Amazon MGM:劇場映画ビジネスへの本格参入を宣言~CinemaConで初の大型プレゼン<CinemaCon2025 スタジオプレゼンテーション>
公開日: 2025/04/16
2025年3月31日から4日間にわたり、米ラスベガスにて世界最大級の映画興行ビジネスのコンヴェンション「CinemaCon(シネマコン)」が開催されました。本特集では各スタジオによる今後のラインナッププレゼンテーションをレポート。第5回は4月2日(水)20:15から開催されたAmazon MGMスタジオのプレゼンテーションです。
※本記事で触れられている内容は2025年4月時点の情報です。
Amazon MGMは、今年のCinemaConが初の公式プレゼンテーションとなりました。Prime VideoおよびAmazon MGMの責任者マイク・ホプキンス氏(Head of Prime Video and Amazon MGM Studios)が登壇し、「MGMの買収は劇場映画の未来への信念を示すもの」と語り、2027年までに年間15本の劇場公開作品をグローバル展開する方針を明かしました。「家庭では味わえない共体験こそが映画館の価値」とする同社は、劇場映画に対して長期的なコミットメントを表明。2026年公開に向け、すでに14作品が進行中で、計画以上に順調な滑り出しとなっているとアピールしました。
配給責任者ケビン・ウィルソン氏(Head of Theatrical Distribution:Amazon MGM Studios)は、初披露となる“Project Hail Mary”の映像を含むラインナップを紹介。「劇場公開への本気度を証明する場」と位置づけ、多数の特別ゲストとともにAmazon MGMの姿勢を鮮明に打ち出すとともに、国際展開にも注力し、配給体制のグローバル化を進めていることを明かしました。
映画部門を統括するコートニー・ヴァレンティ氏(Head of Film、Streaming、Theatrical:Amazon MGM)は、SFやファンタジー、ファミリー向けまで多様なジャンルを取り揃え、人気IPとオリジナル作品を両立させた「四象限型」のラインナップを構築中と説明。また、歴史ある映画製作会社ユナイテッド・アーティスツを再始動するなど、ブランドの再構築にも取り組んでいることを明かしました。また、マーケティング責任者のスー・クロール氏(Head of Marketing:Amazon MGM Studios)は、Amazonの規模とテクノロジーを生かしたマーケティング戦略により、「観客を映画館に呼び戻す」ことに注力。劇場映画を文化的イベントとして再定義し、アーティストとともに新たな映画体験を創出する意欲を語りました。

コートニー・ヴァレンティ氏(Head of Film,、Streaming、Theatrical:Amazon MGM)
Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
プレゼンテーションでは、ライアン・ゴズリング、クリス・プラット、クリス・ヘムズワース、ハル・ベリー、ベン・アフレックら数多くの俳優が登壇し、華やかさを演出。なお、007については既報のエイミー・パスカルとデヴィッド・ハイマンがプロデュースを担当する以上の情報はなく、「ブランドの伝統を守りつつ、フレッシュな内容にする」と語られました。
最後に、Amazon MGMのライブラリー(『ロッキー』『テルマ&ルイーズ』『めぐり逢えたら』『羊たちの沈黙』『007』シリーズなど)をまとめたフッテージを上映。締めくくりに、登壇したキャストらが全員壇上でセルフィ―を撮影して幕を下ろしました。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
ラインナップ発表
26年公開ライアン・ゴズリング主演”Project Hail Mary”を中心に、ジュリア・ロバーツ主演・ルカ・グァダニーノ監督作品ほか、SF、犯罪、アクションなど多彩なラインナップ発表
※作品は、プレゼンテーション順ではなく、公開日順に記載
“The Accountant 2”(北米公開:2025年4月25日)
監督のギャヴィン・オコナー、キャストのベン・アフレック、ジョン・バーンサル、シンシア・アダイ=ロビンソン、ダニエラ・ピネダらが登壇しました。9年前に公開された『ザ・コンサルタント』の続編で、今回は主人公の新たな側面として、弟との関係性が掘り下げられるほか、新しいキャラクターも登場。フッテージを上映。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
“After the Hunt”(北米公開:2025年10月17日)
ジュリア・ロバーツ主演のスリラー。監督のルカ・グァダニーノ、キャストのアンドリュー・ガーフィールド、アイオウ・エディバリーが登壇しました。エディバリーから「アイビー・リーグの大学教授が主人公(ジュリア・ロバーツ)で、彼女の親しい友人であり同僚(アンドリュー・ガーフィールド)に対する告発によって、彼女の世界が一変してしまう。このスキャンダルの影響は突然で衝撃的で、彼女の私生活もキャリアも、大きく崩れていく」と紹介。そして、ガーフィールドは「巨匠と働けることが嬉しい。すごく話題になると思う」、エディバリーは「他の人と観て話したくなる映画」とそれぞれコメントを寄せました。プレビュー動画を上映。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
