アート映画はどう認知率を上げるのか?「クリエイター・アベンジャーズ」のFOXサーチライトの戦略
公開日: 2019/05/10

連載第6回は、『女王陛下のお気に入り』といったオリジナルコンテンツを多数アカデミー賞に送り込んでいるFOXサーチライト・ピクチャーズに焦点を当てます。マーベル作品を筆頭にフランチャイズ・シリーズ作品が世を席巻しているなか、どのように作品認知を獲得しているのでしょうか。ミシェル・フーパー氏が同社の強みやデータの使い方を明かしてくれました。
※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2019年3月)時点の情報です
本物でなければメッキはすぐに剥がれてしまう
モデレーター
言うまでもなく市場の競争は激しく、どんな作品であっても楽に公開できることはありません。そこでミッシェル、オリジナルコンテンツを数多く公開してきたあなたにお伺いしたいです。例えば『女王陛下のお気に入り』のような作品の場合、どのように認知を獲得していくのでしょうか。スーパーヒーローものなどベース認知のある作品が数多く存在する中で、本作はかなりタイプが異なります。私個人にとっては今年のイチオシ作品のひとつですが、あの種の作品に関心を向けさせる方策についてお聞かせください。
ミシェル・フーパー(FOXサーチライト・ピクチャーズ)
偶然ですね、実は会場まで運転して来る途中でこのことについて考えていました。パネリストの皆さんのスタジオは素晴らしい知的財産(IP)をお持ちですが、FOXサーチライト・ピクチャーズにはありません。我々にあるのは傑出した映画クリエーターです。マーベル・コミックスの代わりに、ウェス・アンダーソンやギレルモ・デル・トロ、ヨルゴス・ランティモス、マーティン・マクドナーがいるのです。
マイケル・モーゼス(ユニバーサル・ピクチャーズ)
それはそれで、ずいぶんとすごいアベンジャーズだと思いますよ。
(会場笑)
モデレーター
上手い例えですね。
ミシェル・フーパー(FOXサーチライト・ピクチャーズ)
我々の作品は確かに注目されにくいものも多いのですが、作品の独自性とメッセージのオリジナリティが注目される鍵だと思っています。当社の宣伝クリエイティブは、会場に来てくれているヘザー・アーティスが担当しています。素晴らしい予告動画等を手がけていますが、30秒スポットに収めきれない作品もあります。分かりやすい作品ではないのです。また、作品はある種プラットフォームであり、宣伝においては誠意をもってその作品の本質を伝えることも重要です。しっかりした作品でなければ、すぐにメッキが剥がれてしまうのです。作品自身が宣伝の大きな要素で柱です。
作品毎に全く異なることが宣伝戦略の面白み
ミシェル・フーパー(FOXサーチライト・ピクチャーズ)
データに関しては、我々が用いる手法は昔ながらのもので、モニター試写会調査といったものです。批評家がどう反応するかを予測するためのものです。映画祭での上映への反応も見ています。これらのデータは、限定された劇場での公開日を決定するためだけでなく、全国展開するタイミングや、競合の動向を見定めるためにも使われます。毎年この時期(3月)には、年の後半の活動予定を策定しています。
非常に面白くダイナミックで魅力的なラインナップをそろえています。小規模ながら素晴らしいインディーズ作品をいろいろと手がけてきたほか、近年では『マイティ・ソー バトルロイヤル』を監督したタイカ・ワイティティの作品が公開されます。彼が以前に脚本を書き上げた『Jojo Rabbit(原題)』という作品で、第二次世界大戦の時代を描いています。ワイティティ自身が、主人公である10歳の少年の想像上の友人“ヒトラー”を演じています。ジャンルはコメディです。
現在我々はこの作品を含めて数作品の産みの苦しみの真最中にいます。作品ごとに異なる宣伝計画を策定するのですから、非常にエキサイティングですね。
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