第1章 “科学“と“技術”「3:自社サービスで映画業界エコシステムを確立」
公開日: 2018/09/14
消費者のメディア接触の傾向が変わるなか、マーケターが最適な結果を得られる戦略にはどのようなものがあるのでしょうか。ARやインタラクティブ端末の誕生により、オーディエンスや消費者にリーチできる新たなプラットフォームが登場しましたが、どのようにリーチすればよいのでしょうか。また、動画配信やSNSといったOTTの契約者数増加によってマーケターが手にするチャンスとは一体?
”MASSIVE The Entertainment Marketing Summit”で行われたパネル・ディスカッション“Marketing to the Multiplatform Fan”では、プラットフォーム間でファンを生み出す方法について、トップクラスのマーケターとマーケティング・パートナーが議論を交わしました。
※本記事で触れられているサービス内容はカンファレンス開催(2018年3月)時点の情報です。
モデレーター:
ゲイル・フギット(Gayle Fuguitt)
フォースクエア(Foursquare) 顧客インサイト/イノベーション担当部門長
パネリスト:
アダム・ロックモア(Adam Rockmore)
ファンダンゴ(Fandango)上級副社長兼マーケティング/コミュニケーション部門長
――FandangoやRotten Tomatoes、FandangoNOW、Flixsterなどのサービスを展開
※登壇したパネリスト全員の概要は、連載第1回「第1章 “科学“と“技術”「1:データを解釈してストーリーを描け! 不可欠な定性分析」」をご覧ください。
マーケティングにおける三大要素「適切なメッセージ」「正しいターゲット」「最適なタイミング」。これらを実践するためになにをすべきでしょうか? チケット販売のプラットフォーマーであったファンダンゴは、映画業界のエコシステムを確立することで、この問いに対するひとつの答えを出しました。連載第3回はファンダンゴの上級副社長アダム・ロックモア氏が明かすエコシステム確立の背景や手法に注目です。
プラットフォームビジネスからエコシステムビジネスへの転換
モデレーター
ファンダンゴは全く新しいビジネスのプラットフォームと言えるのではないでしょうか。アダム、あなたは以前、自社のことを現代の映画ライフスタイルマシンだと例えました。そこでぜひ、マーケティングにおける三大要素「適切なメッセージ」「正しいターゲット」「最適なタイミング」に対してどのようにアプローチしているか教えてください。
アダム・ロックモア(ファンダンゴ)
ここ5年間のファンダンゴのビジョンは、単なるチケット販売のプラットフォームから映画のライフサイクル全般に関わるエコシステムに成長させることでした。ファンダンゴにはMovieclipsというサービスがあります。このサービスはYouTube上でマルチチャンネル展開し、トレイラーや動画クリップを配信しています。消費者に興味のある作品を“発見”させることができれば、自然と弊社が手がけるチケット販売のFandangoや、映画に特化したSNSサービスFlixster、同じくチケット販売サイトのMovieTickets.comなどを利用してくれますからね。
その他にも同じく弊社映画レビューサイトであるRotten Tomatoesや、映画やテレビの動画配信アプリFandangoNOWがあり、その先には関連商品の販売もあります。つまり、ファンダンゴのエコシステムに接したお客様をあらゆるタイミングで捉え、別のサービスへと誘導して利用範囲を拡大していただくことをコンセプトにしているのです。
エコシステムに沿った宣伝活動
アダム・ロックモア(ファンダンゴ)
例えば、Movieclipsで『レディ・プレイヤー1』を知ったお客様がいらっしゃるとします。我々はその瞬間に必ず何らかのアクションを取るようにしています。公開前であれば、お客様が作品のファンであると考え、浸透度などのデータを取得します。一方、公開済み作品であれば、ホームエンターテインメントのサービスへと誘導するほか、出演者の別作品を勧めるといったこともしています。映画のチケット購入者に関連商品を勧めるのと同様です。
FandangoNOWやFandangoといったサービスは、特にシリーズものに強いですね。事前にお客様を掴んでおきたければ、それを目的として宣伝活動を組み立てればいいのです。そして映画を観た後で「気に入ったのでしたら、ホームエンターテインメントで購入予約をしませんか」とご案内するのです。こういったデータを、あるサービスに接したお客様を同じエコシステム内にある他サービスに誘導するために利用します。また、スタジオとの提携も素晴らしい方法です。エコシステムを提供することで、彼らはあらゆる場所でお客様にリーチできるようになるのです。ライフサイクルを利用して興味の度合いを測定し、より早く映画を観てもらうなど、何かしらのアクションを確実にとっていただいたくよう働きかけられるのです。
第1章 “科学“と“技術”
「4:スマートTVがスマートではない理由とは!?」
トップマーケターが語るマルチプラットフォーム戦略
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第1章 “科学“と“技術”
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3:自社サービスで映画業界エコシステムを確立
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