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精緻なターゲティングが可能にした顧客との”対話“~グーグルの事例
公開日: 2018/05/11

massive2018

 

これまで以上に精緻なターゲティングが求められているデジタルマーケティング業界。成功へと導くターゲティングのカスタマイズとそのリーチ規模のバランスとは? そして求められる対応速度とは? 2018年春、米ロサンゼルスで開催された映像業界関係者向けのカンファレンス”MASSIVE The Entertainment Marketing Summit”で行われたパネルディスカッション“Masters of Targeting and Holding the Audience”にて答えを探ります。

 

※スピーカーやセッションの概要は、連載第1回「映画ヒット×デジタルマーケティング成功事例~『ジュマンジ』」をご覧ください。

 

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グーグルが重要視する顧客との”対話“とは? 連載第5回は、グーグルが考えるターゲットへのアプローチ方法に迫るほか、効果的なデジタルマーケティングにかかせない「コンテキスト」と「ターゲット層の密度」のバランスにも触れるなど、注目度の高いディスカッションになりました。
※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2018年3月)時点の情報です

 

コンテキスト

 

グーグルが説く顧客との“対話“が意味すること

 

スザンヌ・クンケル(モデレーター)
適切なオーディエンスに対し、適切なコンテキストでアプローチすることの重要性は高まる一方です。満足のいく結果を出すにはどうしたらよいのでしょうか。

 

アンジー・バリック(グーグル)
現状を理解するのに役立つ要素として、今日のエンターテインメント業界における多様な分野をまたぐサブ属性の登場があげられます。少なくともあるエリアでは、誰がチケットを購入者し、誰が上映スケジュールを確認しているのかを把握でき、これらは非常に有用な情報となっています。属性を獲得し、データをしっかりと分析・解析することで、頻繁に劇場に足を運ぶほどの映画好きなのか、特定の映画の予告編を視聴したのか、などを識別できるようになるのです。

こういった情報の集積により、“対話”が可能となります。つまり、ターゲットに何回アプローチすべきか、またはそのターゲットに対して、劇場に足を運んでくれる“可能性のある”オーディエンスと同程度にアプローチして問題ないのか、といったことをテストできるようになるのです。

年に1~2回足を運ぶだけでも、アクションやアドベンチャー作品が好きだという傾向は分かります。今はソファに腰を落ち着けているのかもしれませんし、ゲームに熱中しているのかもしれません。しかし、彼/彼女らはポテンシャル層なのです。このポテンシャル層に対し、ファン層よりも手厚いアプローチを仕掛けているでしょうか? 大規模なカスタマイズは、必要ではあるものの、なかなか手を出せないものです。しかし、手の届く範囲のなかででも始めることができれば、結果を得ることができ、それは大きな意味を持つでしょう。

 

エリアス・プリシュナー(ソニー・ピクチャーズ)
アンジーの意見に全く同感です。頻度やポテンシャル層などのセグメントが明確になった段階で、どのようにターゲットにアプローチするのかを考えるのは我々の責任です。宣伝活動は段階的に行うものだと長年考えられてきましたが、私はそうは思いません。むしろ、初期のシグナルやマーケットの状況を把握し、チケット発売前にそれらに基づいてどのような形でアプローチするかを判断するのが重要だと思っています。

 

アンジー・バリック(グーグル)
顧客との“対話”とはどのようなものなのでしょうか。例えば、グーグルはスキップ不可の動画こそが正解だと考えてきました。しかし、今では様々な仮説を立ててその真偽を検証しています。例えば、35歳未満のターゲットに30秒バージョンの動画を配信して誰も観たがらないとなれば、スキップ不可の動画を基本にしながら、25歳向けには6秒バージョン、35歳向けには15秒バージョンを展開するかもしれません。つまり検証を重ねることが適切なアプローチ、“対話”につながるのです。

 

 

「ターゲット層」の扱い方について再考する時期

 

ウォルト・ホーストマン(ティーボ)
オーディエンスに適したコンテンツを投下する重要性について、付け加えさせてください。ありがちなこととして、ターゲットとして判断した顧客セグメントに対して、コンテキストに注意を払わず機械的に広告コンテンツを投下して獲得機会を失ってしまうということがあります。今や、「ターゲット層」の扱い方について再考する時期にきています。そして、それには適切なコンテキストと正しいカスタマイズが必要となります。

重要なことは、属性から適切なコンテキストを把握することです。コンテキストマーケティングでは宣伝を行う際、ターゲットを非常に細かく設定し、正しいコンテキストのうえで実施されているかのABテスト何度も行います。それにより、徐々に洗練され、精度を上げていくのです。ともかく重要なのは、「コンテキスト」と「ターゲット層の密度」のバランスなのです。

 

<「(6)精緻なターゲティングとリーチ規模のバランス~『ベイビー・ドライバー』」に続く>

 

 

デジタルマーケティングによる映画鑑賞者ターゲティング最前線