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<映画鑑賞者に関する調査結果> 音楽映画人気の高まりは本当か? 最新データで映画鑑賞者の行動心理を読み解く
公開日: 2019/03/27

GEM Partnersは3月22日、ジャンル嗜好や鑑賞本数、利用劇場といった一般的な調査項目はもちろん、「人はなぜ映画を見るのか」「人は映画鑑賞に何を求めるのか」、さらには「映画鑑賞時の行動スタイル」に至るまで、映画鑑賞者の行動心理に迫るデータを過去5年(2014年~2018年)にわたりトラッキングしたオンライン分析ツール「GEM映画白書ダッシュボード」の販売を開始いたしました。

映像コンテンツビジネスの構造・環境が大きく変化する中、未来への意思決定に必要な映画鑑賞者の行動背景にある「なぜ」、そしてその「変化」を解き明かせる画期的なツールです。今回、その最新データを用いた注目の調査結果をご報告いたします。

 

 

2018年11月に公開され興行収入125億円を超える大ヒットを記録している『ボヘミアン・ラプソディ』により、熱を帯び始めたように感じられる音楽映画市場。しかし、実際のところ映画鑑賞者の嗜好にはどのような変化が訪れているのでしょうか。今回、GEM映画白書ダッシュボードを用いて、「音楽もの(洋画)」の鑑賞者嗜好を探ってみました。「調査結果」にて総括したほか、「調査データ」にて詳細を記しましたのでご覧ください。

 

<調査結果>

洋画のジャンル別嗜好において、「音楽もの」は前年から大きく伸長し、「アクション」に次ぐ2位の伸び幅を記録しました。性年代別でみると、女性50代、60代が[とても好き][好き]と答えた割合が多く、特に女性50代で[とても好き]と答えた割合に関しては、前年比約2倍と躍進しています。次に誰と観に行くかに着目すると、「音楽もの(洋画)」嗜好者は全体よりも、[友人と2人で][友人と3人以上のグループで]の回答者が多く、友人と連れ立って観に行く傾向が高いことが分かりました。「音楽もの(洋画)」嗜好者は、上映方式についてもこだわりが高く、音響を重視する上映方式すべての項目で全体よりも高い関心を示しています。さらに、映画鑑賞者全体としても音楽表現への関心が高まっており、映画館で作品を鑑賞する際に何を求めるかの調査では、[映像、音楽などの表現手法の体験]が前年を上回る結果となりました。

 

<調査データ>

【1】洋画のジャンル別嗜好で「音楽もの(洋画)」は「アクション(洋画)」に次ぐ伸び幅

2019年1月に実査した最新データ(2018年データ)から、洋画の映画ジャンル別に[とても好き]と回答した人の割合を確認してみます。下図は前年からの伸び幅が大きいジャンル上位5つです。

 

 

2018年は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』や『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『レディ・プレイヤー1』『ヴェノム』など、アクション要素の強いヒット作が多く公開されました。そのため話題となる機会も多く、「アクション(洋画)」に関心を寄せる層が最も増加したのは納得の動きといえるでしょう。

そのような中、「音楽もの(洋画)」は「アクション(洋画)」に次ぐ、第2位の伸び幅を記録。2018年の回答者数としては「アクション(洋画)」の半分以下となりますが、同ジャンルを除く他の多くよりも関心度合いが急激に高まってきていることが分かります。

 

【2】女性50代、60代が「音楽もの(洋画)」人気を押し上げる

では、「音楽もの(洋画)」の人気を押し上げているのは誰なのでしょうか。そこで、「音楽もの(洋画)」に対する好き嫌いを性年代別に確認してみます。すると、女性50代~60代で[とても好き][好き]の割合が多いことが分かります。

 

 

ここで、[とても好き]と回答した女性50代、60代の経年変化に着目すると、特に女性50代は前年比2倍と躍進していました。

 

 

【3】「音楽もの(洋画)」嗜好者は友人と連れ立って鑑賞する傾向が強い

次に「音楽もの(洋画)」を好む人たちが、どのような人と劇場に映画を観に行くのかを確認してみます。「音楽もの(洋画)」を[とくに好き]と回答した人は、全体に比べて[友人と2人で][友人と3人以上のグループで]が特に高い結果となりました。「音楽もの(洋画)」を好む層は友人と連れ立って観に行く傾向が強いようです。

 

 

【4】「今後、利用したい上映方式」では音響へのこだわりが表出

では、上映方式にはどのような関心を寄せているのでしょうか。GEM映画白書ダッシュボードは、インタラクティブに分析軸を切り替えることができるため、「音楽もの(洋画)」に対して[とても好き]と回答した人たちが、「今後利用したい上映方式」についても確認できます。全体と比較してみると、音響にこだわっている上映方式すべての項目で高い関心を寄せていることが分かりました。

 

 

【5】映画鑑賞者全体も映像・音楽表現の体験に強い関心

映画鑑賞者全体が"映画館で映画を観る時”に何を求めているかの調査からも、音楽に対する強い関心がみてとれます。最新の調査で確認すると、軒並み前年割れのなか、[映像、音楽などの表現手法の体験]が前年比増という結果になりました。一方、”映画館以外で映画を観る時”に何を求めるかの調査における同項目は前年を下回っています。これにより、鑑賞者全体で映画館でより強く[映像、音楽などの表現手法の体験]が求められてきていることが分かります。

 

 

*「映画に求めるもの」調査項目詳細:[暇つぶし][ストレス発散][気分転換][日常生活からの解放][恋人・夫婦間のコミュニケーション][家族サービス][友人・知人との共通の話題作り][周囲へ情報発信(話題の提供)][流行の確認][他の鑑賞者との”一体感”を楽しむもの][異なる世界・人生の体験][好奇心、知識・教養の向上][新しい考え方・自分との出会い][アイデア、創造力の源泉][映像、音楽などの表現手法の体験][芸術作品の鑑賞][あてはまるものはない][その他]

以上のように、「GEM映画白書ダッシュボード」を用いれば、映画・映像ビジネスを考える際に必要な映画鑑賞者の行動心理の“なぜ”や“変化”に素早くアクセスできます。その結果、音楽映画への関心が高まっていることを、直感的な判断ではなく、 “具体的なデータ”で裏付けることができるのです。

 

「GEM映画白書ダッシュボード」の詳細は、下記商品ページよりご覧ください。

 


◆調査概要(2018年データ)

【調査方法】インターネットアンケート
【調査対象】全国に住む15~69歳の男女
【調査実施日】2019年1月12日(土)~2019年1月13日(日)
【回答者数】9,475人(うち映画劇場鑑賞者 ※ 3,893人分)
【数値の重みづけ】総務省発表の人口統計、CATS参加率を参考に各調査者を性年代・映画鑑賞頻度別に重みづけ

 

◆商品概要

【商品名】GEM映画白書ダッシュボード
【リリース日】2019年3月22日(金)
【提供方法】オンラインツールでの閲覧(GEM Standard)
【含まれるデータ】2014年・2015年・2016年・2017年・2018年に関する調査データ
【価格】
初期設定料:500,000円(税別)
※ 次年以降も継続してご契約いただける場合は、次年以降の初期設定料は不要です。ただし、契約期間が切れ、一定期間後に契約を再開された場合は、再度、本費用が発生します。
年間閲覧料:300,000円(利用者ID:5セット)(税別)
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