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放送と配信を横断して映像コンテンツの真のリーチが計測可能に
公開日: 2024/09/06

特集:エンタメリーチトラッカーが目指すもの 第1回

GEM Partners株式会社では8月15日に、エンタメブランドの価値基準を提供するデータサービスシリーズ「TIGER」より「エンタメリーチトラッカー」を正式ローンチしました。本サービスは、映像、マンガ・書籍、ゲーム、音楽メディアにおいてエンタメブランドの真のリーチを比較・評価すること目指しています。今回の特集の中では「エンタメリーチトラッカー」をもって何が分かるのかを紹介。本記事では特に映像について掘り下げ説明します。
※本記事は2024年8月第5週(8月26日~9月1日)に集計したデータに基づいています。

《目次》

 

 

エンタメブランドに接触している人数の大きさが分かる

GEM Partnersでは、データトラッキング商品として、エンタメブランドの価値基準を示し、次のヒットやビジネス拡大への意思決定に役立つことを目指す、TIGERシリーズの提供を開始しています。既にファンの実態にフォーカスを当てた「推しエンタメブランドスコープ」の提供を開始していますが、8月15日に新商品として「エンタメリーチトラッカー」を正式ローンチしました。

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「エンタメリーチトラッカー」は、生活者との接触を広くトラッキングし、日次で調査、週次で集計(毎月延べ10万人規模、対象者は男女15歳から69歳)したデータを活用。映像、マンガ・書籍、ゲーム、音楽でのエンタメ接触について、第三者立場から共通指標を提供し、メディア横断の統合リーチや、メディア・サービス単位のリーチ比較・評価を可能にします。

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データの単位は「リーチpt」で、エンタメブランドに接触した延べ人数を日次調査し週単位で集計したもの。どのエンタメブランドにどの程度の人が接触しているのかを可視化しています。

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映像メディアでは、放送、録画、配信、DVDなど媒体を横断したリーチが把握できる

映像メディアでの計測範囲は以下のとおりです。異なる指標で測られている、あるいはデータが開示されないメディアについても1つの指標で計測が可能です。

  • ・リアルタイムのテレビ放送
  • ・録画したテレビ放送
  • ・月額定額の動画配信サービス
  • ・無料で視聴可能な動画配信サービス
  • ・DVD・Blu-rayなどの映像記録媒体
  • ・映画館

実際のデータを見てみます。こちらは1週間(8月26日から9月1日)の中で「観た」と回答された映像コンテンツのリーチptトップ20です。『虎に翼』が1位ですが、日次調査を週次で集計しているため、毎日放送され人気の高いNHKの連続テレビ小説が上位にランクインすることが多いです。8月31日から9月1日にかけて放送された特別番組『24時間テレビ』に続き、現在放送中のドラマシリーズ『ブラックペアン』や『光る君へ』も上位となっています。

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※コンテンツ名を特定できない何かしらの「ニュース」や「YouTube」などを観たという回答があった場合でも「映像ジャンル」や「サービス/プラットフォーム名」に名寄せされランキングに表示されます。

 

視聴方法ごとに見られているコンテンツは大きく異なる

下の図は映像コンテンツを観た方法別にリーチptの合計を比較したものです。リアルタイム放送が圧倒的に多く、無料の配信サービス、録画、定額動画配信サービスが続きます。

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一方、観た方法別に映像コンテンツのリーチptを見ると、上位作品の顔ぶれに違いがあることが分かります。

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ニュースがリアルタイムで観られるなどそれぞれのジャンルに合った視聴方法が取られる、また、メディアによって独占されているなど観られているコンテンツに当然違いは出ますが、ドラマは放送と録画、アニメは配信など、ジャンルごとに大きく傾向が異なるように見えます。

 

放送・録画・配信の比率はアニメは1:2:7、ドラマは3:4:3。配信の内訳は、アニメは有料配信が多め、ドラマは無料配信が多め

そこで、コンテンツのジャンルごとに視聴方法の総合指標を見ると、アニメは月額定額動画配信サービスが最も多く、無料動画配信サービス、録画、放送が続きます。一方でドラマは、録画、放送が多く、無料動画配信サービス、月額定額動画配信サービスと順番が逆転しています。

アニメを観た方法別 リーチpt合計
ドラマ・映画観た方法別 リーチpt合計

また作品ごとに内訳を見ると多少のばらつきはありますが、アニメは概ね、放送:録画:配信が1:2:7、動画配信の内訳は定額制と無料配信で4:3で、ほとんどの場合定額動画配信が多くなります。

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一方のドラマは、放送:録画:配信が約3:4:3で、配信の内訳は定額動画配信と無料配信で1:2と無料配信が多いです。

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なお、「エンタメリーチトラッカー」では観た方法別からさらにサービス名での内訳も調べることができます。以下の図で、『【推しの子】』を定額動画配信、無料動画配信それぞれでどのサービスで観たのかを示しています。定額動画配信サービスではAmazonプライム・ビデオが47%、Netflixが33%で、無料動画配信サービスではAbemaが69%と大きくシェアを占めています。

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コンテンツの真のヒットを視聴率など単一の指標だけでは測れない状況を解決したい

エンタメリーチトラッカーの発想の原点には、「作品がヒットしたとき、どのようにプロデューサー、クリエイターを評価すべきか(つまり、誰にどのぐらいボーナスを出すべきか)が分からない」という産業構造の課題を解決したいという思いがあります。ここに「真のリーチ」を出すことを目指す理由があります。

各社においても、コンテンツごとの売上や利益は分かりますが、何人がどのような方法で見たのかについて、特に配信については情報が公開されていない場合が多く、「トータルでどのぐらいの人が見たのか」はさらに分かりづらくなっています。しかし次の制作に向けて資産となるのは、接触した人たちの数であり、そちらも評価されるべきだと考えます。また自社のコンテンツに限らず、何がどのぐらい見られているのかは事業責任者、プロデューサー、マーケターにとっては判断を立脚させる大事な情報です。多メディア化する中で、「横断で結局どのぐらい接触しているのか」を計測できないか、というのが「真のリーチ」を測るポイントの一つ目です。

もう一つのポイントは、「記憶に残っているのが真のリーチ」という点です。データの取得はアンケートをベースにしています。つまり人の記憶です。機械での計測であれば対象となる「テレビはついていたが、観ていなかった」「観たが、そのことを忘れた」ものは回答にあがってきません。これにより、「観て記憶に残った」、つまり真のリーチに迫ることができるのです。

映像の真のリーチを明らかにすることによって、すべての映像事業者、権利保有者にとって、「現状を把握し、事業戦略を立てる」「コンテンツの価値を測る」ことに役に立つこと、これがエンタメリーチトラッカーが目指すことです。

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特集;エンタメリーチトラッカーが目指すもの
  • 第1回:映像コンテンツを放送と配信横断で真のリーチが計測可能に

  • 以降、順次公開予定