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女性でも客層に違い - 週末興行成績ランキングより
公開日: 2017/06/30

2017年6月30日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解:女性でも客層に違い」の転載です。
(C)2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

(C)2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

 


<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(24、25日)>

1. (1)

22年目の告白-私が殺人犯です-

(3週目)

2. (2)

美女と野獣

(10週目)

3. (3)

昼顔

(3週目)

4. (ー)

ハクソー・リッジ

(1週目)

5. (4)

こどもつかい

(2週目)

6. (5)

劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女

(2週目)

7. (ー)

いつまた、君と-何日君再来-

(1週目)

8. (ー)

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第二章「発進篇」

(1週目)

9. (6)

キング・アーサー

(2週目)

10.(7)

花戦さ

(4週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

 

ランキングトップ3は「22年目の告白-私が殺人犯です-」「美女と野獣」「昼顔」で、前週と同じ顔ぶれとなった。この3作品の特色を1年に1本以上、映画館で映画を見る人を対象にした市場調査の結果で見てみよう。

3作品とも、女性の鑑賞意欲が高めという点で共通している。しかし、細かく見ていくと違いがある。「美女と野獣」は20代以下と50代以上の意欲が高めというサンドイッチ構造。「22年目~」と「昼顔」は共に20代女性が中心だが前者は学生、後者は専業主婦が多めだ。関連して「22年目~」と「美女と野獣」は普段友人と映画をよく見る人、「昼顔」は普段中学生以下の子供らと見る人、つまり​「お母さん」と考えられる人の中での意欲が高い。こうした属性の違いが、「22年目」と「昼顔」では、週末と平日の観客動員数が逆転する現象の要因だろう。

さらに、3作品の鑑賞意向者が現在公開中、近日公開予定の作品のうち、どれが見たいかを比較すると、共通して意欲度が高いのは今週末公開のジョニー・デップ主演、シリーズ5作目の「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」である。パイレーツシリーズは前作「生命の泉」が興行収入88億7000万円のヒットを記録、本作も今夏最も観客動員の期待度の高い作品の一つとなっている。夏興行の盛り上がりの兆しが、ここでもみられる。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 「女性でも客層に違い」 (毎日新聞2017年6月30日 東京夕刊)

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