コンテンツをすべて見切るには何年かかる? 「再生時間」からみる定額制動画配信サービス<VODラインナップ分析ツール>
公開日: 2021/11/12
「再生時間」からみる定額制動画配信サービス
コロナ禍における“おうち時間”の増加にともない利用率が急伸した「定額制動画配信サービス」(参照記事)。各サービスは利用者を惹きつけ続けるため、提供するコンテンツ数を増やしており、それに合わせて、コンテンツの合計再生時間(すべてのコンテンツを視聴するのに必要な時間)も増えています。
では、各サービスの「合計再生時間」はどのように違うのでしょうか? どのようなペースで増加しているのでしょうか? 期待度の高まりと変化の著しい定額制動画配信サービスの現状をとらえるため、コンテンツの「再生時間」に着目し、各サービスの現状をあぶりだしました。
【調査ハイライト】
- 「海外ドラマ」の再生時間が最も多く、16.4年、シェア35%
-コンテンツタイプ別の合計再生時間とシェア- - U-NEXTの映画・ドラマ・アニメ等のコンテンツ視聴にかかる時間は約12年
-定額制動画配信サービスの合計再生時間比較- - 現状の増加ペースでは、一生かかってもすべてを視聴できない
-再生時間の増加ペース-
- Abemaプレミアム
- Amazonプライム・ビデオ
- dTV
- dアニメ
- FOD
- Hulu
- J:COM
- Netflix
- Paravi
- TELASA
- TSUTAYA TV
- U-NEXT
- ディズニープラス
- ひかりTV
※アルファベット・50音順
「海外ドラマ」の再生時間が最も多く、16.4年、シェア35%
-コンテンツタイプ別の合計再生時間とシェア-
調査対象となる14の定額制動画配信サービスで配信されているコンテンツの合計再生時間をコンテンツタイプ別に分け、2021年10月初旬時点でのそれぞれの合計再生時間とシェアを算出しました。
合計再生時間が最も長いコンテンツタイプは、「海外ドラマ」で8,634,339分(年換算:約16.4年)でした。次いで長かったのは、「日本アニメ」で5,885,306分(年換算:約11.2年)です。コンテンツタイプ全体におけるシェアをみると「海外ドラマ」は35.1%、「日本アニメ」は23.9%となりました。「海外ドラマ」と「日本アニメ」を合わせると59.0%になり、半数を超えることが分かります。
映画に着目すると、「映画:邦画」と「映画:洋画」の合計シェアは13.7%となり、「バラエティ・ドキュメンタリー」の15.0%よりも合計再生時間が少ないことが分かります。また、「映画:邦画」と「映画:洋画」との差は225,054分となり、月換算(31日)すると、「映画:洋画」の合計再生時間ほうが約5カ月長くなっています。
サービス別で合計再生時間が最も多いのはU-NEXT。全コンテンツ視聴にかかる時間は約12年
-定額制動画配信サービスの合計再生時間比較-
上記は「VODラインナップ分析ツール」を用いて、14の定額制動画配信サービス別に合計再生時間とコンテンツタイプ別の割合を集計した実際の画面です※。集計の結果、合計再生時間が最も長かったサービスはU-NEXTで、合計再生時間は6,227,419分(年換算:約11.8年)でした。14サービスの合計再生時間におけるU-NEXTのシェアは約25.3%と4分の1以上を占めています。2位のFODの合計再生時間も年換算で約5年と、ほとんどのサービスの合計再生時間は年単位です。
U-NEXTの内訳をコンテンツタイプ別にみると、「海外ドラマ」(青色)のシェアが最も高いことが分かりました。「海外ドラマ」の合計再生時間は1,985,624分(年換算:約3.7年)で、同サービス内におけるシェアは約32%でした。次いで割合が高かったのは「日本アニメ」(黄緑色)です。合計再生時間は、1,517,285分(年換算:約2.9年)で、サービス内シェアは約24%となりました。
映画に着目すると、U-NEXTの「映画:邦画」と「映画:洋画」の合計再生時間は1,181,537分でした。全14サービスの「映画:邦画」と「映画:洋画」の合計再生時間における約35%をU-NEXTが占めています。
現状の増加ペースでは、一生かかってもすべてを視聴できない
-再生時間の増加ペース-
全14サービスの合計再生時間に関して直近3カ月分を集計しました。各月の合計再生時間をみると、8月は23,851,011分(年換算:45.4年)、9月は24,174,861分(年間換算:46.0年)、10月は24,620,858分(年換算46.8年)と、毎月増加しています。差分をみると、2021年8月から9月で323,850分、9月から10月で445,997分と、月換算した場合、1カ月後に、約7カ月~約10カ月分視聴可能なコンテンツが増加しています。
サービス別でみても、利用者が視聴可能な時間を上回るペースでコンテンツ合計再生時間が増えています。例えば合計再生時間で最も長かったU‐NEXTの数値を見ると、2021年9月の合計再生時間は6,114,210分でしたが、1カ月後の10月には113,209分、月換算すると2.5か月分の合計再生時間が増えています。もしも、このペースで今後も再生時間が増加した場合、一生かかってもU-NEXTで配信される映画やドラマ、アニメなど、今回集計対象としたコンテンツをすべて視聴することはできない計算となります。
*
このように、「海外ドラマ」を中心に増加し続けるコンテンツの合計再生時間は、すでに消費しきれる時間を超えており、また高いペースで増加しています。多くのサービスでは量はすでに確保されていると言え、利用者の満足度を向上させるには、コンテンツの量とともに、「見たいものに出合える」(見たいものが埋もれない)機能の重要性も高まっていると考えます。
以上のように、「VODラインナップ分析ツール」を用いることで、「再生時間」に着目した比較・分析が可能となります。今回取り上げた「合計再生時間」以外にも、各コンテンツを再生時間の長さで区分けした「再生時間区分」(21分以上~30分以下、31分以上~60分以下)といった集計軸を用いた分析機能もご提供しています(参照:「VODラインナップ分析ツール」機能アップデートのお知らせ:時間別のコンテンツ数比較や合計再生時間の集計が可能に)。
本商品は「再生時間」に加え、配信数の把握や、コンテンツタイプ(映画、ドラマ、アニメ等)やジャンル、製作地域、製作年代、レンタル開始時期など、様々な切り口で作品数やそのシェアを確認できるのも特長です。詳細に関しましては、下記商品ページをご参照いただくほか、随時ご案内を実施していますので、お気軽にお問い合わせください。
「VODラインナップ分析ツール」の詳細、お問い合わせはこちら
新着記事
-
映像・書籍・音楽・ゲーム・ラジオ横断でリーチ力を調査、2024年のTOP3は『ポケモン』『ツムツム』『ONE PIECE』
(2024/12/20) -
サブスク、CD、Webほかチャネル横断で調査、2024年に最も聴かれた音楽アーティスト&サービス
(2024/12/20) -
単行本、雑誌、電子コミック、電子サービス横断で調査、2024年に最も読まれたマンガ&サービス
(2024/12/20)
新着ランキング
-
推しエンタメブランド価値 急上昇TOP10(2024年12月)
(2024/12/23) -
推しエンタメブランド価値 月間TOP10(2024年12月)
(2024/12/23) -
劇場公開映画 週末動員ランキングTOP10(2024年12月20日~12月22日)
(2024/12/23)