第1章 “科学“と“技術”「4:スマートTVがスマートではない理由とは!?」
公開日: 2018/09/21

消費者のメディア接触の傾向が変わるなか、マーケターが最適な結果を得られる戦略にはどのようなものがあるのでしょうか。ARやインタラクティブ端末の誕生により、オーディエンスや消費者にリーチできる新たなプラットフォームが登場しましたが、どのようにリーチすればよいのでしょうか。また、動画配信やSNSといったOTTの契約者数増加によってマーケターが手にするチャンスとは一体?
”MASSIVE The Entertainment Marketing Summit”で行われたパネル・ディスカッション“Marketing to the Multiplatform Fan”では、プラットフォーム間でファンを生み出す方法について、トップクラスのマーケターとマーケティング・パートナーが議論を交わしました。
※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2018年3月)時点の情報です。
モデレーター:
ゲイル・フギット(Gayle Fuguitt)
フォースクエア(Foursquare) 顧客インサイト/イノベーション担当部門長
パネリスト:
アシシュ・コーディア(Ashish Chordia)
アルフォンソ(Alphonso) CEO兼共同創業者
――TVデータ会社。TV広告プラットフォームを運営し、リアルタイムで消費者インサイトの分析、提供を行う(関連記事)。
※登壇したパネリスト全員の概要は、連載第1回「第1章 “科学“と“技術”「1:データを解釈してストーリーを描け! 不可欠な定性分析」」をご覧ください。
スマートフォン、スマートTV……、スマートと名付けられた端末は世にあふれています。しかし、コンテンツを求めてプラットフォームを移動する消費者を前に、私たちはスマートに情報を届けられているのでしょうか。連載第4回は、TV広告プラットフォームを運営するアルフォンソが、消費者の行動を把握することで、真に”スマート”な情報提供を実現していることを明かしました。
”スマート”な体験が”スマート”な商品を生む
モデレーター
本日、デロイトが行った別のセッションにおいて、ケーブルテレビ業界が直面している契約者数の減少や動画配信サービスの台頭などが話題となりました。こういった状況のなか、TVデータ会社であるアルフォンソはどのような施策を行っているのでしょうか。
アシシュ・コーディア(アルフォンソ)
自分の欲しいコンテンツを、欲しい場所で、欲しい時に、好みのデバイスで受け取れるというような世界は、もう目の前まで来ています。それは、スタジオやエンターテインメント企業がもたらす素晴らしい未来です。我々はそれに対して、いかにデータを有効活用して消費者の反応を捉えることができるか、という観点からアプローチしています。
TVでコンテンツを観る人は、TVを通じてお勧め情報を手にしますよね。なぜなら彼らにとってそれは“スマート”な体験だからです。スマートTVが登場してから何年も経ちました。そして今では誰もがスマートフォンを持ち歩いています。しかし、こういったデバイスはインターネットにつながってはいても、ことエンターテインメントに関する限り実は“スマート”ではありません。Netflixアプリが搭載されているからといっても、それがすなわちスマートTVというわけではないのです。
アルフォンソでは、まずデータを利用して消費者の環境に適した“スマート”な体験を提供し、そのデータを消費者と関連付けます。そして、関連付けたデータの規模を大きくし、別の”スマート”な商品へと育てているのです。

プラットフォームを超えて消費者を追い続ける
アシシュ・コーディア(アルフォンソ)
マルチプラットフォームへの関わり方について話しましょう。TVを観る消費者とラジオを聴く消費者に共通することはどんなことだと思いますか? ここから考え始めて、いろいろな媒体へと考えを展開させるといいでしょう。例えば、テレビ放送でメッセージに触れる人もいれば、屋外広告で触れる人もいます。しかしその後、彼らはその場所から立ち去ってしまうでしょう。我々はどうやって再び彼らを見つけて、彼らのポケットに入っているモバイルデバイスにメッセージを送信すればいいのでしょうか。
我々は、成長のマクロトレンドと消費者がコンテンツをどこで受け取りたいと考えているかという面からアプローチします。そして、消費者に“スマート”な体験を提供しつつ、その過程でデータを収集して大きくしていくのです。以前はネット接続端末など存在しなかったため、こういったことは不可能でした。そんなものをポケットに入れて映画館に入る人はいなかったですよね。しかし、それは今、現実となりました。次はそのメリットをマーケターにいかにして還元できるのかを考える段階です。
モデレーター
ありがとうございました。どのようなメディアに接するかが消費者の行動を把握する手がかりになると同時に、それが彼ら/彼女らの自己表現のひとつなのかもしれませんね。
第2章 “プラットフォーム”と“消費者”
「1:消費者の対話に参加せよ!」
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