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夏映画興行/映画参加者人口減少続く中でのランキングの顔ぶれ
公開日: 2021/08/27

2021年8月27日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『復興へのバトン、多様に』」の転載に、補足を加えています。

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(21、22日)>

1.(NEW) かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル 1週目
2.(1) ワイルド・スピード/ジェットブレイク 3週目
3.(2) 竜とそばかすの姫 6週目
4.(NEW) 孤狼の血 LEVEL2 1週目
5.(3) 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション 3週目
6.(5) 東京リベンジャーズ 7週目
7.(4) 映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 4週目
8.(NEW) パウ・パトロール ザ・ムービー 1週目
9.(6) ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 2週目
10.(8) フリー・ガイ 2週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

例年書き入れ時となる夏興行が終わりつつある。全体の動員ペースは、まだまだ低調だ。7月は昨年を上回っていたものの、8月に入りペースダウン。公開中の作品の動員も、前週比で大きく落ちている。こうした中、1年に1本以上映画館で映画を見る映画参加者の減少が続き、市場の縮小に歯止めがかかっていない。特に高年齢層の減少が止まっていない。

映画参加者人口 月次推移― CATS調査より ―

一方でポジティブな点は、ランクインした作品の顔ぶれが、邦画、洋画、実写、アニメとバラエティーに富んでいること。

まず、初登場1位の『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』は、King & Princeの平野紫耀と橋本環奈が出演する邦画実写映画の続編。キャストファンとみられる10代女性の鑑賞意向が非常に高い。

『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』公開週の性年代別意欲率の前作比較か

2位には洋画大作シリーズ最新作の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』、3位に細田守監督邦画アニメ『竜とそばかすの姫』と続く。8位のキッズ向け『パウ・パトロール ザ・ムービー』も前作を大きく上回るスタートだ。

映画鑑賞には習慣性があり、ある作品の動員は次につながる。多様な作品の顔ぶれは多くのバトンをつなぐだろう。それは長期にわたるコロナ禍からの復興の後押しになる。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『復興へのバトン、多様に』(毎日新聞2021年8月27日 東京夕刊)

今回の調査結果について
今回の調査結果は、映画製作・興行・配給・宣伝向け分析サービス「CATS(Cinema Analytical Tracking Survey)」の調査結果を基にしています。本調査を基にした商品には、劇場公開映画の宣伝状況を俯瞰する業界スタンダード・レポート「CATS 市場概況レポート+(プラス)」や、作品別に目標目安値とターゲットを設定し、劇場公開前の作品について詳細に宣伝状況を把握できる「CATS 作品別詳細オンライン」などがございます。CATSデータの部分販売も可能ですので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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