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コロナ禍からの映画興行の復興に向けて~市場調査から
公開日: 2021/01/29

2021年1月29日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『公開と配信の相乗効果を』の転載に、補足を加えています。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開中
© 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(23、24日)>

1.(1) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 15週目
2.(2) 銀魂 THE FINAL 3週目
3.(3) 映画 えんとつ町のプペル 5週目
4.(NEW) さんかく窓の外側は夜 1週目
5.(5) 劇場版ポケットモンスター ココ 5週目
6.(4) 新解釈・三國志 7週目
7.(6) 約束のネバーランド 6週目
8.(8) STAND BY ME ドラえもん 2 10週目
9.(7) 夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者 2週目
10.(9) 新感染半島 ファイナル・ステージ 4週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

映画製作者連盟の発表によると、2020年の年間総興行収入は前年比54.9%の1433億円だった。コロナ禍から映画館が営業自粛を余儀なくされ、多くの作品、特に洋画大作が公開延期される一方、人々の自粛意識の高まりから客足も鈍くなりがちだった。

消費者調査をみると、年間1本以上映画館で映画を見る「映画参加率」も減少。一方で「映画を動画配信サービスで見る人」の数は増加し、全体として「何らかの方法で映画を見る人」の割合は微減にとどまった。映画業界が恐れるべきなのは「動画配信で映画を見るようになること」ではなく「いずれの方法でも映画を見なくなること」だ。

どちらかの盛り上がりは相互の盛り上がりにつながる。多くの人が動画配信で「鬼滅の刃」のアニメシリーズを鑑賞したことが劇場版メガヒットの要因の一つだし、劇場版のヒットでアニメシリーズの注目度は更に高まった。何らかの形で映画ファンが物語の世界観、キャラクターに触れていることが重要だ。

新作を公開する映画館では、安全対策に万全を期して観客を楽しませる。一方で、延期となった期待作は、シリーズの先行作や関連作品を動画配信で楽しみながら、公開を待ってもらう。こうした状況が、映画興行の平常化と、ひいては産業の未来につながると考える。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『公開と配信の相乗効果を』(毎日新聞2021年1月29日 東京夕刊)

今回の調査結果について
今回の調査結果は、弊社が販売している「BIRDS 市場概況」にてご提供している「HE市場の変遷」をもとにしています。

「BIRDS 市場概況」は、ホームエンタテイメント(HE)市場でリリース(発売・配信)される主要な映画・ドラマ作品の浸透状況や購入意欲を掲載。DVD・BDのセル意欲、レンタル意欲はもちろん、デジタル(SVOD、TVOD、EST)の各意欲まで個別に聴取し、劇場公開直後とHEリリース時における指標の推移を直近から過去1年間にわたって参照いただけます。

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