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活況な日本映画市場を支える2本の柱
公開日: 2019/08/30

2019年8月30日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された『シネマの週末・データで読解:洋画も邦画も力強く』の転載です
『天気の子』

『天気の子』  公開中
©2019「天気の子」製作委員会

 

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(24、25日)>

 

1. (2) 天気の子 (6週目)
2. (1) ライオン・キング (3週目)
3. (NEW) 劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD− (1週目)
4. (3) 劇場版 ONE PIECE STAMPEDE (3週目)
5. (4) トイ・ストーリー4 (7週目)
6. (NEW) ロケットマン (1週目)
7. (NEW) 二ノ国 (1週目)
8. (5) ワイルド・スピード/スーパーコンボ (4週目)
9. (6) ペット2 (5週目)
10. (8) ミュウツーの逆襲 EVOLUTION (7週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
 

 

日本の映画市場が活況を呈している。主要配給会社の7月までの累計興行収入は前年比2割増と発表され、その後も堅調な動き。この状況は、世界最大市場の北米と比べても目を見張るものがある。北米はメガヒットを連発しているディズニーの存在感が顕著だが、市場全体は昨年比で減少傾向という。

 

これに対して日本では、ローカル映画=邦画も好調なことが活況の一因だ。日本でもディズニーは、『ライオン・キング』『トイ・ストーリー4』などが大ヒット中。加えて邦画の興収も昨年比で大きく増えており、特に最大シェアの東宝の増加額が大きい。『コナン』『ドラえもん』などの定番のほか、『キングダム』『マスカレード・ホテル』などの実写作品も大ヒットした。日本には「北米におけるディズニーのような存在感の会社が二つある」状況である。

 

今後の見通しも力強い。1位に返り咲いた『天気の子』を含めて上位作品は快走中。秋以降も、興収250億円を超えたディズニーの『アナと雪の女王』続編が控えるなど期待作が多い。

 

洋画と邦画、どちらかの調子が悪くてももう片方が支える構造で、日本の映画興行市場は比較的安定的に推移してきた。今年は、洋画も邦画もよいという力強い年となっている。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『洋画も邦画も力強く』(毎日新聞2019年8月30日 東京夕刊)

 

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