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セミナー「地方から海外へのコンテンツ発信」レポート
公開日: 2024/11/01

特集:TIFFCOM 2024 第1回

東京国際映画祭(TIFF)併催のビジネス・コンテンツマーケット「TIFFCOM」にて10月30日、セミナー「地方から海外へのコンテンツ発信」が開催されました。同セミナーでは中京テレビ、テレビ新広島、テレビ東京系列の海外番組販売を手掛ける日本経済新聞社から地方局が持つ海外展開の強みが紹介されるとともに、一般社団法人 放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)から海外販売をサポートするオンライン番組カタログ「Japan Program Catalog」の発表がありました。その一部をレポートいたします。

※本記事で触れられている内容は2024年10月時点の情報です。


モデレーター
秋山 大
一般社団法人 放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ):事務局長

プレゼンター
横井一輝
中京テレビ放送株式会社:メディア戦略局メディアコンテンツビジネス・ライツグループ コンテンツセールスプロデューサー

亀井琢也
株式会社テレビ新広島:営業本部 営業推進局 事業開発部長

浦崎健人
株式会社日本経済新聞社:映像戦略本部

佐藤初姫
株式会社日本経済新聞社:映像戦略本部

落合俊輔
一般社団法人 放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ):事務局長補佐

左から、秋山大氏、横井一輝氏、亀井琢也氏、佐藤初姫氏、浦崎健人氏、落合俊輔氏

冒頭、モデレーターの秋山氏より、「日本には100局を超える放送局があり、ユニークで素晴らしい番組が毎日放送されているものの、(海外バイヤーは)それらに触れる機会が限定されている。そこで、このセミナーでは、地方局が製作したテレビ番組の海外展開について注目したい」と来場者に向けて、本セミナーの趣旨が伝えられました。

《目次》

 

 

地方局が持つ、海外展開に向けた三者三様の強み

セミナーでは中京テレビ、テレビ新広島、そしてテレビ東京系列の海外番組販売を手掛ける日本経済新聞社が登壇し、各局の海外展開についてのプレゼンテーションが行われました。最初に登壇したのは、完成番組販売からフォーマット販売までを手掛ける名古屋の中京テレビの横井氏。中京テレビは特にグルメ系の番組の製作に強く、例としてバラエティの『PS純金』『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』の2番組、ドラマ『こんなところで裏切り飯』を紹介しました。『PS純金』は“PS GOLD”の名称で台湾、香港、タイに提供していることが明かされました。いずれも実在するレストランが番組内に登場していることが強みとなっています。

続いてテレビ新広島の亀井氏が登壇し、同局がフランスのケーブルテレビに供給している番組『Japan in Motion』を取り上げました。「広島のネタが中心になりますが、キー局ではローカル情報が少し古くなるところ、我々と組んでいただければ旬な情報をお届けできるのが強み」であることをアピール。また、ナレーションは現地フランスで収録しており、ローカライズにも力を入れていることを強調しました。そして、フランスでの長期にわたって放送していることから、「フランス人が好むテイストや表現方法、やってはいけないことなど多くのことを学んできました。これらも我々の強みであります」と自負しました。

最後に登壇したのは日本経済新聞社の佐藤氏と浦崎氏。まず、佐藤氏から今年スタートした日本経済新聞社とグループ放送局による共同プロジェクトについての紹介がありました。グループ放送局は、テレビ北海道、テレビ愛知、テレビ大阪、テレビせとうち、テレQの5局。佐藤氏はこのプロジェクトの強みとして、「これまでマーケットに流通してこなかったローカル局のコンテンツをご紹介できること、そして海外マーケットのニーズを取り込みながら、日経がグループとして次のコンテンツ制作に取り組めることです。グループで連携しながら、介護、観光、グルメ、経済など、まだ海外に広く知られていない各地の知られざる日本を発掘してお届けしたい」と明かしました。続いて浦崎氏からその代表的な番組として、『ローカルビジネスサテライト』が挙げられました。日本経済新聞社とグループ5局が共同で企画・取材する番組で、日本の伝統産業や観光、食のイノベーション、ハイテクや機械産業など、広い分野を取り上げているといいます。

 

地方局の海外展開を支援するオンライン番組カタログ「Japan Program Catalog」

セッションの後半には放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)の落合氏より、海外販売をサポートするオンライン番組カタログ「Japan Program Catalog」の紹介がありました。日本では最大規模のサービスで、登録番組数はキー局、ローカル局製作番組あわせて1400以上にもなるといいます。本サービスが求められた背景として、落合氏は、「海外バイヤーがオンライン上で日本の番組を探すときに問題が生じています。キー局のように多くの番組を保有する大手セラーであれば、自身のオンライン番組カタログを持っています。しかし、地方局のように所有する番組数が少ないセラーの場合、カタログを持ちません。そのため、海外バイヤーが興味を持ったとしても、番組名、もしくはセラーの名前が分からなければ、アクセスできないのです」と説明しました。

※クリックして拡大

最後に、このサービスを通じて得られるメリットが落合氏から明かされました。バイヤーは、カタログを持たない地方局製作の番組にアクセスできる機会が得られるほか、各番組のトレイラーを視聴することが可能であること。そして、セラーにとっても、カタログを用意することなく、海外バイヤーにリーチできるほか、海外展開時にはBEAJからの支援を得られるといいます。

地方局ならではの海外販売の取り組みと強み、そしてそれをサポートするBEAJの活動が共有された本セミナー。会場には、日本人はもとより、海外からの来場者も多く詰めかけて満席。熱気あるなかでの開催となりました。

 

取材・構成:河西隆之

特集:TIFFCOM 2024