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二極化する映画鑑賞の自粛意識
公開日: 2020/07/31

2020年7月31日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載された「シネマの週末・データで読解 『"新しい日常”下のヒット』」の転載に、補足を加えています。
『『今日から俺は!!劇場版』 

『今日から俺は!!劇場版』 公開中
© 西森博之/小学館 © 2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

 

 

<シネマの週末・データで読解:週末興行成績(25、26日)>

 

1. (1) 今日から俺は!!劇場版 2週目
2. (NEW) コンフィデンスマンJP プリンセス編 1週目
3. (3) もののけ姫 5週目
4. (2) 千と千尋の神隠し 5週目
5. (4) 風の谷のナウシカ 5週目
6. (NEW) 劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! ~映画になってちょーだいします~ 1週目
7. (5) 私がモテてどうすんだ 3週目
8. (6) 透明人間 3週目
9. (NEW) 海底47m 古代マヤの死の迷宮 1週目
10. (7) ステップ 2週目

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

 

新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向との報道が続く中、全国に住む男女(15~69歳)への消費者調査(7月11日実施)を見ても、緊急事態宣言の解除前から一貫して減少していた「映画館での映画鑑賞行動は自粛が必要」と答える割合は微増に転じた。

 

一方で、先々週末は『今日から俺は!!劇場版』、先週末は『コンフィデンスマンJP プリンセス編』と2週連続で全国規模公開の新作が大ヒットスタートを切った。例年は書き入れ時の夏、以前の状態に戻ったとは言い難いが、客足は戻ってきている。これはどういうことか。

 

上記の調査データを映画館で年間6本以上映画を見る映画ファンに限ってみると、自粛意識は減少傾向が続いている。

 

コロナ流行を受けての自粛の必要性【映画館での映画鑑賞頻度別】

 

また、営業再開後に映画館に行った人の8割は映画館による感染予防対策に「安心した」と答えている。警戒を強めている人も、前向きな人も増加しており、二極化しているのだ。

 

営業再開後の映画館の安心度(映画年間1本以上鑑賞者 & 営業再開後の映画館での鑑賞者ベース)

 

さらに、過去1年間に映画館で映画を見た人の中で、今年の夏にやろうと思っていることとして映画館での鑑賞を挙げる割合は「外食」に続き、「国内旅行」や「お墓参り」「帰省」などを押さえて2位となった。

 

今年の夏にやろうと思っていること(映画年間1本以上鑑賞者ベース)

 

映画ファンにも、引き続き感染対策は求められている。しかし"新しい日常”の中で映画を楽しむ意欲も高まっており、この人たちの来場によって新作もヒットしている。

 

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

 

◆掲載元◆
毎日新聞:シネマの週末・データで読解 『"新しい日常”下のヒット』(毎日新聞2020年7月31日 東京夕刊)

 

新型コロナウイルスの影響トラッキング調査レポート無料配布(会員様限定)

 

調査概要
【調査方法】インターネットアンケート
【調査対象】全国に住む15-69歳の男女(年間0本鑑賞者も含む)
【調査実施日】
 第1回:2020年4月25日(土)~2020年4月27日(月)
 第2回:2020年5月9日(土)~2020年5月11日(月)
 第3回:2020年5月23日(土)~2020年5月25日(月)
 第4回:2020年6月13日(土)~2020年6月15日(月)
 第5回:2020年7月11日(土)~2020年7月13日(月)
【回収サンプル】スクリーニング調査 4,000サンプル / 本調査 500サンプル
【数値重みづけ】総務省発表の人口統計、弊社実施調査を参考に回答者を性年代・映画鑑賞頻度別に重みづけ

レポート・データ解説