“Mercy”(北米公開:2026年1月23日)
クリス・プラット、レベッカ・ファーガソン主演のSF。AIが裁判官を務める近未来、犯罪に関与したとの嫌疑をかけられた刑事(クリス・プラット)が、無罪を証明するために奔走する。劇中、90分以内に無罪を証明しないと死刑になる椅子に乗ってプラットが舞台に登場。映画館への感謝メーターが100にならないといけないという設定で興行会社の社長に感謝の意を表しました。フッテージを上映。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
“Three Bags Full: A Sheep Detective Movie”(北米公開:2026年2月20日)
ケヴィン・ウィルソン氏(Head of Theatrical Distribution, Amazon MGM Studios)より、深い映画的なストーリーテリングをするオリジナル映画として、羊が自分たちの羊飼いが殺された捜査をする本作を紹介。監督は『ミニオンズ』のカイル・バルダが務め、主演のヒュー・ジャックマンほか、ブライアン・クランストン、エマ・トンプソン、レジーナ・ホール、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ホン・チャウらが出演するオールスターキャスト。プレビュー動画を上映。
“Project Hail Mary”(北米公開:2026年3月20日)
プレビュー動画の上映からプレゼンテーションがスタート。監督のフィル・ロード&クリス・ミラー、主演のライアン・ゴズリングが登壇しました。原作は、ベストセラーとなったアンディ・ウィアー(『オデッセイ』として映画化された小説「火星の人」の著者)による同名小説で、科学者だった主人公が地球を救うために一人宇宙へ行く物語。没入感とインパクトのある映画となっており、いかに映画体験に向けたものか、劇場を第一に考えているかをアピールしました。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
“Verity”(北米公開:2026年5月15日)
ニューヨークタイムズのベストセラーリストに乗ったコリーン・フーヴァーによる同名小説の映画化。「セクシーでスリリングなサスペンス映画」と紹介されました。監督とキャスト(アン・ハサウェイ、ジョシュ・ハートネット、ダコタ・ジョンソン)らによるビデオメッセージ、およびフッテージを上映。
“Masters of the Universe”(北米公開:2026年6月5日)
トラヴィス・ナイト監督による人気フランチャイズの映画化。「壮大な映画体験」を目指すことが明かされました。キャストの撮影現場でのインタビュー動画、プレビュー動画を上映。
“The Thomas Crown Affair”
マイケル・B・ジョーダン監督による、スティーヴ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ主演の映画『華麗なる賭け』のリメイク。ジョーダン監督のビデオメッセージが上映され、撮影中で来られなかったことを詫びるとともに、劇場に向けて『クリード 過去の逆襲』の成功に貢献してくれたことへの感謝を述べました。
“Crime 101”
監督のバート・レイトンとキャストのクリス・ヘムズワース、ハル・ベリーが登壇。ロサンゼルスを舞台に、宝石強盗を追う刑事を描いたクライム・ストーリー。タイトルの101は「基本」という意味と、ロサンゼルスを横断する国道101号線へのオマージュであることが明かされました。映画館向けに作った、最近はあまりないハラハラドキドキするスリラーで、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、バリー・コーガンらが出演するオールスターキャスト。プレビュー動画を上映。

Photo by Jerod Harris/Getty Images for CinemaCon 2025
“Your Mother Your Mother Your Mother”(オライオン・ピクチャーズレーベル)
ヒューストンが舞台のユニークなアクション映画。主人公のヒットマンを務めるマハーシャラ・アリからのビデオメッセージが上映されました。
“Is God Is”
幼いときにやけどを負った双子の姉妹が、死ぬ間際の母親から、やけどの原因は虐待を行っていた父親だと明かされ、探して殺せと命じられる。2018年のオフブロードウェイで大ヒットした舞台を映画化。舞台の脚本を手掛けたアレシェア・ハリスが初監督を務め、脚本も担当。キャストのカーラ・ヤング、マロリ・ジョンソン、ヴィヴィカ・A・フォックスの3人が登壇しました。
- 第1回:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
- 第2回:NEON
- 第3回:ライオンズゲート
- 第4回:ワーナー・ブラザース
- 第5回:Amazon MGM
- 第6回:ユニバーサル・ピクチャーズ
- 第7回:パラマウント・ピクチャーズ
- 第8回:ウォルト・ディズニー・スタジオ
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