それぞれアニメ作品が人気を集めたことで、多くの推しファンを獲得するに至ったと考えられます。今後、続編シリーズやメディアミックス展開を通じて推しファンの熱量を高められるのか、動向が期待される作品群です。
【左上の象限(緑)】
熱量の高いファン層が濃く"ホット化"したエンタメブランド
左上(緑)は、「推しファン人数」の平均線よりも右側にある象限に比べて、"ファンの裾野"としては広くないものの、熱量の高いファンの構成比が高いため、ファン層が濃い"ホット化"したエンタメブランドが集まる象限になります。
昨年デビュー35周年を迎えた『B'z』、熱狂的なファンを表す"虎党"という言葉もある『阪神タイガース』、グループとしての活動は休止しているものの、未だファンの高い支持を集める『嵐』は、この左上の象限において特に象徴的なエンタメブランドと言えます。
【左下の象限(黄)】
上昇ポテンシャルを秘めた”伸びしろ”あるエンタメブランド
左下(黄)の象限は、「推しファン人数」「信者割合」ともに平均線より低く、ファン層の拡大と熱量を高める、”マス化“と”コア化”の両方に向けたアプローチが求められるエンタメブランドが位置している象限です。逆に言えば、上昇ポテンシャルを秘めた”伸びしろ”あるエンタメブランドとも言えます。
現在、アニメ第2期が放送されている『ブルーロック』が左下に位置しており、今以上に推しファン人数を獲得し、同時にファンの熱量を高められるか、今後の動向が注目されます。
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「推しエンタメブランドスコープ」では、特定の作品やタレント、コンテンツだけではなく、『TikTok』『X(旧Twitter)』といったSNSや、『YouTube』『Netflix』『Prime Video』『TVer』『U-NEXT』といった動画配信サービスのマッピングも見ることができます。同じく『サッカー』『野球』のようなスポーツ競技や、『音楽』『ゲーム全般』『映画』のようなエンタメジャンルもマッピングされており、ジャンルを横断し、それぞれがどの象限にいるのか、互いの距離はどの程度か、特定の作品・タレントと比較するなどして位置関係を確認することができます。詳細は「推しエンタメブランドスコープ」をご覧ください。
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